閃の軌跡〜変わる物語〜   作:名無し名人

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第16話

ー 仮想訓練施設 ー

 

此処はアンファング内部の第二層にある訓練施設、そこにリィンはある人物と対峙していた

 

リィン「………」

 

『………』

 

リィンは剣を構えいつでも斬りかかれる体勢に入りながらも踏み込めずにいた

 

対する相手は老人で手には木刀を握り特段構えてはいない。それは決してリィンを舐めているのでは無く、それが老人………リィンの師ユン・カーファイの自然体なのである。そしてこのユン・カーファイは本物では無い。フローラが今まで集めたユン老師の人となりや足の使い方、太刀筋……それらのデータを可能な限り本物に寄せて創り上げた謂わばホログラム映像だった。但し、実体がある映像なのでリィンが攻撃を受けたらダメージは入るし逆もまた然りである……

 

リィン「……ハァ!!」

 

リィンは目にも止まらぬ疾さで剣を抜きユン老師(偽)に斬りかかるがユン老師は木刀であっさりとリィンの剣を受け流し、そのままリィンの足を払った

 

リィン「グッ!?」

 

倒れたリィンはすぐさま起き上がり逆袈裟斬りをしかけるがユン老師(偽)は柳の如くゆらりと避け、それからもリィンは斬撃をしかけるが如く受け流すか避けられてしまった………

 

リィン「ハァ、ハァ……!」

 

それから三十分後、遂にリィンの体力は尽き床に転がった

 

リィン「まだまだ……か……ん?」

 

リィンの頬に突然冷たいドリンクが触れた

 

リーシャ「お疲れ様です」

 

リィン「リーシャさん……ありがとう御座います」

 

視線を向けるとリーシャがドリンクを差し入れたらしい、リィンは有り難く受け取り飲んだ

 

リィン「良く此処が判りましたね?」

 

リーシャ「あの蜘蛛みたいな傀儡に案内して貰いました。それで……今対峙していたのはもしかして……」

 

リィン「えぇ、俺の師にして八葉の祖ユン・カーファイ老師のコピーです。コピーとはいえ、まだまだ俺の実力では敵わないですよ」

 

リーシャ「………私もやってみても良いですか?」

 

リィン「リーシャさん?」

 

リーシャ「ユン・カーファイの名は私も耳にしています。コピーとはいえ手合わせ出来る絶好の機会逃す手はあり得ません」

 

リーシャは今にも手合わせしたげにうずうずしていた

 

リィン「……判りました。少し待って下さい」

 

リィンはゴスペルを取り出しユン老師のコピーを出した

 

リィン「自分で言うのも何だけどコピーでも老師の実力は測りしれないから注意して下さい」

 

リーシャ「忠告ありがとう御座います………さて、八葉が開祖の実力……試させて貰う!!』

 

リーシャは大剣を構えて途中から意識を《銀》のものに切り替えユン老師に斬りかかった……

 

ー 三十分後 ー

 

リーシャ「ぜーはー、ぜーはー……」

 

リーシャは良い様にあしらわれ先程のリィンと同じ様に床に転がっていた

 

リーシャ「強い……こちらの剣がまるで木の葉の様に払われたと思ったら、いつの間にか懐に入られて……これが、八葉一刀流の剣仙………」

 

リィン「大丈夫ですか、リーシャさん?さ、掴まって……立てますか?」

 

リーシャ「えぇ……何とか、あれでまだ本気では無いのですよね?」

 

リーシャはリィンの手を掴み立ち上がった

 

リィン「はい、俺も老師の本気を見た事が無いので……ところでリーシャさんは何か用があったのでは?」

 

リーシャ「あ、そうでした………リィンさん、散歩しませんか?」

 

リィン達は外を見渡せる展望台に来た

 

リーシャ「ん、風が気持ち良い……わぁ…!オルディスの明かりが綺麗……!」

 

リィン「本当ですね。沖合とはいえこうも明るく見えるとは……」

 

リーシャ「向こうはこっちの存在は知らないんですよね?」

 

リィン「えぇ、彼等のレーダーではこっちを捉える事は不可能ですね」

 

リーシャ「つくづく反則的な技術力ですねぇ……」

 

リーシャはそう言って暗い海に明るく照らされるオルディスの夜景を暫く眺めていた。そしてポツポツと語り出した……

 

リーシャ「………最初はごく普通に感謝の念でした。あの時……ロレントで貴方方に出会わなければ今も絶望の渦に……いえ、魔獣達に食い散らかされていたでしょう。だから此処で治療を受けて光を取り戻した時は単純に嬉しかった」

 

リーシャ「……その感情が変化したのはボースで貴方方と別れクロスベルで活動していく中でした。黒月とアルカンシェルの二足の草鞋で忙しくも充実感がありましたがそれと同時に貴方への感情が強くなりました」

 

リィン「………」

 

リーシャ「黒月やアルカンシェルで自分の眼が見える事がどんなに有り難く、代え難い物なのか……それを再認識すると手を差し伸べてくれた貴方に対する感情は次第に『愛』に変わるのに時間はかかりませんでした」

 

リーシャはそう言うとリィンに向き直り宣言した

 

リーシャ「私は………リーシャ・マオは貴方が好き……いえ、愛しています」

 

その眼には迷い等一切無かった……

 

リィン「リーシャさん……俺は……ッ!?」

 

リーシャはリィンに抱きついた

 

リーシャ「リーシャ……と呼び捨てて良いですよ。今のは私の決意表明です。直ぐに返事を貰おうとは考えてません」

 

リーシャはリィンの耳元で囁いた後名残惜しげに離れて自分の部屋に戻ろうと歩き出してすぐ振り返り言った

 

リーシャ「私……諦めませんから、『リベールの至宝』や斑鳩の姫にも……一歩も譲る積もりは無いです!……お休みなさい。リィンさん」

 

そう言って今度こそリーシャは去っていった

 

リィン「………え?」

 

リィンは訳が分からず混乱していた

 

ー ブリオニア島 ー

 

『……貴方を愛してますー』

 

フローラ「リーシャさんも想いを伝えましたか……リィン様を支えてくれる方が増えるのは大歓迎ですね。さて……こっちも用件を片づけましょうか」

 

密かにブリオニア島に降り立ったフローラはある場所にいた。それは……地元の人間に巨神像と呼ばれている像

 

フローラ「……まだコアは生きているみたいですね……私の声が聞こえますか?」

 

『………』

 

フローラ「初めましてと言うべきでしょうね。私の名はフローラ、古代ゼムリア文明の遺物です……単刀直入に言います、貴方は『このまま』で良いのですか?」

 

『………?』

 

フローラ「来たるべき『災厄』を前に貴方はこのままなにも出来ずに朽ちていくのですか?それを良しとするのですか?」

 

『………………』

 

「身体なら私の方で用意出来ます。貴方がその意思があればの話ですが………」

 

『………………!』

 

フローラ「そうですか、なら契約成立ですね」

 

フローラがそう言うと巨神像から光の玉が出てきてフローラの手のひらに収まった

 

フローラ「これでリィン様の新たな力が手に入りますね。さっそく『アンファング』に戻って『彼』の新しい身体の設計に取り掛からなくては…」

 

フローラはそう言ってブリオニア島から姿を消した………

 

 

 

 

 

 

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