閃の軌跡〜変わる物語〜   作:名無し名人

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第32話

リィン「………話し合いを求めるにしては随分派手にやったな?」

 

リィンはちらりと周りの惨状に目を向けた。ガンシップの銃痕がノルドの大地に穿たれそのガンシップも二隻共煙を吐きながら墜落していた

 

エミリア「返す言葉も無いわね………でも帝国に喧嘩を売る積りは無いわよ?私は唯脱走兵を追跡して来ただけよ」

 

エミリア中尉は両手を挙げながら反論したがリィンも冷たく返す

 

リィン「帝国云々言う前にノルドの民に謝れ、此処は彼等の土地だ。お前達は勝手な理屈で他人の家に土足で入りこんだのだからな?」

 

エミリア「ムグ……ッ!!た、確かにそうなんだけど……そ、それより貴方一体何者!?ガンシップのエンジンを剣で切り裂くなんて……帝国兵では無いわよね?」

 

リィン「俺か?俺は唯の観光客だ。軍人どころか士官候補生ですら無い、一般人だ」

 

その言葉を聞いたエミリア中尉はマジマジとリィンの顔を見て言った

 

エミリア「……嘘よね?」

 

リィン「本当だが?この場で嘘付くメリット無いだろう?」

 

エミリア「…………帝国は貴方みたいなのがゴロゴロいる訳?」

 

リィン「んな訳あるか…………出来そうな人は二、三人心当たりはあるがな」

 

帝国ならアルゼイド子爵やオーレリア伯爵……会った事は無いがヴァンダイク元帥も相当な武の持ち主の筈……

 

エミリア「それでも二、三人もガンシップを切り裂けられる達人が居るのね……」

 

エミリアは両手を挙げながらガックリと肩を落とした

 

リィン「実際の戰場では数が物を言うから二、三人達人がいたところでどうにもならんよ。で、アンタが撃ち落としたガンシップに乗っていたのは脱走兵だと?」

 

リィンは些か脱線した話を戻し尋ねた

 

エミリア「えぇ、そうよ。ノルドの我が軍の基地の兵がガンシップを奪って脱走したのよ。それを撃墜せよと命令が下って私が追跡、撃墜した……までは良かったんだけど、ね」

 

エミリア中尉は深い溜息をついた

 

リィン「ゼンダー門の帝国軍には通達は?」

 

エミリア「……多分今頃連絡が行ってると思う。奪われたガンシップの追跡で慌ただしかったから」

 

リィン「……なら一応安心……なのか?いや、帝国側の領域に無断侵入した挙げ句銃火器を使用しているから共和国に抗議がいくな、これは……」

 

エミリア「…………始末書、免れないかしら?」

 

リィン「始末書位で済めば良いがな」

 

フローラ「リィン様」

 

もう一隻のガンシップの救助に当たっていたフローラとガイウスが気絶しているらしいパイロットを拘束して連れてきた

 

リィン「フローラにガイウス、どうだった?」

 

フローラ「パイロットは墜落時に怪我をして気絶してましたが命に別状は無いです。一応武装解除及び拘束してガイウス殿の馬に乗せてます」

 

ガイウス「…………で、そっちが銃撃したガンシップのパイロットか?」

 

ガイウスの表情が硬いがノルドの民の地を荒らした張本人が目の前に居るので致し方ない

 

エミリア「あ〜、君はノルドの民……だよね?私はエミリア・ハーリング中尉、君達の故郷を無断で入って騒がして申し訳無いです」

 

エミリアは深々と頭を下げて謝罪した

 

ガイウス「………ふぅ、謝罪は受け取ろう。だが何故彼は逃げて来たんだ?納得出来る説明を聞きたい」

 

ガイウスは深い溜息をついて謝罪を受け入れた後至極真っ当な疑問をぶつけた

 

エミリア「あ……えっ…と、その…彼は脱走兵で理由はその……」

 

リィン「理由は明かせないと?」

 

エミリア中尉はバツが悪い顔で頷いた

 

ガイウス「それで納得しろと言うのか?」

 

ガイウスはエミリア中尉に詰め寄ろうとするがリィンが止めた

 

リィン「気持ちは分かるが今彼女を責めても仕方ないだろう。とりあえずゼンダー門に連絡して帝国軍に引き渡そう、フローラ墜落したガンシップの通信機は使えそうか?」

 

フローラは頭を振った

 

フローラ「駄目ですね、通信機は銃痕だらけで完全に壊れていました」

 

リィン「そうか……まぁ今頃帝国軍も共和国軍の侵入に緊急発進してる筈だ。時期に此処に来るだろう」

 

リィンは墜落したガンシップを背もたれにして座った

 

リィン「ガイウスもフローラも座って待とう、どの道時間はあるんだ。『ノルドの守護者』をじっくり観察しよう」

 

リィンはそう言ってノルドの巨神像の方に向いた

 

ガイウス「…そう、だな」

 

フローラ「では、我々も座って待ちましょう」

 

フローラもガイウスも地べたに座ったが……

 

エミリア「あの〜………私は?」

 

エミリア中尉は両手を挙げたままだった

 

リィン「………抵抗しないなら手を挙げなくても良いし、座っても良いよ」

 

エミリア「抵抗しないわよ、ガンシップ切り捨てられる人外相手に挑むなんて二度とごめんよ」

 

エミリア中尉はそう言って座った

 

リィン「誰が人外だ、誰が!人を化け物扱いするな」

 

エミリア「似たような物でしょうに。で、貴方の名前まだ聞いて無いんだけど?」

 

リィン「……リィンだ、リィン・アイスフェルト」

 

エミリア「ふ〜ん、リィン……ね?貴方、貴族?同性の私から見ても美人なメイド連れているし」

 

エミリア中尉はフローラの方をチラリと見て言った

 

リィン「何を想像してるかは聞かないが、俺は只の平民だ。彼女は理由があって俺に仕えてくれている」

 

エミリア「ふ〜ん、理由…ね」

 

エミリア中尉はそれを聞いてニヤニヤした

 

リィン「……何だ?ニヤニヤして……気持ち悪い」

 

エミリア「別に〜?唯苦労しそうだな〜と思ってね」

 

エミリアはそう言ってフローラの方に向いてウィンクした

 

ガイウス「やれやれ……ん、来た様だな」

 

ガイウスがそう呟いた通り帝国軍の高速飛行艇三隻がこっちに近づいて来てガンシップの墜落現場に着陸しハッチから銃を持った帝国兵が素早く展開した

 

「……共和国兵は兎も角、君達は誰かな?一人はノルドの民の様だが……」

 

大尉の階級章を付けた帝国軍士官が訝しげにリィン達を見た

 

リィン「俺達は観光でノルドに来た者です。ゼンダー門に確認して貰えれば判る筈です」

 

「成る程……悪いが君達には我々と一緒にゼンダー門に来て貰いたい」

 

大尉は連行されていくエミリア中尉を横目にリィン達にそう告げた

 

リィン「それは何故でしょう?」

 

「安心したまえ、疑うとかでは無く事情説明という奴だ。どうやら君達しか目撃してないからな…詳しい調書を取りたいのだ」

 

大尉は紳士的な態度で理由を説明した

 

リィン「……判りました。そう言う事なら同行します……二人も構わないよな?」

 

二人もそれぞれ頷いた

 

「協力感謝するよ。では乗ってくれ」

 

そう促されてリィン達は飛行艇に乗り込みゼンダー門に向かった……

 

 

 

 

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