食堂を出たリィン達はラウラの案内の元レグラムの街を歩いているのだか……
「おや、ラウラ様。今日良い野菜が届きましたからどうですか?」
ラウラ「うん、中々鮮度が良いな、時間が空いたら寄らせて貰う」
「あ、ラウラ様だー!わたしにけんじゅつ教えてー!」
ラウラ「大きくなったらな、それまでは友人と遊ぶがいい」
「ラウラ様〜〜!!今日も凛々しいです〜!ってこの男は…?まさか……!!」
ラウラ「彼は観光客だ。父上の知り合いでもあるから連れているんだ」
「あ、あら〜!そうでしたか〜!!ごゆっくり〜」
リィン「……慕われているな」
年若い娘の黄色い歓声が多い気がするが……一部リィンを睨んだりしてるし…
ラウラ「有り難い事にな、父上も威張らない人だから領民も安心していられるんだろう。此処には遊撃士ギルドもあるしな」
フローラ「そういえばレグラムには遊撃士ギルドがあったんですね。他は閉鎖されたのに……」
ラウラ「ふむ、帝都や他の領地ではそうなったと噂では聞いていたが……此処レグラムでは遊撃士の存在はとても大きく領民との関係も良好だ。最もギルドと言っても遊撃士が一人居るだけだが……それで、リィンと言ったか?そなたリベールで父上と会って仕合したのか?」
リィン「あぁ、大使館の修練場を使わせて貰ってな」
ラウラ「父上の木剣を砕いたというのも?」
リィン「それは語弊があるな、確かに閣下の木剣も砕けたが俺が持っていた木剣も同時に砕けた。アレは実質引き分けだ」
ラウラ「それでも父上の剣を砕いた………?」
ラウラは何とも言えない表情になった
リィン「納得いかない………そんな顔だな?」
ラウラ「あぁ!いや……うん、確かに納得し難いかな?そなたは嘘を言ってる訳では無いだろうし、父上も誇張はしない方だから真実だとは思う、だが……」
ラウラは取り繕おうとしたがバツが悪い顔で言葉を濁した
リィン「……ラウラはヴィクター閣下が好きなんだな」
ラウラ「当然だ。剣士としても父としても、尊敬している。そして何時かきっと父上を超えた剣士になりたい……そう思ってる」
ラウラは自慢気に、誇らしく笑顔で言った
リィン「……羨ましいな、そういうのは」
ラウラ「リィン?」
リィン「いや……何でも無い、それよりも前方から高級車が走ってるが…ヴィクター閣下の客人かな?」
リィンが指差す方にラウラか向くと確かに高級車が走ってきた
ラウラ「ん?あぁ……確かアルバレア侯の派閥の貴族が来てた筈だったな。どうやら用向きが終わったみたいだな」
ラウラがそう言うと高級車がラウラの目の前に停まり窓が開くと顎髭が立派な男が出てきた
「おぉ、ラウラ嬢!こんな場で会うとは」
ラウラ「………これは伯爵閣下、お帰りになられるのですか?」
「うむ、ヴィクター子爵には是非とも同じ貴族として『茶会』に参加して欲しいと思っていたのだが、良い返事は貰え無かったのでな、一旦帰らせて貰うよ。あぁ、そうだ!良かったらラウラ嬢が『茶会』に参加しないかね。君と同い年の子女も来るからこの機会にどうかね?」
ラウラ「お戯れを……たかが子爵の娘如きがアルバレア候主宰の『茶会』に参加など、とてもとても…」
「ふむ……?まぁ気が変わったら何時でも連絡してくれ、歓迎するよ」
ラウラ「……痛み入ります、気を付けてお帰りください」
「ハッハッハ!ありがとう!……それで……?隣にいる平民は何かな?」
伯爵はラウラに対する表情とは打って変わりリィンには無表情に目線を向けただけだった
ラウラ「彼は我がレグラムに観光に来た者です。私が案内している最中でした」
「ほう!それはそれは………おい平民、貴様の隣にいる才媛は貴様ら平民が本来気安く話しかけられる存在では無い、精々ラウラ嬢の寛大な配慮に感謝するんだな。……出せ」
そう一方的に言って貴族は再び車を出し去っていった
フローラ「……リィン様、アレ……撃っても良いですか?」
リィン「気持ちは判るが、辞めろ。こっちがお尋ね者になるだけだ」
フローラは頬を引き攣らせながら銃を取り出そうとしたがリィンは窘めた
ラウラ「済まない、嫌な思いをさせてしまったな」
リィン「気にするな、ラウラの責任じゃあ無い。全ての貴族があぁでは無いのも知っているさ、それよりもヴィクター閣下の処に行くんだろう?」
ラウラ「あ、あぁ…そうだな、こっちだ」
ラウラは気を取り直ししてリィンをアルゼイド邸まで案内した
リィン「立派な館だな、隣のは…練武場か?」
ラウラ「あぁ、我がアルゼイド流の道場だ。今なら……執務室か」
ラウラはそう言ってリィン達と館に入り執務室の前に立ち扉をノックした
「ラウラか?また客人が来たのか?」
ラウラ「えぇ、父上がリベールで会ったと言う者です」
ヴィクター「ほう……入りなさい」
ラウラ「失礼します」
入室を許可されラウラは扉を開くと、ヴィクターはリィンを見ると立ち上がった
ヴィクター「久しいな……グランセル以来だな。リィンよ」
リィン「お久しぶりです。ヴィクター閣下、帝国大使館ではお世話になりました」
ヴィクター「何、それは私もだ……それよりも……」
ヴィクターはチラリとリィンの剣を見た
ヴィクター「……その様子だと前のは使い物にならなくなったな?」
リィン「えぇ……あの後新しい太刀を偶然手に入れたんですが……訳あって直ぐに駄目になりました」
リィンは苦笑して自らの剣を軽く叩いた
ヴィクター「フ……余程の強者と業物に出会ったか、丁度いいリィンよ。そこにいるラウラと手合わせしてくれぬか?」
ラウラ「父上?」
ヴィクター「リィンは八葉一刀流の中伝の遣い手だ。いい刺激になるだろう。他国の剣術……しっかり学びなさい」