首都イーディスを出て既に六時間が経過していた。途中で小休止を取ったり運転を交代したりして目的地に向かっていた……
ヴァン「アンタ、運転出来たんだな……」
フローラ「メイドですから、まぁ共和国製は今回初めて触りましたが…」
ヴァンから運転を任されたフローラは一定の速度を保って走っていた。
ヴァン「答えになってないが……まぁ助かるけどよ。アンタといいリゼットといい、スペック高すぎるだろ」
リゼット「フフ、コンシェルジェとして当然の嗜みですので……」
フローラ「私もリィン様の為なら運転なんて苦でもありませんから」
ヴァン「さよか、しかしアイスフェルト…お前さんも果報者だな、こんな美人に慕われてるとはな」
ヴァンは隣のリィンを冷やかす。
リィン「えぇ、本当に……フローラは大切な家族ですから」
ヴァン「……家族、か……親とかは?」
リィンは頭を振った。
リィン「……母さんは既に…」
ヴァン「……悪りぃ、無神経だったな」
リィン「いえ……ところでまだ目的地は着かないのですか?」
ヴァン「いや、もう少しだ。あ、そこを右に曲がってくれ」
フローラ「はい」
更に車で30分進み……
ヴァン「着いたぞ、ここがカナンの村だ」
ヴァンが車を降りるのに続いてリィン達も車を降りた。その村は壊れた家もあり人っ子ひとりいない廃墟だった……
リィン「確かに人っ子ひとりいないですね……」
リゼット「見つけたのは都会に出たこの村の出身の男性で里帰りした時にはこの状態だったそうです。警察や遊撃士も周辺を捜索したそうですが住民の死体すら見つからずに打ち切られたそうです」
ヴァン「まぁそんな訳だからこれがお前さんの言う古代種とやらの仕業なら何か検討がつくか?」
リィンは廃墟を調べながら答えた。
リィン「そうですね…俺が過去遭遇したのは海洋生物の『オケアノス』、帝国では獣脚類と分類された二足歩行の爬虫類……ともすればまた獣脚類の古代種の仕業の可能性もありますね」
ヴァン「二足歩行……人間みたいに歩くのか?」
リィン「知り合い曰くどっちかと言うと鳥とかの遠い祖先の一種らしいですよ。肉食もいれば雑食もいたそうです。古代種の中では比較的小型ですがそれでも人間を餌とするぐらいの大きさでしたよ?俺達が見たのは」
ヴァン「……因みに大きさはどのくらいだったんだ?」
リィン「大体……三アージュ(三m)位だったかな?」
ヴァンとリゼットは顔を見合わせた。
ヴァン「リゼット、どう思う?」
リゼット「三アージュとなれば確かに人を捕食しかねません。これは……」
「面白い話してるわね?詳しく話を聞きたいわね」
突然背後から声をかけられ振り向くと女性が歩いてきた。その女性は遊撃士バッジを付け細剣を帯刀していた。
ヴァン「げ……何でお前がいるんだよ?」
「ご挨拶ね?遊撃士が事件現場に来るのは当たり前でしょ?寧ろ貴方が何で居るのかが不思議なんだけど」
リゼット「ご無沙汰してます」
「リゼットさんも久しぶりね。この馬鹿のお守り大変でしょう?」
ヴァン「おいコラ、どういう意味だ」
リィン「あの……」
「あぁ、ごめんなさい。自己紹介が遅れたわね」
その女性はリィンに気づくとリィンに向き直り告げた。
「私の名前はエレイン・オークレール、C級遊撃士よ。この馬鹿……ヴァン・アークライドとは幼馴染の関係よ。それで……詳しく聞かせて頂戴」