フローラ「そこを右です!」
フローラの指示の元リィン達は疾風の如き速さで機関室を目指していた
銀『えぇい!厄介な置き土産を残してくれたな!』
銀はそう言って進路上に閉まっていた水密扉を切り裂きそのまま進む
リィン「フローラあとどのくらいだ!?」
フローラ「真正面!その扉が機関室の入り口です!」
見ると確かに『この先機関室、関係者以外立ち入り禁止』のプレートが張ってあった
銀『ちぃ!ここも閉まってるか!ならば切り裂いて……』
リィン「銀、どいてくれ!」
リィンは銀にそう言って鍵がかかっている扉を蹴り飛ばして中に侵入した
リィン「此処が機関室か……!フローラ!反応があった場所は!?」
フローラ「………スクリューシャフトの直ぐ近く、こっちです!」
再びフローラが先導し目標地点に到達した
リィン「爆弾は何処だ!?……」
銀『……ッ!、多分アレではないか!?』
銀が指差したのはでかい木箱……近寄って上蓋を開けてみたら……
リィン「……ハッタリであって欲しかったが……!」
中身は時限式発火装置を搭載した大量の爆薬がぎっしり詰まっていた
フローラ「これだけの量の爆薬なら確かにこの船を沈めるのには充分な量です……!」
リィン「流石にこれは俺の手にはおえない……!銀は?」
銀『生憎私も爆弾の処理なぞ経験がない……!』
フローラ「大丈夫です!私が解除します!どいてください!!」
フローラは二人をどかして爆弾の前に立った。
フローラ「構造は簡単……!この船で組み立てる為に簡略化されているわ……でも、これなら……きゃあ!?」
突如銃弾が爆弾の周りに着弾しフローラも思わず悲鳴をあげた
リィン「フローラ!?」
フローラ「だ、大丈夫です……今のは……」
銀『ふん、空気読まない馬鹿が現れたようだぞ』
銀がそう言って振り返ると銃を構えたテロリスト達がいた
リィン「コイツ等……!」
銀『どうやら取りこぼした連中みたいだな、随分頭にきてるみたいだ』
銃撃から身を守る為に大剣で銃弾を弾いていた銀は呟いた
リィン「言ってる場合か!ただでさえ爆弾もあるのに……!奴等に爆弾の事知らせても無駄かな?」
リィンも銀と同じ様に剣で銃弾を弾きながら銀に問うた
銀『無駄だな、仮に知った処であの狂信者共だ。なんとも思わんだろうさ』
リィン「ちっ!自分の命を粗末にする奴は大嫌いなんだが…!」
フローラ「リィン様、一つ悪いお知らせが……」
リィン「今度は何だ!?爆弾が解除出来なくなったなんてオチじゃないだろうな!?」
フローラ「いえ、解除は出来ますが……先程の銃撃でタイマーが壊れて残り時間が二十分あったのが残り三分五十秒になりました」
『『はぁ!?』』
その知らせにリィンと銀は思わず声を揃えて驚いた
フローラ「私は大急ぎで解除しますからお二人には邪魔が入らない様に奴等の排除を……!」
銀『言われずとも……!』
リィン「これで終わりにしてやる!」
リィンと銀はテロリストに突っ込んで行くのをフローラは横目に確認しつつ手は爆弾の蓋のネジをドライバーで回して開け手早くタイマーと爆薬を繋ぐコードを探し当てた。その数は六本束になっていた
フローラ「……ダミーのコードが何本もはしっている……!しかも正解のコードは三本、しかも唯本物を切るんじゃなく順番に切らなきゃ直ぐ爆発する仕掛けか……!これを用意した人物は底意地悪いに違いないわね!」
『残り二分』
フローラは赤、青、紫のコードを掴んだ
フローラ「少しでも間違えば爆発………!どうする!?今からでもリィン様と銀殿を脱出させるべきでは……?でも…」
フローラは迷った、普通なら優先すべきは主と仲間と認めた《銀》の安全、テロリストの命は正直に言って優先度はかなり下である。だが……
フローラ「……リィン様がこの船を爆破させないと決めたのなら従者たる私が迷ってどうする!何が何でも解除してみせる!」
フローラは掴んだコードを青から切った
ー ラマール州領邦軍、鉄道憲兵隊合同部隊司令部 ー
クレア「本当に通報された座標に居ましたね………」
オーレリア「フフフ、氷の乙女殿は疑っていたのかな?」
クレア少尉は匿名の通報(リィン達)に半信半疑ながらもルグィン伯の部隊と共に指定された座標に領邦軍の警備艇に乗り込み向かい、今双眼鏡で不審な貨物船を見つけたのであった
クレア「………将軍閣下は偽情報とは疑ってないと?」
オーレリア「寧ろ《銀》がカイエン公を暗殺するという情報の方が眉唾だと思ったがな、かの東方の凶手がわざわざラマールまで出張って暗殺……しかも噂が出回るなぞ暗殺者としてあり得ないからな」
クレア「それは……確かに、ですが万が一の事は……」
オーレリア「フフフ、それも部下の兵をある程度カイエン公の城館に配置している。それに……貴公の主人は『万が一』があった方が都合が良いのでは無いか?」
クレア「………」
オーレリア「フ、冗談だ。宰相殿はそんな姑息でははいのは知ってるからな……さて、あの船に呼びかけよ!『こちらはラマール州領邦軍である!国籍、船名を答えよ。回答なき場合は強制的に臨検する』とな!」
オーレリアは通信士にそう伝え通信を送ったが回答は無かった……
クレア「………応答しないですね、向こうに何かトラブルが起きたか、或いは……」
オーレリア「向こうにとって都合の悪い『何か』を処分しているか、だな」
クレア「どうしますか?このまま応答を待つのも一つの手ですが………」
オーレリア「フ、愚問だな。このまま前進し、貨物船に接舷し制圧せよ!抵抗する者は問答無用で拘束せよ!」
『『Einverstanden!』』
オーレリアの指令に領邦軍の兵達は迅速に従い艇を貨物船に接舷させ乗り込んだ
クレア「ふぅ…私達も乗り込みます!武装している可能性もあるから油断しない様に……!」
『『『イエス・マム!!』』』
クレア少尉も続いて鉄道憲兵隊員を率い貨物船に乗り込んだ
クレア「これは……一体何が!?」
クレア達が見たのはあちらこちらに散らばる銃火器と気絶している男達の姿だった
オーレリア「……骨は折れている様だが命に別状は無いようだな、それに……この数の銃火器は『護身用』とは言い難いな」
オーレリアは近くの男を調べ近くに落ちていた銃を拾い、険しい顔でクレアにも渡した
クレア「……帝国の物では無いですね。意匠はヴェルヌ社とも違いますが、何処のメーカーでしょう?」
クレアも渡された銃を調べるがその顔は険しい
オーレリア「……どうやら碌でもない連中らしいな……」
「将軍閣下!」
そこに船内を調べていた兵が耳打ちした
オーレリア「チッ!本当に碌でもない………」
クレア「オーレリア将軍?」
オーレリア「後で話す、この船をオルディスまで回航する!乗組員は全員拘束した上でジュノー要塞に移送尋問する!」
オーレリアはそう指示して制圧したブリッジに上がった
リィン「オーレリア閣下は上手く制圧出来たみたいだな」
リィンは貨物船から遠く離れたヨットに乗って様子を観察していた
フローラ「えぇ、これであの者らの『革命ごっこ』は終わりでしょう。後は帝国の法で裁かれるかと……」
銀『私としても《落とし前》をつけられて満足したがな、ツァオの奴にも一応言っておくか……』
リィンの後ろでフローラと銀がそれぞれ言った
フローラ「そういえばリィン様あのテロリストが使っていた銃火器ですが……」
リィン「何処のか判ったのか?」
フローラ「えぇ、新興のメーカーでした。確かゼクト・アームズとか言う……」
リィン「聞いた事がないメーカー名だな?まぁいい、さっさと撤収しよう。オーレリア閣下達に見つかると面倒だ」
リィン達を乗せたヨットはそのまま現場から去って行った
メルキオル「あらら、爆弾は処理されちゃったか……ま、アイツ等武器を買ってくれたから《組織》の懐潤ったから良しとするか………それにしてもあの子供……《銀》と行動を共にしているとは……要警戒かな?ま、それを含めてボスに報告しなきゃ」