ラウラ「もう一度言うぞ。この場での諍いは辞めてもらおう」
領主の娘の登場に周りは驚き、クロスベルから来た男も一瞬驚いた顔をしたが直ぐに不遜な態度になった
「諍い……?勘違いしないで頂きたい。私はこの美しきメイドを紳士的に雇用してやると言っただけです。それをこの小僧が一方的に邪魔をしてきたのです。罰するなら此奴一人にして頂きたいですな」
男はそう言ってフローラに手を伸ばしたが不快な顔をしたフローラに手を叩かれた
ラウラ「……彼女は拒否しているが?」
「照れ隠しなのでしょうな。私に仕えるなら給金もこの小僧よりも出せるし、彼女は贅沢も出来る。誰も不幸になってない」
面の皮の厚い男の発言に周りも呆れ返った
ラウラ「……っとこの者はこう申してるが、そなたの言い分は?」
ラウラも不愉快な顔を隠しきれず、ラウラはリィンに話を振った
リィン「………彼女は私の家族です。彼女の意思を無視して強引に誘う、とは理不尽ではないですか?」
「家族?フン……!たかがメイドの一人や二人……また募集すれば良いだけの話だろう?何が家族だ、笑わせてくれる」
リィン「貴様がどう思おうが勝手だ……だがな彼女は俺にとってかけがえのない大切な家族だ。どんなに金を積まれた処で貴様に譲るつもりも無いし、譲るものでは無い!」
「………つけ上がるなよ小僧、財力も権力も劣る貴様が私に敵うものか……!」
ラウラ「止めぬか!!互いにそう主張するならば彼女に決めて貰おうでは無いか!」
その言葉に場にいた全員がフローラの方を向いた
フローラ「………」
フローラは黙って二人を見た、かたや紳士的に取り繕うが下卑た感情を自分に向ける男、かたや自分を家族と言ってくれた主……フローラは悩むまでも無く……
フローラ「私は……リィン様のメイドです。それ以外は有り得ません」
フローラはリィンの脇に立ち、堂々と宣言した
「な………ッ!?正気か!?そんな財力も権力も無い小僧など未来がある訳が無い!!私に仕えれば贅沢が保証されるぞ?」
男は結果に納得がいかないとばかりにフローラに詰め寄ろうとした
フローラ「勘違いなさってる様ですね。私がリィン様に仕えているのはそんな物の為では無いのですよ。最も、それを貴方に言った処で理解出来ないでしょうが…」
「………」
男は絶句して言葉がでなかった
ラウラ「ふむ……決まりだな、ではそなたは出て行って貰おうか?」
「……何……?どう言う事だ!?」
男はラウラの言葉に驚いた
ラウラ「領民からそなたの素行に苦情が寄せられている。道端に平気でゴミを捨てたり、婦女子に声をかける等迷惑しか無い行動にうんざりしているとな」
ラウラはそう言って男を睨んだ
「ク……ッ!俺は観光客だぞ!?この地にミラを落としているんだ!だから……」
ラウラ「何をやっても良いと………?思い上がりも程が有るな、現地のマナーを守れない者は観光客でも何でもない、それ以上ごねるなら遊撃士に通報するぞ」
「………クソッ…!」
男はラウラ以下周りの民衆の冷たい視線に耐えきれず店を出て行った
男が出て行くと周りからは歓声が上がりウェイトレスは出口に塩を撒いた
ラウラ「大丈夫か?済まない、折角レグラムに来てくれたのに嫌な思いをさせてしまって……」
ラウラは申し訳無さ気に言った
リィン「気にしないで下さい。貴女の責任では無いのですから…」
ラウラ「そう言って貰えるなら助かるが……敬語は辞めて貰えぬか?見たところ私とそなたは同い年の様だし、呼び捨てで構わない」
リィン「……判ったよ。ラウラ……で良いのかな?」
ラウラ「うん、それで構わない。それで…そなた達の名を聞いても良いかな?」
リィン「あぁ、俺はリィン・アイスフェルトだ。こっちの女性は…」
フローラ「フローラ・クリフトと申します。私からも御礼申し上げます」
ラウラ「リィンにフローラ殿か……うん?何処かで聞いたな……そう言えば父上がリベールに行った時に面白い者に出会ったと、ふむ……」
そう言ってラウラはリィンの顔を覗きこんだ
リィン「えっ……と?」
ラウラ「リィン、済まぬが私に着いてきてくれぬか?」
リィン「それは……構わないが何処に?」
ラウラ「我が父ヴィクター・S・アルゼイドに会って貰いたい」