レグラムを発ったリィン達は定期船を降りてアグリア旧道を歩き紡績の街パルムに入った
リィン「ここがパルムか……」
リィンは歩きながら抱いた第一印象としては綺麗な川と水車がある静かな街だ
フローラ「古くから紡績業が盛んな街として知られているようですね。導力革命以降も水車を動力とした昔ながらの縫製機で伝統的な縫製を続けてるみたいです」
リィンの隣でフローラはパルムの特産を解説した
リィン「近隣の養蚕農家から上質な生糸を仕入れているのか」
フローラ「その様です。当然染色も盛んで、毎年四月には『春の染上げ』という行事があり、職人がその腕を奮って競い合うようですよ」
リィン「パルム産の縫製製品か……確かに帝国各地の高級店には必ず置かれてるな」
フローラ「えぇ、帝国国内だけでは無く国外にも輸出されてますね。当然リベールにも」
リィン「そう言えばボース市が近いんだったな。確かにボースマーケットでも見かけた記憶がある」
リィンはボースを歩いていた時の事を思い出した
フローラ「ボースですか……色々ありましたね」
リィン「そうだな……目を負傷していたリーシャとロレントで初めて会ってボースまで送り届けて……自殺しようとしたのを止めに行ったな」
フローラ「その後リーシャさんの目や腕を治した後空港まで送って……」
リィン「………懐かしいな、そんな時間経った訳では無いのにな」
フローラ「えぇ……この先のタイタス門を越えればリベール王国です」
リィン「………」
リィンは彼女の顔を思い出していた。優しくも誇り高くあろうとした彼女の顔を……
フローラ「しかし……結局ヨシュアさんが見つかりませんでしたね。ほぼ帝国内を周りましたが……」
リィン「そうだな……だがヨシュアは何時までも姿を晦ます訳にはいか………ヨシュア!?」
リィンがそう言い切る前に目の前の花屋から正にヨシュアとカプア一家の姿が出てきた!
ヨシュア「リィン!?……何故君が此処に……」
ヨシュアも予想外の出会いに驚いていた
ジョゼット「どうしたの?ヨシュア……って、あ〜!?武道大会の時の!!」
キール「あ、あ〜アンタ達か……わりぃな」
ドレン「………手紙、ありがとうな。最も脱獄しといて何を言ってるかって話だが…」
カプア一家もリィン達を憶えていたらしくバツが悪そうに顔を逸らしていた
リィン「……ヨシュア」
ヨシュア「……リィン、何も言わないでこのままリベールに帰ってくれ」
リィンが言い切る前にヨシュアは冷たく言い放った
リィン「そうはいかない、エステルやカシウス師兄にヨシュアを連れ戻すと約束したからな」
ヨシュア「父さんが……?事情を話して納得してくれた筈……」
フローラ「エステルさんやシェラザードがカシウス殿に説教されて考え直しました。エステルさんも貴方の事を心配してましたよ。勿論シェラザードや私だって……」
ヨシュア「フローラさん………済みません。ですが僕は……」
リィン「………ヨシュア、その花束は誰に渡すんだ?」
ヨシュアの右手には花束が握られていた
ヨシュア「あ……これは、墓参りだよ。僕達のかけがえの無いあの場所の……」
ヨシュアは顔を伏せて言った
リィン「そうか……同行しても構わないか?」
ヨシュア「え?」
リィン「幾ら何でもパルムの町中で争う訳にはいかないからな。しかも墓参りなら尚更先に済ませでおくべきだろう?その後で互い話をつける……どうだ?」
ヨシュア「……判った、ついてきて」
ヨシュアはリィン達に背を向けてパルム間道の方に歩き出した
ジョゼット「あ!ちょ、ちょっと待ってよ〜!」
カプア一家も慌てて追いかけた
フローラ「宜しいのですか?問答無用で拘束した方が楽なのでは…」
フローラはリィンに耳打ちをした
リィン「それをしても多分ヨシュアは掻い潜ると思うよ。まずは言葉で尽くしてから、それで無理なら最悪拘束で」
リィンはそう言ってヨシュア達の後を追った
フローラ「……判りました」
リィン達はその後パルム間道に入りタイタス門に通じる間道の脇に別の脇道に入ったそこには立ち入り禁止の標識が……
ジョゼット「ちょっとヨシュア、ここ立ち入り禁止だよ?」
ヨシュア「……」
ヨシュアは構わずにフェンスを飛び越えた
キール「って、おい!勝手に中に……!」
ドレン「ちっ…!俺達も行くぞ!!」
カプア一家もフェンスをよじ登って中に侵入した
リィン「……俺達も行くぞ」
フローラ「はい」
リィン達もそう言ってフェンスを軽々と飛び越えヨシュアの後を追った
ヨシュア「……リィン、もしかしてわざわざ僕を追ってきて帝国まで…?」
ヨシュアはぽつりとリィンに問いかけた
リィン「……そうだ、お前の手がかりを探しにな」
ヨシュア「どうして……」
リィン「どうして?友を心配して探しに行くのにこれ以上の理由があるか?」
ヨシュア「友………」
フローラ「リィン様、アレを」
フローラが指差す方を見ると、村の跡が見えてきた
ヨシュア「………ようこそリィン、ここが僕の故郷………………
『ハーメル村』だよ」