リィン「済まないな、本当なら早く集落に帰りたい筈なのに俺達に合わせて貰って……」
ガイウスはリィン達に合わせてゆっくりと馬を進めている為にリィンは申し訳無かった
ガイウス「何、気にするな……それにしても本当に良く懐いている。これなら何度か乗れば自在に翔けられるかもな」
リィン「ハハ、ノルドの民にそう言って貰えると光栄だな」
フローラ「しかし………本当に雄大な光景です。馬で翔ける事が出来たらさぞ気持ち良いでしょうね」
フローラは高原を見渡しながら馬を進めた
ガイウス「俺にとっては見慣れた景色だがな……そう言って貰えるとやはり嬉しいな」
リィン「しかし、こうも広大だと返って自分がどの辺りに居るのか判らなくなりそうだな」
ガイウス「それなら心配無い、ある程度の道標がある。ほら早速見えてきたぞ」
そう言ってガイウスが示した先を見ると巨大な岩が分かれ道の道標になっていた
ガイウス「あれは《三角岩》、この辺一帯の中心になっている」
リィン「確かに良い目印だな」
フローラ「出発点のゼンダー門からも見えますし、助かりますね。あら……アレは人工物の様ね?」
ガイウス「アレは帝国軍が建てた監視塔だ。ノルド高原の南東にある共和国方面の監視する為の施設と聞いている」
フローラ「カルバード共和国……」
リィン「クロスベルだけでは無くここも接してるとは聞いたが……」
ガイウス「あぁ、そしてあの山脈の方角に俺の故郷の集落がある。色々聞きたい事があるだろうが夕方迄には集落に着きたいからな、先を急ぐぞ」
リィン「あぁ、了解だ」
フローラ「それでは参りましょう………ん?」
ガイウスを先頭にリィン達が集落を目指して馬を歩かせようとした時フローラが立ち止まり振り返った
フローラ「………」
リィン「どうした、フローラ?」
少し離れかけたリィンはフローラの方に戻り彼女が視線を向けている先を見た。その先にはストーンヘンジに似た石柱が立っていた
リィン「………あの石柱がどうした?」
フローラ「いえ………あの石柱の方から視線を感じたのですが……まぁ、帝国軍のパトロールだとは思いますので気になさらないで下さい。それよりもガイウス殿が待ってますから行きましょう、リィン様」
フローラはそう言って馬を進めた
リィン「………まさかな」
リィンはそう呟いてガイウスの後を追った
???「あれがオジサンやレクターが言ってた人達か〜情報だとルーアンの海魔やグランセルのクーデター未遂事件に関わっていたって言う話だけど………あ〜あ、レクターも狡いな〜自分はオルディスのテロ事件の調査だなんて言ってるけど絶対美味しい海産物を食べたいだけだよな〜、僕もそっちの方が良かったな〜」
???「あ、でもオルディスにはクレアも居るんだよね〜、レクター小言言われるかも……ま、いっかとりあえずお仕事だね。行くよ《ガーちゃん》」
リィン「これは、本当に気持ち良いな!」
リィン達は馬の扱いに慣れ始めガイウスと共に高原を翔けていた
フローラ「えぇ………!本当に風になった気分です!」
フローラも気分良くリィンの隣で並走していた
ガイウス「やはり筋が良いな二人共、慣れない人は最後まで慣れないものだが……!」
リィン「ハハ!ガイウスの指導が良かったからだろうな!」
フローラ「気持ち良いのは確かですが、集落まで後どのぐらいですか?大分馬には疾走らせましたし………」
ガイウス「それは心配いらない、もうすぐ着く頃合いだ。っと見えてきたな」
視線を向けると集落が見えてきた
リィン「此処がガイウスの故郷か……」
集落に到着したリィン達は乗ってきた馬を馬留に繋いで集落に入った
ガイウス「まぁ故郷と言っても定住してる訳では無いけどな、夏から秋にかけては北に移動するのが常だ」
フローラ「成る程、だから遊牧民の家はあぁいった組み立て易い天幕なんですか?」
フローラが一番手前の家を見るとモンゴルのゲルみたいな造りをしていた
ガイウス「あぁ厚手の布で出来た移動式の住居でな。長老への挨拶を済ませてくるから少し待っててくれ」
「「「あんちゃぁぁぁん!」」」
ガイウスが長老に挨拶しようと歩き出そうとしたら前方から子供がガイウスの下に駆け寄って来た
「あんちゃん、おかえりー!」
一番幼い女の子がガイウスに抱いついてガイウスを迎えた
ガイウス「ただいまだ。リリ、いい子にしてたか?」
「うん!いっぱい母様の手伝いしたー!」
ガイウスが妹の頭を撫でると彼女は気持ち良さそうに目を細めた
「ガイウスあんちゃん、おかえりなさい!」
ガイウス「ただいまシーダ、お土産も買ってきたからな。トーマも、集落に変わりは無いか?」
トーマ「アハハ、大丈夫だよ。皆仲良くやっているよ」
リィン「う〜ん、仲睦まじいな」
フローラ「えぇ……理想的な家族ですね」
トーマ「って、あんちゃん。この人達は……?」
ガイウス「あぁ、ノルドに観光に来た人達だ。ほら、挨拶しなさい」
ガイウスは弟妹達をリィンの前に出した
トーマ「初めまして、あんちゃ……じゃなくてガイウスの弟のトーマです。こっちは妹のシーダとリリです」
シーダ「は、初めまして……シーダと言います」
リリ「リリだよ〜。あんちゃんのお客さま〜?」
ガイウスの弟妹達はそれぞれしっかりとした自己紹介をしてきた
リィン「リィンだ。宜しくな」
フローラ「フローラです。とても可愛らしい弟妹ですね」
シーダ「わ、わわ!すっごく綺麗な人……!」
リリ「お姉ちゃん、髪キレ〜!」
リリはフローラの足元に駆け寄ってきてフローラの服を掴んだ
フローラ「フフ、ありがとう。貴女も可愛らしいわよ」
フローラもそんな幼子の行動に微笑みリリの頭を撫でた
「あらあら、随分賑やかね」
そんな会話をしていると奥から男女が歩いてきた何処となくガイウスに似た雰囲気だ
ガイウス「父さん、母さん。ただいま戻りました」
「うむ、無事に戻って何よりだ」
「ふふ、お帰りなさい。それと……初めましてガイウスの母のファトマと言います。ガイウスがお世話になりましたね」
「ガイウスの父のラカン・ウォーゼルだ。遥々帝国から良く来てくれた。君達を歓迎しよう」
その夜ガイウスの家の離れを貸してもらい夕餉もご馳走に預かった……
リィン「ご馳走様でした。とても美味しかったです」
ファトマ「ふふ、それは良かったわ。帝国の方のお口に合わないかと思ったけど……」
フローラ「とんでもないです!……どれも味わい深くて、後でレシピ聞いとかなきゃ」
ファトマ「あらあら、熱心ね。でもそうね……食べてもらいたい人がいると作り甲斐がある物ね。……貴女も頑張りなさいね」
フローラ「はい……」
リリ「うみゅ……」
シーダ「………」
ガイウスの妹達は夕餉を食べて眠気が出たのか舟を漕いでいた
ガイウス「ふむ、二人はもう寝かせた方が良いか……トーマ、リリをおぶってくれ。俺はシーダを」
トーマ「判ったよ、あんちゃん。ほらリリ……母さんに挨拶」
リリ「みゅ?………母様お休みなさい…」
ファトマ「えぇ、お休みリリ」
ガイウス「父さん、母さん。俺達も妹達を寝かしつけたら横にならせて貰う。リィン、お休み明日ノルドを案内するから楽しみにしててくれ」
リィン「あぁ、お休みガイウス。俺も楽しみだよ」
そう言ってガイウス達は妹達を連れて寝室に下がった
ラカン「………どうだね、ノルドは?」
リィン「……素晴らしい地だと思います。人も自然も在るが儘というか……」
ラカン「そうか……だが最近共和国と帝国の間で小競り合いが多発していてな」
フローラ「それは……穏やかでは無いですね。大丈夫なんですか?」
ラカン「何、元々我等は遊牧民。万が一戦になったら退避する……だが、帝国は良き隣人でもあるが共和国もまた人……争わないで済むのが一番何だが……」
ラカンはそう言って腕を組んだ
リィン「ラカン殿……」
ラカン「済まない、何が言いたいかと言うと小競り合いに巻き込まれない様に注意してくれと言いたかったんだ。ささぁもう夜も遅い、我等も寝るとしよう」
リィン「えぇ…、お休みなさい」
ー 05:30ノルド方面共和国軍基地 ー
「何処に行った!?」
「探せ!!生死は問わないそうだ!」
「おい!ガンシップが動いてるぞ!!誰の命令だ!?」
「《奴》だ!捕まえろ!追跡機を出せ!帝国領に侵入しても構わん!必ず撃墜しろ!!」