閃の軌跡〜変わる物語〜   作:名無し名人

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第64話

襲いかかる魔獣を撃退しつつ遺跡を探索しているエステル達は遂に遺跡の最深部と思われる扉の前まで辿り着いた。

 

エステル「ここで最後ね。他は何も無かったし、多分この先に…」

 

シェラザード「何にしろ気を引き締めなさいよ。どう考えても尋常ならざる相手みたいだしね」

 

クローゼ「はい…!」

 

オリビエ「ふ、任せたまえ」

 

リィン「……」

 

エステル「……行くわよ!」

 

それぞれが準備を整えると、扉を開けると同時に部屋になだれ込む。

 

エステル「……あ…っ!」

 

中には男の背中が見え何かの装置を弄っていた。

 

シェラザード「………影も脚もあるみたいだから幽霊ではなさそうだけど……貴方、何者かしら?」

 

エステル達は近寄るとシェラザードが男に誰何した。

 

「………フフフ、ようこそ我が仮初めの宿へ、歓迎させてもらうよ」

 

男が振り向くとその顔には仮面を被っていた。

 

エステル「か、仮面……?」

 

クローゼ「エステルさんやポーリィちゃんの目撃証言と同じ……貴方がルーアン各地を騒がしている『影』の正体ですか?」

 

「フフ、その通りだよ。グローディア姫、お目にかかれて光栄だよ」

 

リィン「……ッ!!」

 

リィンは無言で男の視線を遮る様にクローゼの前に立った。

 

エステル「こいつ……どうしてクローゼの正体を!?」

 

「フフ………私に盗めぬ秘密など無い。改めて自己紹介をしよう」

 

男は一礼し名乗りだした。

 

ブルブラン「執行者No.Ⅹ。《怪盗紳士》ブルブラン……《見喰らう蛇》に連なる者なり。」

 

エステル「み、見喰らう蛇!?」

 

シェラザード「……ク…ッ!」

 

ブルブラン「フフ…そう殺気だつ事は無い、私はここでささやかな実験を行っていただけなのだよ。諸君と争うつもりは毛頭ない」

 

エステル「じ、実験?」

 

リィン「貴様の後ろにあるその装置についてるのは……《ゴスペル》か」

 

エステル「あ、あんですって〜!」

 

クローゼ「リシャール大佐が使っていた漆黒の導力器《ゴスペル》……」

 

オリビエ「しかもあれよりも一回り大きいみたいだ」

 

ブルブラン「ふむ……彼の報告通り『これ』の存在は知ってるか……この《ゴスペル》は実験用に開発された新型でね。非常に役立ってくれたのだよ」

 

シェラザード「……何を実験してたというの?」

 

ブルブラン「フフ……論より証拠とも言う、実際に見て貰った方が良いだろう」

 

ブルブランは装置を操作すると装置からもう一人のブルブランが投影された。

 

エステル「ゆ、幽霊!?」

 

オリビエ「いや、その装置で空間に投影された映像だ。最もそんな技術が確立されたなんて話は聞いた事が無いがね」

 

ブルブラン「これは我々の技術で造り出した空間投影装置だ。最も装置単体では目の前にしか投影できないが……《ゴスペル》の力を加えるとこの様な事も可能になる」

 

クローゼ「きゃっ……!?」

 

エステル「わわっ……」

 

そう言ってブルブランが《ゴスペル》を操作するとブルブランの『影』がエステル達の後ろに現れ、そのまま一周した後本物の下に戻り、ブルブランが装置を止めると影も消えた。

 

ブルブラン「とまぁ、こんな感じだ。フフフ……ルーアンの市民諸君にはさぞかし楽しんでもらえただろう」

 

シェラザード「くだらない……要するにアンタのはただの悪ふざけだったって訳ね」

 

シェラザードはそう言って吐き捨てた。

 

ブルブラン「悪ふざけとは人聞きが悪い。選挙で浮かれる市民達に贈るちょっとした娯楽と息抜き……そんな風に思ってくれたまえ」

 

リィン「息抜きと言うには無理がある規模だがな」

 

ブルブラン「ハハ……これは手厳しい」

 

エステル「か、カラクリは解ったけど……一体どうしてこんな事をしでかしたのよ!?身喰らう蛇って……一体なにを企んでいるわけ!?」

 

ブルブラン「フフ……それは私が話すことではない。私が今回の計画を手伝う理由はただ一つ……クローディア姫、貴女に相まみえたかったからだ」

 

クローゼ「えっ……?」

 

リィン「へぇ……」

 

その瞬間リィンの額に青筋がたった

 

ブルブラン「市長逮捕の時に見せた貴女の気高き美しさ……それを我が物にする為に私は今回の計画に協力したのだ。あれから数カ月……この機会を待ち望んでいたよ」

 

クローゼ「えっ……あの……その……」

 

リィン「……クローゼ、俺の後ろに」

 

エステル「……市長逮捕ってダルモア市長の事件の事よね。何でアンタがあの時のことを知っているのよ!?」

 

ブルブラン「フフ……私はあの事件の時、陰ながら君達を観察していた。例えば……この様な方法でね」

 

ブルブランがそう言って一瞬回ると別人の姿に変わったしかもそれは……

 

クローゼ「まさか、あの時いたダルモア家の家令が……!?」

 

ブルブランは満足して元の姿に戻った。

 

ブルブラン「怪盗とは、即ち美の崇拝者。気高きものに惹かれずにはいられない。姫、貴女はその気高さで私の心を盗んでしまったのだよ。他ならぬ怪盗であるこの私の心をね……おお、なんという甘やかな屈辱!如何にして貴女はその罪を贖うおつもりかな?」

 

クローゼ「あ、あの……そんな事言われても困ります」

 

リィン「クローゼ、気にしなくてもいい。奴が勝手に言ってるだけだ」

 

シェラザード「この自分に酔った言動……誰かさんにそっくりね」

 

オリビエ「失敬な、一緒にしないでくれたまえ」

 

エステル「《身食らう蛇》……何か想像していたのとは違ったけど……クローゼが狙いと聞いたら尚更放っておけないわね!!」

 

エステルはそう言って棍を構えた

 

リィン「同感だ。恋人としてこんな悪質なストーカーをクローゼを近づけさせたくない」

 

リィンもリヒトを構え何時でも飛び出せる態勢になった。

 

クローゼ「リィン……エステルさん……」

 

シェラザード「協会規約に則り不法侵入などの罪で拘束させてもらうわ。《ゴスペル》の件も含めて色々と喋ってもらうわよ」

 

ブルブラン「やれやれ……なんという無粋な連中であろう。相手をしてやっても良いが、折角選んだこの場所だ……『彼』に相手をしてもらおうか」

 

シェラザード「何ですって?」

 

ブルブランはそう言い放つと指を鳴らすと部屋の壁が開き、そこから巨大な甲冑姿の人馬兵が現れた。

 

エステル「な、何よコイツ!?」

 

リィン「フン……さしづめこの遺跡の守護者と言ったところか」

 

ブルブラン「フフ……正解だ。『彼』は元々この遺跡にいる守護者でね。半ば壊れていたから親切にもこの私が直してあげたのだよ。折角だから君達が相手に……「人形遊びに付き合うつもりはないね」何!?」

 

リィン「黒神一刀流二の型『九十九楓』……」

 

リィンは人馬兵の頭上まで跳びリヒトを抜くと人馬兵に突っ込みあっという間に人馬兵をバラバラにした

 

ブルブラン「なんと……!?一瞬で……」

 

エステル「うわ……リィンがブチギレた……」

 

リィンは着地するとリヒトをブルブランに突きつけた

 

リィン「人の恋人に手を出そうとしたんだ。斬られる覚悟はあるんだろうな?」

 

リィンは鬼気解放している状態で無慈悲に告げた。

 

 

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