閃の軌跡〜変わる物語〜   作:名無し名人

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第20話

逃げて来た狩人の口から出た言葉に周りがざわめいた

 

「領主様が危ない!?今すぐ救助を………!」

 

「待て!ラインフォルトのご令嬢も居るんだぞ!!ここはログナー候に使いを出して領邦軍の到着を待った方が………」

 

「そんなのを待ってたら手遅れだ!やはりここは俺達がすぐ動くべきだ!」

 

郷の人々は意見を出しつつも決まらない中リィンは狩人に近づき話しかけた

 

「……見慣れ無い《獣》と言ってましたね?具体的にはどんな姿形していましたか?数は?」

 

それを聞いた郷の人々は冷静さを取り戻し狩人の方に視線を向けた

 

「か、数は視認出来ただけで二十匹、それ以上は居たかもしれない!姿形は……二足歩行で前脚は異常に短くて後ろ脚は筋力があってすばしっこかった!眼は爬虫類のソレで……あぁそうだ!!身体には羽毛みたいな毛が生えていた!」

 

リィンはフローラに目配せするとフローラは頷いて持っていた手帳に狩人の証言を元に大凡の絵を描き上げた

 

フローラ「それは……こんな感じの《獣》ですか?」

 

フローラは狩人に手帳の絵を見せたその絵は前世では獣脚類に分類されているラプトルのソレであった

 

「こ、コイツだ!!間違いない!コイツ等がいきなり襲って来て……」

 

狩人は手帳を指差して叫んだ

 

リィン「フローラの見解は?」

 

リィンは立ち上がりフローラに尋ねた

 

フローラ「十中八九『古代種』と見て間違いないでしょう。この種は知能が非常に高く、集団で狩りをすると考えられていました」

 

フローラも手帳を閉じて立ち上がった

 

リィン「羽毛みたいな毛も奴等の特徴か?」

 

フローラは更に頷いた

 

「えぇ、それが更に進化して鳥の祖になった種も居るので不思議ではありません」

 

リィン「成る程、なら急いで………?」

 

見るとリィン達の目の前に神父を始めとした郷の人々が道を塞いでいた

 

「貴方達……何をしようとしているのですか?」

 

神父が代表としてリィンに尋ねた

 

リィン「決まっています。救助に行くんですよ」

 

リィンが一歩進むと神父は両手でリィンの肩を掴んだ

 

「馬鹿な事は辞めなさい!先程の話は良く理解出来てませんがその獣は集団で狩りをするのでしょう!?君がそんな危険な事する必要はない!」

 

「そ、そうだ……こういう事は大人の仕事なんだ。それに領邦軍が来てくれたら……」

 

フローラ「それでは遅いです」

 

郷の眼がフローラに集中した

 

フローラ「奴等は知能が高い、相手を時間かけて弱らせてから仕留めます。体力が保っている今の内に救助に行かなければ手遅れになります」

 

「そ、そんな……」

 

周りのざわめきが酷くなってきた

 

リィン「だからこそ急がなければなりません。どいてください」

 

「駄目です!!」

 

突如女性の声が聞こえると郷の民が道を開けた

 

「ルシア様……!」

 

領主テオ・シュバルツァーの妻のルシア・シュバルツァーがリィンの眼の前に立った。すると……

 

リィン「……っ!?」

 

ルシア「………」

 

ルシアは無言で抱きしめた

 

リィン「何を……!?」

 

ルシア「駄目に決まってるでしょう!貴方はまだ子供なの!それに、これは郷の皆で解決するべきなのよ!!だから、ね?郷で何も心配しないで逗留してて良いのよ?」

 

ルシア夫人はリィンを離してまるで我が子に言い聞かせる様にリィンに優しく語りかけた。周りも同じ気持ちらしい……

 

リィン「……そのお気持ちは嬉しいです。善意で止めている事も分かります」

 

ルシア「なら……「ですが」!?」

 

リィン「俺は……少なくともこの郷には縁があります。もしかしたらここが俺の帰る場所だったかもしれない………」

 

ルシア「な、何を言っているの……?「父ギリアスの変わりに俺が領主一行を助け出します」……!!ま、まさか貴方は……カーシャさんの!?」

 

リィン「フローラ!!」

 

フローラ「はい!!」

 

二人はその場で跳躍し人だかりを安々と飛び越え山道に向かって走り出した

 

ルシア「あ……待って!!」

 

後ろからルシア夫人の声が聞こえたが直ぐに聞こえなくなった

 

リィン「領主一行の位置は判るか?」

 

リィンは物凄いスピードで奔りながら並走しているフローラに尋ねた

 

フローラ「既に特定済みです。偵察ドローンの報告ではこの山道の奥……行き止まりの岩場に背にして敵に半包囲されてます」

 

リィン「そうか……なら急ぐぞ!」

 

フローラ「……リィン様良かったですね」

 

リィン「ん?……何が?」

 

フローラ「あのシュバルツァー夫人に抱きしめられた時嬉しそうだったじゃないですか」

 

リィン「そうか……そうかもしれん、《母の温もり》を感じたからかもな……」

 

フローラ「無事に助け出して戻りましょう。もう一つの『故郷』に……」

 

 

リィン「あぁ……!」

 

そうして二人はスピードを上げた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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