第九話
ー七耀暦1197年リベール王国王都グランセルー
リベール王国は千年以上の歴史を誇る小国で、君主制を布いているが貴族制は廃止されている。現在の国王は第26代目となる女王・アリシアII世。ゼムリア大陸南部に位置し、北のエレボニア帝国と東のカルバード共和国という2つの大国と国境を接している。小国でありながらも豊富な七耀石資源と高い導力器技術、そして女王の巧みな外交によって両大国とも対等な関係を保っており、緊張感の高い両大国の間に位置する緩衝国として働いている。
リィン「これが、リベールか…」
空港を降りて見て思うのは、実際に見るのと知識として知っているのでは大きく違うという良い例だろう。人々の笑顔が多い
ユン老師「感心するのは良いが此処が目的地では無い事を忘れるでないぞ?」
ユン老師に注意され本来の目的地を思い出す
リィン「すいません、老師この後の予定はどの様に行くのですか?」
ユン老師「うむ、このままグランセルを出てキルシェ通りに徒歩で移動する。途中のグリューネ門に通過すればロレントじゃ、リィンお主は体力に自信はあるかの?」
リィン「大丈夫です。少しは鍛えていますので徒歩程度なら問題ありません」
ユン老師「良し、では行くとするかの」
俺と老師はグランセルを出る為に歩き出した…
ユン老師「しかしグランセルも久しぶりじゃ…」
懐かしげに呟く老師に俺は尋ねる
リィン「老師は前にリベールに来た事が…?」
ユン老師「うむ、以前リベール王国に招聘されて士官学校の特別講師として教鞭をとっていたのじゃ、カシウスとはその時からの付き合いじゃな」
ユン老師「あの時の候補生が大佐になるとは思わなんだが…うん?」
リィン「老師?どうしまし…なんでしょうか?出口に人だかりが出来てますね。王国兵が対応に追われているようですが?」
ユン老師「何か起きたのかのう?近付いてみるぞ」
リィン「解りました」
俺たち二人は人だかりの方に近付いて王国兵に声をかけた。
ユン老師「もし、何がありましたかのう?」
王国兵「ん?ああ、実はキルシェ通りに大型魔獣が出たんですよ。それで今は民間人に被害が出ない様に封鎖する事にしたんです。」
ユン老師「なんと…ではエルベ周遊道に迂回しないと…」
王国兵「すいません、そちらもあいにく大型魔獣か出てるんですよ。今遊撃士に依頼を出しましたので…多分一日あれば片付くと思いますので、申し訳ないのですがグランセルに戻って宿を取ってください。では自分はこれで」
説明してくれた王国兵はそう言って此方に敬礼して持ち場に戻っていった…
リィン「参りましたね…」
ユン老師「何、儂が切り捨てれば問題無いわい…」
リィン「遊撃士の仕事を奪うのは止めて下さい、面倒な事になります」
ユン老師「冗談じゃよ」
俺のツッコミに老師はそう言ったが、あれは半ば本気の目だった…
ユン老師「仕方がないのう、一旦戻るぞい」
そうして一旦戻って来て《ホテル・ローエンバウム》に宿を取った後老師はまた出掛けると言ってきた…
ユン老師「折角じゃから儂は〘知人〙を訪ねてくる。お主もこの機会にグランセルを観光してくれば良い」
そう言って老師は部屋を出ていった
リィン「…歩いて見て回るか…」
俺は少し空腹だったので《エーデル百貨店》サンドウィッチを買い近くのベンチに座った。
リィン「ボリュームたっぷりで旨そうだな、いただき『ちょっと!貴方何てことするのよ!?』なんだ?」
近くの通りに人が集まっていたから俺も近付いて隣の男性に尋ねた。
リィン「何が有ったんです?」
通行人「チンピラが小さい子供を弾き飛ばしたんだ、それをあの嬢ちゃんが咎めてるんだよ」
そう言って指差す方に目をむけると確かに地面に座り込む子供
の前にスミレ色の女の子が守る様に立っていた。女の子の前なはいかにもチンピラ風の男がヘラヘラしながら言った。
チンピラ「なに怒ってるんだよ?其処のガキがちんたら歩いてたからぶつかっただけだろうが」
スミレ色の女の子「巫山戯ないで!貴方がわざとこの子の進行方行を塞いだのを私は見てたんだからね!」
周りからは又アイツだよ…と言う声が聞こえる所を見るにあのチンピラはこの辺では有名らしい、というかあのスミレ色の女の子はまさか…って!あのチンピラあの娘を殴ろうとしてる!?周りも気付いて悲鳴をあげている!…嗚呼もうこうなったら!…
ースミレ色の女の子視点ー
もう最悪!折角久しぶりに町にお買い物を楽しもうと思ってたのに!!ユリアさんは少し遅れるって言うし、町に出たら出たであんなチンピラがあんな小さい子に虐めるのを目撃して気が付いて見れば私はチンピラを咎めてるし、しまいには子供に謝れと言ったらチンピラが逆上して今にも拳を振り上げて殴ろうとしてるし!今更避けられないし、せめてこの子に怪我しないように抱きしめてあげるしかないわ。
ユリアさんごめんなさい!後でお説教を受けますら!……?チンピラの拳が飛んでこない?恐る恐る目を開けると同い年位の男の子がチンピラをドロップキックで倒していた…!
ーリィン視点ー
チンピラ「キュウ…」
リィン「……」
女の子の様子を見てみると怪我一つ無いのが確認出来た。
スミレ色の女の子「貴方は一体…?」
リィン「唯の旅行者だよ?」
そう言って俺は彼女にてを差し伸べた。
リィン「大丈夫、立てるかい?」
スミレ色の女の子「え?ええ、ありがとう…あの?」
リィン「とりあえず場所変えないかな?ちょっと人だかりが多くなったし」
スミレ色の女の子「そ、そうね私も賛成」
そうして俺達は絡まれていた子供を親に引き渡すとそそくさとその場を後にした…
《コーヒーハウスパラル》
注文したジュースを飲みながら改めてお互いに話し合った。
スミレ色の女の子「改めて助けてくれてありがとう、貴方のおかげであの子も私も怪我一つなかったわ」
リィン「礼には及ばないさ、だけど無茶もいいとこだよ?幾らチンピラだからといっても大人だからね?」
スミレ色の女の子「ゔ…それは、解ってるんだけど性分でつい…あ、そういえば名前を言ってなかったね?私はクローゼ、クローゼ・リンツていうの貴方の名前も教えて欲しいわ」
リィン「俺はリィン・アイスフェルト宜しく、エレボニアから来た旅行者さ」
クローゼ「リィンね、こちらこそ宜しくリィンは旅行者って言ってたけどグランセルは何時きたの?」
リィン「今日来たばっかりさ、本当はロレントに行く予定だったんだけど大型魔獣が街道を塞いでいるから一日ホテルで待機さ」
クローゼ「そうなんだ…じゃあお礼にグランセルを案内してあげる!私これでも地元民だからガイドブックに載ってない美味しい屋台とかも知ってるわ!」
リィン「いいのかい?」
未来の次期女王に観光案内なんて畏れ多い様な…
クローゼ「良いのいいの!私も今日久しぶりに買い物したいと思ってたんだけど、付き添ってくれる予定の人が遅れるって言うから一人じゃあつまらなかったから一緒に居てくれると嬉しいわ」
ここまで誘ってくれるのに断わるのは失礼かな…?
リィン「…じゃあお言葉にあまえようかな?」
クローゼ「やったぁ~!じゃあ早く行こう!案内してあげる!」
そう言って俺の手を笑顔で引っ張りながら早く行こうと促した
リィン「やれやれ、王室に知れたらどうなるやら?」
クローゼ「リィンどうしたの?」
リィン「なんでもないよ、じゃあ案内頼むよクローゼ?」
クローゼ「ふふ、任せて頂戴」
そうして俺はクローゼの案内で観光を楽しんだ。歴史資料館を回ったり、再び《エーデル百貨店》でクローゼが欲しがったみっしぃ(太眉バージョン、何故制作者はこれでゴーサインを出した?)を購入したり、リベールの象徴の白ハヤブサを模した髪留めをクローゼにプレゼントしたり(何故か店員が微笑ましげに見たりクローゼが顔を紅くしていた、解せぬ)屋台でクレープを一緒に食べたり充実した一日だった…
ーグランセル城前ー
クローゼ「今日はありがとう、とても楽しかったわ!」
リィン「こちらこそありがとう。楽しい観光だったよ」
クローゼ「……明日ロレントに向かうのよね?」
リィン「うん、当分はロレントに滞在するつもり」
クローゼ「そっか…ねぇ、リィン!これを貰ってよ!」
そう言って取り出したのは黒いハヤブサが描かれた懐中時計それも導力を使わないゼンマイ式の時計だった
クローゼ「亡くなった父様と母様が私に誕生日プレゼントに贈ってくれた白ハヤブサと黒ハヤブサの時計、リィンに黒いハヤブサの方の時計をあげる!」
リィン「そんな…御両親の形見の品なんて受け取れないよ…」
クローゼは頭を振った
クローゼ「確かに形見たけど、何時までも後生大事に持っていても父さまや母様は喜ばないと思うわ。それだったら信頼できる…貴方に持っていてもらえれば私も嬉しいわ…」
これは…ここまで言われれば断れないな
リィン「判った。有難く受け取らせて貰うよ。」
俺は懐中時計を受け取った
クローゼ「またグランセルに遊びにきてね?その時は私も立派な淑女になって歓迎するから!」
リィン「うん、俺も何時かここでまた会えるのを楽しみしてる」
そう言って俺達は互いにわかれた…
ーホテルにてー
ユン老師「のう、リィンよ?」
リィン「何でしょうか?老師?」
ユン老師「デート楽しかったかの?」
リィン「…………ゑ?」