村から約七百アージュ(七百m)の小さな森の洞窟にソレを見つけた。
リィン「ここが奴等の巣みたいですね」
逃げた蟻を追って来たリィン達は痕跡が洞窟に続いてるのを見て確信した。
エレイン「こんな洞窟を見逃してたなんて……!」
エレインは自分の手をきつく握りしめた。
ヴァン「エレイン、後悔すんのは後だ。まずは中の蟻共を何とかするのが先だ」
ヴァンはエレインの肩を叩いた。
エレイン「……判っているわ」
リィン「……この先には元凶がいる筈です。気を引き締めていきましょう」
リィンの言葉に全員が頷き洞窟の中に入った。
「――ッ!!」
リィン「……判ってましたがまだまだ蟻がいますね」
リィンは襲ってきた蟻を刺殺しリヒトについた体液を軽く振って払って呟いた。
ヴァン「……さっきも思ったがお前さんの太刀、変わった色してんな?」
ヴァンも待ち伏せてた敵を斃しながらリィンの太刀を見ていた。
リゼット「そうですね、そんな鮮やかな《蒼》は見たことも無いですね。一体何処の作ですか?」
リゼットも周囲を警戒しながら尋ねた。
エレイン「私としては髪の色と瞳が気になるんだけど……ね!」
リィン「……それは秘密です……と言うべきかもしれませんが、それは皆さんに不義理でしょうから少しだけ答えましょう。この太刀……リヒトは俺の仲間が創ってくれた大切な一振りです。髪と瞳については……まぁ、俺の切り札を使う副産物ですね」
ヴァン「副産物……ねぇ、それは身体に悪影響及ぼす類の物か?」
リィン「いいえ、全く影響は無いですよ。それより少し急ぎましょう、女王蟻を探さないと」
ヴァン「……」
エレイン「……どう思う、ヴァン?」
リィンはそう言って歩き出したのを見てエレインはヴァンに近づき、リィンに聞こえない様に声を小さくしヴァンに尋ねた。
ヴァン「どうって……そう言われてもな、エレインこそ何か知らないのか?遊撃士の情報網とかでよ」
エレイン「アンタねぇ………遊撃士ギルドだって解らない事が多いのよ。ましてや前の世界の資料しか目を通してないから、そもそも今世ではまだ彼は無名よ」
ヴァン「そりゃそうか……アイスフェルトのあれはシズナが使ってた『神氣合一』のオリジナルか?」
エレイン「多分そうよ。未確認だけど白髪になった事があると以前資料に載ってた記憶があるわ。それと太刀は知らないわ、あんなの見たことも無いわ。下手したらアーティファクト級よ……」
リゼット「私もエレイン様と同意見です。アレは途轍もない力を感じます。マルドゥク社でもアレと同じ物を創れ無いでしょう」
ヴァン「何だか頭がこんがらかってきたな……本来出会う時期じゃない奴との邂逅に以前は居なかった生物……何が起きてんだ?」
困り顔でヴァンは頭を掻いた。
リゼット「……何れにしてもまずはこの事態を終息させる事を最優先としましょう。話はその後で」
ヴァン「……そうだな、まずはこの巣をどうにかしないとな。さっさと終わらせてスイーツ食いたいしな」
エレイン「糖分の摂りすぎは良くないわよ」
ヴァン「ほっとけや……」
ヴァン達はそう言って小走りしてリィンの後を追った。
そうして段々と巣が深くなってきた……それと同時に枝分かれした部屋がちらほら見つかる。
ヴァン「何か部屋がいっぱいあるな……」
リィン「兵隊蟻の部屋でしょう。居ないところを見るとまだ地上に出払ってるのがいる様ですね。此方としては好都合ですが」
エレイン「生存者とか居ないかしら?出来れば救いたいのだけど……」
するとリィンが合図をしその場で足を止めた。
ヴァン「……どうした?」
リィン「……」
ヴァンが声を潜めリィンに尋ねたがリィンは無言で先にある大きめの部屋を指差した。
リィン達は忍び足でその部屋に近づき、ゆっくりと部屋を覗き込むとそこには全長八アージュもある蟻がナニかを貪り食っていた。
エレイン「デカい……!アレが女王蟻!?」
リゼット「多分そうでしょう、でも一体何を食べて……ヒッ!?」
リゼットは口元を押さえた。
ヴァン「人間を……喰ってやがる……!」
女王蟻の口元には頭を失った人間を器用に抱えて貪っていた。
リィン「……覚悟は良いですか?これ以上奴等の犠牲を出さない為にも」
リィンの問いに全員が頷いた。
リィン「では、行きましょう。目指すは女王蟻の頸だけです!」
そう言ってリィン達は女王蟻の部屋に突入した。