閃の軌跡〜変わる物語〜   作:名無し名人

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第36話

「グルァ!!」

 

人狼は立ち塞がるリィン達に向かって突進し再生したばかりの右腕でその鋭い爪を真っ直ぐに伸ばし刺突しようとした。人狼からすればこの一撃で終わりだと思っていた。周りの人間達と同様に紙切れの様に吹き飛ぶと………だが

 

リィン「甘いな……」

 

リィンは紙一重で交わすとついでとばかりに人狼の右腕を撥ね飛ばした……

 

「………………っ!?」

 

人狼は数秒の間自分の右腕が切り落とされた事を理解出来ずその後の熱さと激痛に声にならない悲鳴をあげた

 

フローラ「余所見している暇はありませんよ?」

 

いつの間にかフローラは人狼の頭上まで飛び上がり、その手には棍が握られていた。それは一見すると何処にでもある棍に見えるが、只の棍では無くフローラ専用としてゼムリアストーン製で作られた棍でその重量は3トリム……地球の単位に換算すると約3トンにもなる、アンファングの技術で圧縮、調整された文字通りフローラにしか扱えない代物である

 

そしてそんな代物を人狼の頭に振り下ろされたらどうなるか?…………

 

「…………ッ!?」

 

その余りの衝撃に人狼は悲鳴一つすら挙げられず頭をかち割られた……

 

だが、人狼は持ち前の再生能力で右腕と頭を再生して目の前に着地したフローラを八つ裂きにしようと目を向けたら……

 

リィン「把!」

 

「ゴブッ?!」

 

右頬にリィンの拳が刺さり堪らず蹌踉めき……

 

フローラ「せいッ!!」

 

「ギャイン!?」

 

間髪入れずフローラの棍が左脇腹に叩き込まれ人狼は二、三回バウンドして吹き飛んだ

 

その様子を見ていたハーリング親子を初め生き残っていた共和国軍兵士達は呆然としていた

 

ハーリング中将「エミリア……私は夢を見ているのか?」

 

エミリア「……現実よ、お父さん。気持ちは判るけど……」

 

そう言ってる間にもリィン達は人狼に向かってゆっくりと歩いた

 

リィン「見事だな、エステルから棒術を教わったのか?」

 

フローラ「いいえ、我流ですわ。彼女の棒術は私には向いてませんし」

 

リィン「謙虚だな……まぁ良い、まずはコイツだな」

 

リィンは脇腹を押さえている人狼を睨んだ

 

リィン「タフだな……また再生している」

 

見ると人狼の傷は急速に塞がれている。だが……

 

フローラ「ですが、流石に『痛み』までは無かった事にはならないみたいですね。息もあがってる様ですし」

 

フローラの言うように人狼の額には脂汗が滲み出ていた……

 

リィン「という事はコイツやっぱり不死身では無いな、このままダメージを蓄積すれば……ッ!?」

 

リィン達は後ろに飛び退くと人狼の鉤爪がさっきまでリィン達が居た空間に凪いだ

 

リィン「まだ足掻くかッ……!」

 

フローラ「面倒ですね……リィン様、時間を稼いで下さい」

 

リィン「フローラ?」

 

リィンは怪訝な顔でフローラを見た

 

フローラ「アーツで仕留めます。奴を倒す為に少々時間が欲しいのです」

 

リィンは納得した顔で頷いた

 

リィン「………どのくらい欲しいんだ?」

 

フローラ「五分…いえ、三分下さい。特大のを用意しますので……」

 

リィン「三分ね……了解した!」

 

リィンは剣を構え直して人狼に向けて駆けて行った

 

フローラ「では……私も始めましょうか…」

 

リィンが向かったのを見送るとフローラもポケットから『ゴスペル』を取り出し構えた

 

フローラ「アーツ駆動………再構築…………」

 

フローラの足元には魔法陣が現れた

 

人狼はリィンを仕留めようと躍起になり拳を振り回すが当たらず逆にリィンの攻撃が当たる

 

リィン「どうせ切り落としても再生するなら打撃の方が良い……な!」

 

「バウッ!!!?」

 

リィンは伸びた人狼の腕を掴み一本背負い投げで投げ飛ばし人狼は背中から地面に叩き付けられ苦しげに呻いた

 

しかし人狼もすぐに立ち上がり再びリィンに襲うがリィンは跳び上がり人狼の頭を掴み体重を乗せた膝蹴りを人狼の顔に叩き込み人狼の鼻が潰れた

 

人狼は鼻を押えながらリィンを睨みつけようとしたが既にリィンは懐に入り人狼の顎を掌底で叩き込み人狼の体は宙に浮いて倒れた

 

「……ガハッ………!」

 

リィン「………なぁ、お前言葉判るか?これ以上戦っても無駄なのは判ってる筈だ。降伏しろ」

 

リィンは人狼に近づき降伏を勧告した

 

「………穢ラワシイニンゲン共メ、我ガ憎シミト怒リハキエヌ!!」

 

人狼はそう言って再び立ち上がり、リィンから背を向けハーリング中将達に向かって走り出した

 

ハーリング中将「ッ!?」

 

エミリア「こっちに来る!?」

 

「貴様ラダケデモ道連レニシテクレル!!」

 

人狼はリィンにこのまま殺される位なら最後に道連れをとハーリング中将達に狙いを定めた

 

エミリア「このッ!」

 

エミリアは拳銃を抜き人狼に向かい発砲したが止まらない

 

「我ガ憎シミ……同胞ノ恨ミ、思イシレ!共和国人!!」

 

リィン「させない!」

 

リィンは人狼の距離を詰めその両足を切り飛ばした

 

「グァッ!?ダガコノ程度スグニ………!」

 

リィン「いいや、充分だよ。『足止め』にはな……」

 

そう言ってリィンは人狼から距離を取った

 

人狼はハッと気付いてフローラの方に向くと彼女は何時でもアーツを撃てる準備が整ってた

 

「シマッ……!」

 

フローラ「我が敵を焼き尽くせ!ロードインフェルノ!!」

 

次の瞬間人狼は焔に包まれた

 

「ギャアァァァァァァ!?」

 

人狼も火達磨となり地面に転がり廻った。そして次第に動かなくなり……息絶えた

 

リィン「………」

 

リィンは警戒しながら近づき最早人狼は動かない事を確認して剣を収めた

 

リィン「完全に死んだよ。もうコイツは動かない」

 

その言葉を聞いて生き残った共和国軍兵士は歓声を挙げた

 

ハーリング中将「済まない、助かったよ」

 

エミリアに支えられてハーリング中将はリィンに近づいた

 

リィン「いえ……それよりも説明、してくれるんですよね?」

 

リィンはハーリング中将を睨んだ

 

 

ハーリング中将は溜息をついた

 

ハーリング中将「………判った……全て話そう。我が共和国の恥を……《超兵計画》について……」

 

 

 

 

 

 

 

 

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