閃の軌跡〜変わる物語〜   作:名無し名人

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第55話

ケビン「いやぁルーアンまで送ってくれておおきに、久しぶりに楽に移動出来たわ」

 

マーシア孤児院を出た後一行はルーアンまで一緒に行く事になり、途中魔獣に襲われたりもしたが難なく撃退し無事ルーアンに入ったケビンはエステル達に礼を言った。

 

エステル「アハハ、お礼は良いってば」

 

シェラザード「私達が居なくても貴方なら大丈夫だったんじゃない?ボウガンなんて珍しい物扱ってるし、かなりの腕前じゃないかしら?…得物と言えばリィンやフローラも凄かったわね。リィンの太刀は刀身が蒼いなんて珍しいし、それでいて硬い魔獣の殻をあっさりと一刀両断してるし、フローラもエステルと同じ棍を使ったスタイルになってたし」

 

エステル「うんうん!リィンもフローラさんも互いに息ぴったりにフォローし合ってて長年連れ添った相棒って感じで…」

 

リィン「まぁね、だけどまだまだこの太刀……リヒトを使いこなせてるとは言い難いけどね」 

 

そう言ってリィンは肩を竦めリヒトを撫でた。

 

フローラ「私も、色々と戦う術を考えてたのよ。まぁ棒術のイロハについてはエステルさんに敵いませんけど……」

 

ケビン「は、ハハ……リィン君達も凄いなぁ……ところでリィン君はこうしてルーアンに着いたけどこれからどないするん?これと言った用が無いならちょっとオレに付き合って貰いたいかなぁって……」

 

ケビンもリヒトの凄まじい切れ味に顔を青褪め、それを悟られまいとケビンはリィンに関係修復の為に声をかけた。

 

リィン「折角のお誘いですが……」

 

リィンが言いかけて……

 

フローラ「お断りさせて頂きますわ。お互いに『思うところ』ありますでしょう?」

 

フローラが笑顔で引き継いでケビンに断りを入れた

 

ケビン「そ、そら残念やなぁ……アハハ」

 

エステル「??」

 

シェラザード「まぁ、何があったかは知らないけど本題にもどるわよ。ケビン神父、専門家として今回の『幽霊』どう思うのかしら?」

 

ケビン「……そうやね、実はここルーアンの教会にも何人か相談に来てるらしい、ただテオドロ教区長によるとどうも普通の霊とは思えないそうなんや」

 

エステル「普通の霊じゃない?」

 

エステルは意味が解らないと首を傾げた

 

シェラザード「教会の教えだと人は亡くなると善なる魂は空に昇るんだったわよね?」

 

ケビン「えぇ、逆に罪を負った魂は昏き煉獄に落とされるんですけど……偶にその枠からはみ出てどちらにもいけん魂があるらしい。それが所謂『幽霊』やと教会では一般的には言われてますわ」

 

エステル「うぅ………彷徨える魂ってことね。でも普通じゃないってどういう事かしら?」

 

エステルは顔を青褪めながら言った。

 

ケビン「普通の霊は、多くの場合何かに縛られてる事が多い。人だったり、土地であったりな。せやけど今回の幽霊騒ぎにはどちらも当てはまらん。せやから教区長さんもしきりに首を傾げてたで」

 

エステル「成る程……」

 

ケビン「まぁ、調査の参考にしたってや。ほな、俺は礼拝堂に戻るわ。またな〜エステルちゃん達」

 

ケビンはそう言って去って行った。

 

エステル「う〜ん、何だかんだ言ってもやっぱり神父様よねぇ、格好は神父様らしくないけど……」

 

シェラザード「ふふ、巡回神父は変わった人が多いからね。私が昔一座に居た時も一時期何故か巡回シスターと一緒に行動してた時もあったわ」

 

エステル「へぇ~」

 

フローラ「そういえば貴女は元々旅の一座の人だったわね?」

 

シェラザード「そうよ、もう何年になるかな……皆元気にしてるかしら?」

 

エステル「それでシェラ姉、すぐに次の目撃者のエア=レッテンの兵士に話を聞きに行く?」

 

シェラザード「そうね……いえ、一旦ギルドに寄りましょう。一応新しい依頼が入ってないかチェックしとかないと」

 

そう言ってエステル達は遊撃士協会ルーアン支部の扉をくぐった。

 

ジャン「やぁ、エステル達じゃないか、もう目撃者の証言聞き終わったのかい……って君達は確か以前『オケアノス』討伐の時の……」

 

ルーアン支部の受付のジャンはシェラザード達を見て声をかけるがその後ろにいるリィン達に気づいた。

 

リィン「お久しぶりです」

 

エステル「実はまだ目撃証言の聞き取りは終わってないんだけど、また新しい依頼が来てないかチェックしに来たの」

 

ジャン「成る程ね、それなら一件あるね。これなんだけど……」

 

ジャンは一枚の依頼書を取り出しエステル達に手渡し、その内容を確認した。

 

 

『スキューバダイビングの実地試験をメージュ海道でしたいので護衛&泳げる方をお願いします。 PSルーアンの教会で待っています。ツァイス工房カーク』

 

シェラザード「……なにこれ?」

 

エステル「スキューバダイビングって書いてあるけど……そもそもスキューバダイビングって何?」

 

ジャン「う〜ん、僕も詳しくは知らないけど……海に潜るとか何とか」

 

フローラ「聞いた事があります。背中に酸素ボンベを担いで海の中を楽しむマリンスポーツとか、普段陸では見られない魚や生き物を間近に見られるという事です。 エレボニア帝国の海都オルディスで実用化されたそうですが…」

 

エステル「へぇ~、面白そう」

 

シェラザード「ま、兎に角依頼人に話を聞いてみましょうか」

 

シェラザードの一言で全員ギルドを出て依頼人の待つすぐ側の教会に向かい、中を覗くと如何にも技術者といった白衣を着た男性が祈りを捧げていた。

 

エステル「え〜と、貴方がカークさん?」

 

カーク「如何にも私がカークだが……君達は?」

 

シェラザード「遊撃士よ、依頼をしたでしょ?」

 

カーク「おぉ、来てくれたか。女神よ、感謝します」

 

カーク氏はそう言ってまた祈り出した。

 

エステル「し、信心深い人ねぇ……」

 

リィン「まぁ、別に良いけどな……」

 

シェラザード「はいはい、祈るのは後にして頂戴、貴方の依頼聞かせてくれないかしら?」

 

カーク「ハッ……!そうだった。コホン、依頼書にも書いてあったと思うが君達にお願いするのは護衛と実証実験の協力なんだよ」

 

エステル「スキューバダイビングの実証実験って事だけど?」

 

カーク「うむ、まずは君達はスキューバダイビングとは何なのか知っているかい?」

 

シェラザード「酸素ボンベを背負って海の中を潜るとは聞いたわね」

 

カーク「概ね合っているよ。隣国のエレボニア帝国のラマール州の海都オルディスで最近確立されたマリンスポーツでね。それで同じ海辺の都市だからルーアンでもやれないかと思ってね」

 

エステル「ふ〜ん、でもわざわざ酸素ボンベを背負って潜るって意味はあるのかしら?普通に泳ぐのでは駄目なの?」

 

フローラ「意味はありますよ。この技術は例えば沈没船の調査に使えますし、海難救助、資源調査……色々応用が効くんですよ」

 

フローラの説明にカーク氏は頷いた

 

カーク「そのお嬢さんの言う通り、マリンスポーツ以外にもこの技術は人々の役に立つ可能性を秘めているのだよ。どうだろうか、引き受けてくれるか?」

 

エステル「えぇ私は良いわよ。皆はどう?」

 

リィン「異存はないかな?」

 

フローラ「私も」

 

シェラザード「私も受けても良いと思うわよ」

 

カーク「おぉ…ッ!助かるよ。では早速メージュ海道に行こうか」

 

 

そしてメージュ海道の海岸に着いたのだが………

 

フローラ「こうなりましたか……」

 

リィン「まぁ仕方無いがな……」

 

エステルとシェラザードの二人は泳いだ経験が無い為、急遽アンファングで水泳をしていたリィンとフローラがダイビングをする事になった。

 

エステル「えぇっと、ごめんなさいフローラさん、リィン……私泳げなかったのすっかり忘れてて」

 

シェラザード「私もよ、うっかりしてたわ。それにしても……フローラ……アンタ、スタイル良いわねぇ…………」

 

今のフローラは普段のメイド服ではなくスキューバダイビングに使われるウェットスーツを着ていた。身体の線がくっきりと出るからスタイルの良さがはっきり出ていた。

 

フローラ「シェラザードだってスタイルの良さは負けてないでしょう?あ、リィン様、これが酸素ボンベの様です」

 

リィン「ありがとう、それでカークさん。このボンベは何分保つんですか?」

 

カーク「そうだなぁ、なんせ初めて造ったからなぁ……大体三十分ってところだな」

 

リィン「三十分か……十分だな、じゃあ海中遊泳と洒落込むかフローラ?」

 

フローラ「はい、お供致します」

 

そう言って酸素ボンベを背負って口に吸気ホースを咥えリィン達は海の中に潜った。

 

リィン(何気にこの世界での海のスキューバダイビングは初めてだな……)

 

リィンは蒼い海の中、泳ぐ小魚や海藻を見ながらゆっくり遊泳していく。隣にはフローラが寄り添いリィンと同じ速度で泳いでいた。

 

フローラ(……ニコリ)

 

リィンの視線に気づいたフローラも微笑みを返した。

 

そうして三十分、リィンとフローラは普段見ないカラフルな魚やゆったりと泳ぐ亀を鑑賞し、楽しい三十分を過ごした。

 

エステル「あ、帰ってきた」

 

そうして三十分きっかりで浮上してエステル達が待つ岸に戻った。

 

シェラザード「お帰り、どう?デート楽しめたかしら?」

 

フローラ「えぇ、とっても。有意義な時間だったわ」

 

リィン「ルーアンの新たな魅力を見つかる可能性がありますね。これは」

 

エステル「えぇ〜良いなあ…」

 

カーク「とりあえず成功だな、何か問題点は無かったかな?」

 

リィン「そうですね……」

 

カーク氏はそう言ってきたので考えを纏めて答えた

 

フローラ「正直酸素ボンベは酸素の量は少ないかと、三十分では物足りない人も居ると思いますし」

 

カーク「やはりそうか、それは今後の課題だな。他には何かあるかね?」

 

リィン「これもボンベ関係ですけど、少し担ぎ辛いんですよ。もう少し担ぎやすければ個人的には良いかな?」

 

カーク「ふむふむ、いや貴重な意見ありがとう。これでルーアンの魅力が増えそうだ。報酬はギルドに振り込んでおくよ」

 

リィン「それは良かった。あ、ボンベをお返ししますね」

 

カーク「いや、それは君達が持ってて構わないよ。必要なデータは既にあるからね。ウェットスーツも君達にあげるよ。今酸素を充填するから少し待ってくれ」

 

カーク氏はそう言ってリィン達が持っているボンベに酸素を充填した

 

カーク「これで良し、私はこれでツァイスに帰るが困った事があったら中央工房に来なさい。相談に乗るからじゃあさよならた」

 

カーク氏はそう言ってルーアンに帰って行った。

 

 

エステル「……さてシェラ姉どうしようか?」

 

 

 

 

 

シェラザード「決まってるでしょう。今度こそ《エア=レッテン》に向かうわよ」

 

 

 

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