閃の軌跡〜変わる物語〜   作:名無し名人

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第78話

リィン「ハーリング准将……ですか、なんて言ってましたか?」

 

リィンは苦笑してリムジンの主に問う。

 

「彼からは太刀使いの少年が美しいメイドを連れて何とも不思議な人間だと評してたよ。それが八葉一刀流という東方武術を使うエレボニア人と聞けば話題性は充分だろう?しかもSSS級猟兵団の斑鳩が使う黑神一刀流も使い、その娘と懇意な仲となれば……」

 

リィンはその言葉を聞くとピクリと片眉をあげた。

 

リィン「……随分詳しいですね。プライバシーの侵害は共和国でも場合によっては罪に問われる筈ですが?」

 

「勿論プライバシーは大事だとも……だが、国家の安寧の為には情報収集も必要なのだよ。それが為政者としての務めだ」

 

リィン「民主主義国家とはいえ帝国と大差無いみたいですね」

 

「それが国という物だよ。まぁ、そんな共和民主制を絶対視する者も居るがね」

 

リィン「……リベールでテロを実行しようとした愚か者を国内で取り締まらないのは民主主義だからですか?」

 

「思想信条は個人の心の中でどう思うのかは自由だよ。法の範囲内でデモをする権利も、政府批判する権利も市民にはあるのだよ」

 

リィン「だけど他国の体制に口出しして暴力で変えようとし、他国の民を害する事は民主主義の精神に反する事では?」

 

「無論、そんな馬鹿者は赦しはしない。リベールには正式に謝罪して犯人には然るべき処置をする。帝国にもそう伝えているよ……と来たようだね」

 

その言葉通りにリィンは振り返るとフローラを始め、ヴァン達も黒服達に連れられてリムジンの側まで来た。

 

リィン「フローラ、取り調べはどうだった?」

 

フローラ「大丈夫ですわ、リィン様。警察も不当な尋問はする気は無かったみたいでした」

 

リィン「なら良かった、ヴァンさんは……疲れた顔をしてますね?」

 

ヴァン「あぁ、まぁな……ウチの事務所少しグレーな部分あるからな……警察にマークされてんだよ」

 

「ハッハッハ!これを期に真っ当な事務所として活動したらどうかね?」

 

リムジンの主がヴァンに言った。

 

「アンタは……いや、何でここに居るんですかねぇ?立場という物があるでしょう?」

 

ヴァンはリムジンの主の正体を見抜き、頭を掻いた。リゼットやエレインも同様に見抜き驚いている。

 

「いやいや、村一つが謎の失踪をし、それが化け物の仕業となれば動かざるをえないだろう?最も被害者の事を思えば遅過ぎたとの誹りは免れないがね……だからこそ共和国として君達に礼を言いたい。ありがとう」 

 

ヴァン「あ〜、敢えて言わせて貰いますが『閣下』、俺は遊撃士ではありません。そこにいるアイスフェルトの依頼でここに来たに過ぎないのです。あの蟻共を倒したのは結果論でしか無いので」

 

「結果論であろうが何だろうが事実は覆らない事には変わらない、もし彼の依頼を君が受けなかったら?もし彼がカルバートに来なかったら?我々は今でも化け物の存在を知らずに普通に生活していて、あの蟻の化け物達が取り返しのつかない勢力にまで膨れ上がり、共和国は地獄絵図な光景になっていたかも知れなかった………いや、ゼムリア大陸に生きる全ての人々の脅威になっていただろう」

 

「「「………」」」

 

「だから君達の功績は大きい……だが、同時に政治家としてはこの件は箝口令を敷かざるを得ん」

 

エレイン「!?なっ……何故ですか!?『閣下』もご覧になったのですのよね!?ならこれは各国に公表して……」

 

エレインはこの言葉に猛抗議した。

 

「エレイン・オークレール君……政治とはそう簡単な物では無いのだ。時には秘密にしなければならない記録もあるのだ」

 

エレイン「そんな……」

 

「無論、今回の件を軽視している訳では無い。今後この様な悲劇を繰り返さない為にも対策していくつもりだ。重ねて言うが、今回の事件、解決に協力してくれて感謝する……出してくれ」

 

彼がそう言うとリムジンはゆっくりと走り出し、そのまま去って行った。

 

リィン達はそれを黙って見送る事しか出来なかった。

 

エレイン「……納得いかないわ……」

 

ヴァン「気持ちは判るが呑み込め、下手に騒げばそれこそお前の立場も危うくなる」

 

リゼット「確かに……しかし、あまりスッキリしないですね。折角解決したのに……」

 

リィン「……」

 

フローラ「……」

 

リィンとフローラは互いに頷きヴァン達に近づき肩に手を置いた。

 

ヴァン「アイスフェルト……?」

 

リィン「ヴァンさん、帰りましょう。アークライド解決事務所に、約束の報酬も支払いますから、ね?」

 

ヴァン「そう、だな……一仕事終えたんだ。甘い物が食いたいな」

 

ヴァンは溜息をついて笑顔で言った。

 

リゼット「なら私は帰ったらお茶を用意しますね。エレインさんも良かったらご一緒に…」

 

エレイン「……そうね、ご相伴に預からせて貰おうかしら」

 

 

そう言ってリィン達は車を停めてある場所に歩き出した。

 

 

 

 

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