聞き取り調査も終わり、生徒会室に戻ると他の面々は既に戻っていた。
ジル「あ、戻ってきたわね。それじゃあ報告会といきましょ」
全員かわ着席するとまずシェラザードから発言した。
シェラザード「まずは私から報告ね。各職員から話を聞いたところ用務員が怪しい人影を目撃したらしいわ」
エステル「次は私達ね。アタシ達は三人の生徒から、気になる証言を聞いたんだけど……」
エステルは得た証言を皆に説明した。
クローゼ「どの証言も校舎の裏手……つまり旧校舎が鍵になっています」
リィン「偶然……と言うには符号の一致が気になるな」
ドロシー「それじゃあ私の成果も発表しますね〜。生徒、職員の方々の写真を三十枚、校内の風景を五十枚も撮りました〜。えへへ、どれも可愛く撮れたと思うよ〜」
オリビエ「僕の方も大した成果は無かったね。フッ、リュートを演奏したら可愛い仔猫ちゃん達がいっぱい集まったけどね」
エステル「もう、二人とも、全然調査になってないじゃない。あんまり期待もしていなかったけど……」
エステルは呆れた声で二人を見た
ハンス「最後は俺達か……過去の資料を調べて似たような話が無かったか調べてみたが……この学園、校舎自体新しく造られたモノだから意外と怪談めいた話は少ないんだよな」
フローラ「逆にそう言った怪談は旧校舎の方が多いです。というより怪談話は大半が旧校舎です」
「「「「「……」」」」
シェラザード「……どう考えてもその旧校舎が怪しいわね。一体どういう建物かしら?」
ジル「学園の裏門の奥にある建物ですよ。築数百年経っているとか……二十年前までは使われていて新校舎が完成してこっちに移ってからは閉鎖されてますけど……」
エステル「あれ?学園祭の時には旧校舎もはいれてなかったっけ?」
クローゼ「あの後魔獣が入り込んだりして危険だから裏門が施錠されたんです。リィンもその辺りの事情を知っているわよね?」
リィン「あぁ、うん……ソウダネ」
リィンは皆に悟られまいと平静を装った。
クローゼ「?……兎に角それで二、三カ月は放置されたままなんです」
オリビエ「フッ……数百年前に建てられた石造りの建物か……亡霊が住み着くにはうってつけのロケーションだね」
エステル「う〜ん、正直気は進まないけど他に手がかりがないし……やっぱり夜に調査するのは無し……って駄目かな?」
シェラザード「却下よ」
フローラ「エステルさん、覚悟決めましょう」
リィン「その為の調査だろう?」
オリビエ「怪談といえばやっぱり夜だよ?それはあり得ないよ」
エステル「あぅ………あれ?」
クローゼ「エステルさん、どうかしましたか?」
エステル「いや、なんか外に何かが通ったような気がして……」
エステルはそう言って窓に近づいた
エステル「白い影だったからジークだと思うんだけど…………白い影?」
エステルが窓の外を見ると件の『亡霊』がくるくる回ったあとエステルに気づいて一礼して旧校舎の方へ飛び去っていった。
エステル「……」
クローゼ「エステルさん?」
エステル「……キュウ……」
シェラザード「ちょっとエステル!?」
エステルはそのまま気絶してしまった。
ー 食堂 ー
オリビエ「エステル君の様子はどうかな?」
気絶したエステルは一旦女子寮に運ばれ男子は食堂で待機していた。
リィン「気絶しただけだから暫くしたら目を覚ますだろうとフローラは言ってましたよ」
ハンス「そっか………それにしてもまさか件の『白い影』が現れるとはな……一応学園長に報告してくるから二人は待っててくれ」
ハンスもそう言って学園長に報告しに行った。
オリビエ「さて……いい機会だから男二人で語り合わないかいリィン君?」
リィン「……何を語るんですか?」
オリビエ「まぁ立ち話もなんだし、座りたまえ」
オリビエがそう言って椅子をすすめたのでリィンも黙って座った。
オリビエ「しかし……流石は伝統あるリベール王国だねぇ、我が帝国とは違って料理も美味いし、民度も高い。 先の戦争で敗北したのは必然だったわけだねぇ」
リィン「……確かに料理は美味いのは同意しますが、帝国の民が民度が低いというのは違うと思いますが?」
オリビエ「低いさ、君も知っているだろうけど帝国の大貴族の横暴がまかり通り、それに声を上げられない民衆……低いと言わないでなんというんだい?」
リィン「帝国内で革新派が台頭していますけど?それも信用ならないと……?」
オリビエ「それこそ論外だよ。あの宰相殿は改革の名の下で犠牲にした者の怨みを買いすぎている。帝国に害でしかない」
リィン「……ではどうすると?貴族も駄目、平民も駄目でどう政治を動かすというのです。代替案があるとでも?」
オリビエ「今のところ……ないね。でも僕は帝国を変えたいと思ってるよ。そしてリそれにはリィン君、君にも協力してもらいたいのだよ」
リィン「俺に?たかが一平民である俺に何が出来るとでも?」
オリビエ「謙遜を、八葉一刀流中伝で尚且つクローディア姫の信頼も厚い君がたかが平民な訳無いじゃないか。それに……君随分とエレボニア帝国内を周っていたみたいじゃないかい?帝都から始まってカイエン公のお膝元のオルディス、アルバレア候の本拠セントアーク、ログナー候のルーレ、果てはノルドやユミル……レグラムにまで訪れたみたいじゃないかい?なんの為だい?」
リィン「……勿論ヨシュアを探す為でしたよ。帝国の何処かに居るか解らなかったんですから各地を探し回ってたんですよ」
オリビエ「その割には結構各地のトラブルやら有力者に関わっているよね?君……一体ッ……!?」
突然オリビエの後頭部に冷たい感触が伝わった
フローラ「そこまでだ。オリビエ・レンハイム……貴様、自分の目的のためにリィン様を巻き込む積もりか?」
オリビエの背後に忍び寄ったフローラがオリビエの後頭部に銃を突きつけた。
オリビエ「ハハ……やぁフローラ君……エステル君の方は良いのかい?それとその銃は仕舞ってくれないかなぁ?落ち着いて話ができないよ」
オリビエは両手を挙げ、普段通りのおちゃらけた声で話したがその顔には冷や汗が流れていた。しかしフローラは冷たい声で応えた
フローラ「ご心配なく、エステルさんは今しがた目を覚ましたので、それで貴様はどう言い訳するんだ?」
オリビエ「いやだなぁ~、言い訳もなにも僕は純粋に帝国を変えたいと思ってるだけだよ?それで少しでも味方が欲しいなぁ〜と思ってリィン君に声をかけたんだよ。っていうかフローラ君口調が変わってるね……それが素かい?」
リィン「……銃を下ろせフローラ、オリビエさんも充分肝が冷えただろうからな」
フローラ「……承知しました」
フローラは突きつけた銃を下ろしリィンの傍に控えた。それを確認するとリィンは言った。
リィン「オリビエさん、貴方が何者だろうがそれは俺は関知しませんし、貴方が帝国を憂いている気持ちも理解出来ます。ですが全てオズボーン宰相が悪いとは思えません」
オリビエ「……君は宰相殿が善だと言うのかい?」
リィンは頭を振った。
リィン「オズボーン宰相の政策で泣いた人々がいるのは事実でしょう。でも……オリビエさん貴方は民を背負う覚悟がありますか?」
オリビエ「ッ……!?」
リィン「……そろそろエステル達が戻ってくる頃ですね。この話は終わりにしましょう」
リィンはそう言って席を立った。
オリビエ「……」
オリビエは静かに考え込んでいた……
暫くしてエステル達がもどってきた。
エステル「ごめん皆、迷惑かけちゃって……」
リィン「大丈夫、気にしてないからそれでこれからどうするの?」
エステル「勿論、旧校舎に乗り込むわよ!こうなったら幽霊だろうがなんだろうがとっちめてやるんだから!」
シェラザード「ふふ……さっきまでの怖がってたのにね?」
エステル「あれは居るかどうか解らなかったから怖かっただけ!居る事が解ったならもう怖くないわよ!」
クローゼ「クスクス……」
ジル「調子戻ったわね、ならハンス、アレをエステルに渡して」
ハンス「あいよ」
ハンスはそう言ってエステルに旧校舎の鍵を渡した。
ハンス「中はどうなってるかは解らないが、気を付けて行けよ」
エステル「うん……ありがとうハンス君」
シェラザード「それじゃあ、行きましょう。幽霊退治に」