閃の軌跡〜変わる物語〜   作:名無し名人

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第83話

互いの斬撃が鉄骨を斬り裂き、床のアスファルトが深く抉られていく―――

 

シズナ「アハハハハハハ!スゴイ、凄イヨリィン!カナリ腕ヲアゲタミタイダネ!!姉弟子トシテ嬉シイヨ!」

 

シズナはリィンの斬撃を防ぎながらも返す刀でリィンへ刺突した。

 

リィン「そう言うシズナさんこそ太刀筋が更に鋭くなっていますよ!どれだけ鍛錬を積んだんですか!!」

 

リィンはシズナの刺突を躱しシズナの頭上に刃を振り降ろすがシズナは暁鴉で受け止めた。

 

シズナ「ウフフ、別レテカラモ再ビ君ト会ッタ時二失望サレタクナイカラネ……研鑽ヲ積ンダヨ!」

 

リィン「貴女程の人にそう評されるのは嬉しいですね!」

 

シズナはお返しに蹴りを繰り出すがリィンは素早くバックステップして躱す。

 

そして互いに距離を取る………

 

シズナ「《鬼気解放》……ダッケ?ソノ状態ダト私ニハ少シ不利カナ……ナラ私モ出シ惜シミヲシテル場合ジャナイカ……」

 

シズナはそう言って太刀を正眼に構え呼吸を整え始めた。

 

シズナ「コオォォォォ……『神 氣 合 一』!」

 

リィン「っ!!……やはり貴女は天賦の才の持ち主ですね。こうもあっさりと物にするとは……」

 

シズナ「フフ……天賦ノ才……?違ウサ、コレハアクマデ君ノ模倣サ……本家本元ニハ敵ワナイヨ、使イ勝手ハイイカラ使ワセテ貰ッテルケド」

 

リィン「どんな事も最初は模倣から始まる物です……それを自分の物に昇華出来るかはその人の努力次第ですが……最も、貴女なら直ぐに自分に最適化しそうですが……」

 

シズナ「ハハハ、ソウ言ッテクレルノハ嬉シイネェ……サテ、オ喋リハオシマイ、続キヲシヨウカ?」

 

シズナはそう言ってゆっくり歩き、そして次の一歩が床のアスファルトを踏み砕くと一気にリィンとの距離を潰した!

 

リィン「っ!!」

 

リィンも即座に反応し、首筋に迫る刃を防ぐがそれは囮でシズナの回し蹴りがリィンの腹に突き刺さったが咄嗟にバックステップして威力を殺す。リィンも返す刀で腕に仕込んでいた苦無を投擲したがシズナは容易く弾く、そして再び凄まじい剣戟を繰り広げる。

 

シズナ「ウ〜ン……楽シイ時間ダケド、ソロソロ終ワリニシヨウカ?」

 

リィン「……承知」

 

シズナはそう言って一旦納刀して居合いの構えを取る、リィンもまた納刀し居合いを構えた。

 

リィン「……」

 

シズナ「……」

 

両者ともに動かない。互いの姿を己自身に重ね合わせて……そして一雫の水が水面に落ちて波紋を生む、そして……『至る』

 

シズナ「遠からん者は音に聞け。月夜に舞う、我が太刀は虚にして実……そこだっ!皇技・零月一閃!!」

 

リィン「万物流転。無は有にして、有はまた無なり」

 

 

            壱ノ型 螺旋撃

 

            弐ノ型 疾風

 

            参ノ型 業炎撃

 

            肆ノ型 紅葉切り

 

            伍ノ型 残月

 

            陸ノ型 緋空斬

 

            漆ノ型 無想覇斬

 

 

 

 

            八葉一刀 無仭剣!

 

 

互いに抜刀し、刃が触れた時周りの空間の空気が弾け……倉庫の壁が壊れた。

 

そして二人は刃が交わったまま立ち尽くした……

 

リィン「………今のは……?」

 

シズナ「………どうやらお互いに《境地》に『至る』一歩手前に来たみたいだね」

 

そう言ってるシズナの眼も普段通りの色に戻っていた。

 

リィン「……アレが《境地》………」

 

リィンはまだ信じられないと言った顔で呟いた。

 

シズナ「まさかこんな時に『高み』に登るきっかけを得られるなんてね。何が幸いするか判らないや」

 

シズナも落ち着きを取り戻し太刀――暁鴉を鞘に戻した。

 

リィン「……落ち着きましたか?」

 

リィンも鞘に納め尋ねた。

 

シズナ「うん、取り敢えずはね……いやぁ、悪かったね。こんな事になって……でも愉しかったよ。流石先生の最後の弟子だ」

 

シズナは惜しみなく賛辞を送った。

 

リィン「俺の方こそ……更なる『高み』に近づけました……貴女と刃を交えて良かった」

 

シズナ「アハハ、しかし……随分壊しちゃったねぇ」

 

シズナがそう言って周りを見渡すと廃倉庫はズタズタになって外の光が見えていた。

 

リィン「廃倉庫なだけマシと考えましょう……これが街中だったらと思うと……」

 

シズナ「ハハハ、だねぇ……ところでカエデも外に居るんだよね?」

 

リィン「えぇ、今はフローラと一緒にこの倉庫の前で待っていますよ」

 

シズナ「あ〜そうか、迷惑かけちゃったな斑鳩の皆にも……」

 

リィン「大丈夫ですよ。さぁ、外に出ましょう。彼女も貴女の事待っています」

 

リィンはシズナを促し外に出る扉を開いた。すると………

 

リィン「……何これ?」

 

外には街のごろつきと思われる男共が顔をボコボコにされ、そこら辺に適当に縛り上げられて転がっていた。

 

フローラ「あ、リィン様お疲れ様です。無事にシズナさんの問題片付いたみたいですね?」

 

最後の一人を縛り上げたらしいフローラが笑顔でリィンに近づいた。

 

リィン「えっと……?フローラ、これは一体……ってその男……!」

 

リィンはその男の顔に見覚えがあった。

 

シズナ「おやおやリィン、コイツ等に心当たりでもあるのかい?あ、カエデ心配かけて悪かったよ」

 

シズナもリィンの背中からひょっこりと顔を覗かせた後自らの側付きに謝罪した。

 

リィン「……フローラを手に入れようとナンパしてきた男です。床に転がってる奴等は知りませんが」

 

リィンは拘束されたままフローラに胸倉を掴まれている男を睨んだ。

 

リィン「……っでフローラ?大体想像出来るがコイツ等は何をしようとした?」

 

フローラ「……どうやら私を拉致して自分好みに『調教』しようと企んでいたようです」

 

リィン「ほう………?やっぱり死にたいみたいだな?」

 

リィンは男を睨みながらリヒトを抜こうとした。

 

「お、俺を斬る気か!?俺を斬ったら黒月(ヘイユエ)も黙って………!」

 

 

カエデ「いえ、その男は黒月(ヘイユエ)とは何ら関係ないみたいですよ?」

 

男はリィンの殺気に怯えながらも自身の後ろ盾がいる事をアピールしようとしたがカエデの一言で打ち砕かれた。

 

「なっ……!?」

 

カエデ「調べた限り、この者は黒月系列の金貸しにミラを借りた債務者ですね。寧ろ黒月側が取り立てにこの男を探してるみたいですよ」

 

カエデの言葉に男は絶望的な表情になった。

 

リィン「成る程……なら黒月にコイツを引き渡せば万事解決だな」

 

リィンはにこやかに笑って男の胸倉を掴んだ。

 

「ヒィ!?た、頼む!!どうか黒月だけは……親にも勘当されてこれで黒月に捕まったらどんな目に合うか……!!」

 

男は情けなくリィンに赦しを乞うた。

 

リィン「フン……情けない、だがどの道俺が見逃してももう貴様の命運は尽きてるがな」

 

「え……?どういう事……?」

 

男の疑問に答える間もなく黒塗りのリムジンが何台もこちらに向かってきて止まると中から唐装の服を纏った男達が降りてきた。

 

「…失礼、その男を引渡してもらえないか?」

 

男は丁寧だが有無を言わせないと言わんばかりに尋ねた。

 

リィン「……黒月か?」

 

「想像にお任せする……それで?引渡して貰えるかな?」

 

馬鹿息子は黒月の登場に失神してしまった。

 

リィン「……こんな奴がどうなろうと俺達には関係無い。好きにしたら良い」

 

リィンは黒月の手の者に馬鹿息子を引渡した。

 

「協力感謝する。それにしても……派手に壊してくれたな」

 

黒月の手の者は背後の倉庫を見て呆れた声を出した。

 

シズナ「おや?文句あるかい?」

 

黙っていたシズナが口を挟んだ。

 

「いや……貴殿等に敵対するなと言われているのでな……これで失礼する」

 

黒月の手の者達は馬鹿息子を車に詰め込むとそのまま走り去った。

 

カエデ「……それで姫様、暁鴉はまだ……?」

 

シズナ「うん、ただ発散させただけ……また何れは『溢れ出す』かも、今の鞘で抑えるのも限界かもね」

 

カエデ「左様ですか……」

 

シズナ「まぁ、大丈夫。それまでは時間もあるし素材を探すさ」

 

リィン「……シズナさん、その太刀を抑える術に心当たりがありますよ?」

 

シズナ「……へっ……?」

 

リィンは視線をフローラの方に向けると彼女は頷いたのを確認してシズナに告げた。

 

 

 

 

リィン「俺の拠点にシズナさんを招待しますよ。そこなら暁鴉を抑える方法があります」

 

 

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