ー 翌日 ー
リィン「ここは………?あぁ、ガイウスの家に泊まったんだっけ…」
羊の鳴き声にリィンは目を覚まし、見慣れない部屋に一瞬戸惑ったが直ぐに思い出した
リィン「フローラは…………既に起きてるか」
リィンは隣で寝ていたフローラのベットを見たたが寝具が整えられていて既に居なかった
リィン「……時間は……五時か、もう一眠りするのも微妙な時間だな……起きるか」
リィンは懐中時計を見て起き上がり服を着替えてベットも整頓して外に出た。外はまだ少し肌寒いが周りの家は朝餉の準備しているのか煙突から白い煙が上がっていた
リィン「さて……フローラは何処に居るかな?」
リィンはフローラを探しに集落を歩き周り朝早くから羊の世話をしていた人に話を聞くと集落の外に出たらしい
リィン「集落の外……?兎に角行ってみるか」
そうしてリィンも集落の外を出て少しした処の小高い丘にフローラが立っていたから声をかけようとした時………その歌がノルドに響いた
夕闇迫る雲の上 いつも一羽で飛んでいる
鷹はきっと悲しかろう
音も途絶えた風の中 空を掴んだその翼
休めることはできなくて
心を何にたとえよう 鷹のようなこの心
心を何にたとえよう 空を舞うよな悲しさを
雨のそぼ降る岩陰に いつも小さく咲いている
花はきっと切なかろう
色も霞んだ雨の中 薄桃色の花びらを
愛でてくれる手もなくて
心を何にたとえよう 花のようなこの心
心を何にたとえよう 雨に打たれる切なさを
人影絶えた野の道を 私とともに歩んでる
あなたもきっと寂しかろう
虫の囁く草原を ともに道行く人だけど
絶えて物言うこともなく
心を何にたとえよう 一人道行く この心
心を何にたとえよう 一人ぼっちの寂しさくを
…………陽が昇る瞬間フローラの横顔は寂し気で、消えてしまいそうな感じがしてリィンは後ろからフローラを抱きしめた
フローラ「……あ、リィン様おはようございます。どうしました?怖い夢でも見ましたか?」
フローラは一瞬驚いた顔をしたが直ぐに笑顔を繕いリィンに笑いかけた
リィン「あぁ、怖い夢だ。フローラがこのまま消えてしまいそうな…………」
リィンは抱きしめたままフローラの顔を見た
フローラ「…………さっきの唄ですか?大丈夫ですよ。同族が居ないのは確かに寂しいですけど、貴方を置いて行ったりしません」
フローラもリィンの腕を優しく重ねた
フローラ「…………そう、貴方と共に在りたいから。貴方の家族でいたいから……」
フローラはそう言って振り返りリィンの頬にキスをした
リィン「フローラ……っ!?」
フローラ「フフフ……さ、集落にもどりましょう。そろそろ朝食の用意が出来るでしょうし」
フローラはリィンの手を掴んで歩き出した。気の所為かその顔は紅かった……
ガイウスの家に戻りリィン達は用意された朝餉をガイウス一家と舌鼓をうった
リィン「済まないなガイウス、朝餉までご馳走になって」
ガイウス「何、客を饗すのは当然だ。それでリィン。遠出しないか?見せたい物がある」
リィン「それは構わないが、見せたい物…………?」
ガイウス「あぁ、ノルドに伝わる『巨人像』だ」
選曲『ゲド戦記』よりテルーの唄