シズナ『驚いたよ……まさか海底だと思っていたのが実は更に下があるとはね……』
潜水艇にいるシズナの呟きがリィンの潜水服に搭載されている通信機ごしに聞こえた。
フローラ『……この先は私達が暮らす世界とは明らかに違います。異空間と言うのが適切かは判りませんが少なくとも人が簡単に立ち入る事は出来ない領域である事は確かです』
リィン『……ひとまず中に入ってみよう。油断するなよ』
まずはリィンが先に侵入し、後にフローラ達が乗る潜水艇が続いた。
リィン「……改めて見ると本当にお伽噺に出てくる様な雰囲気の場所だな」
リィンが歩いていると周りにはさっきまでの海底ではあり得ない珊瑚やカラフルな魚が泳いでいた。
シズナ『桃源郷……とでも言うべきかな?こんな場所に居るのは確かに人ならざる者……だね』
後ろを振り返るとシズナとフローラも潜水服を着て艇から出て歩いてきた。
フローラ『反応が強くなっています。位置は……あの宮殿からです』
フローラの言葉に全員が視線を宮殿に向けた。
リィン『……行ってみよう』
三人は宮殿の扉の前まで歩き、シズナが扉を触って調べた。
シズナ『……閂の類はかかってないみたいだ。どうする?開けるかい?』
それにリィンは頷いた。
リィン『頼む……』
シズナが扉を開けると中は広い廊下で一番奥に立派な朱色の扉が見える。
リィン『………』
そしてリィン達はその長い廊下を歩き朱色の扉の前に立った。
フローラ『この中ですね。反応が強くなっています』
フローラがそう言って扉を開けようと手を伸ばすのをシズナが制した。
シズナ『待った。中から何か聞こえないかい?』
その言葉に注意深く耳を澄ませると確かに中から音が聞こえる。しかもこれは……
シズナ『これは……琴、かな?誰かが演奏してる……?』
シズナも流石に困惑を隠し切れない。
リィン『……取り敢えず開けてみよう』
リィンが扉に手をかけて押すと中には祭壇が有りそこに天女が着るような服を着ていた一人の女性が座って琴を弾いていた。
リィン『……』
リィン達は中に入り、暫く琴の音色を聴き入っていた。そして件の女性が琴を弾き終えるとこちらに向き口を開いた。
「……その被り物を外しても結構ですよ。ここには空気がありますから貴方方が溺れる心配はありません」
リィン「……」
リィン達は顔を見合わせたがその言葉を信じ潜水服のヘルメットを外すと確かに空気がある。
シズナ「……空気があるのは助かるねぇ、それで……貴女が水神様、って事で良いのかな?」
「……懐かしい呼び名ですね。甞て近隣の民達にそう呼ばれていましたが……あれからもう何百年経ったか」
女性は懐かしげに笑った。
「しかし……人の身でどうやってここに辿り着いたのでしょうか?此処に入るには……!?貴方、申し訳無いのですがその太刀を見せて下さい!」
女性はリィン達が来た事に怪訝な顔をしたがリィンの佩いた太刀を見て驚愕した。
リィン「……えぇ、どうぞ」
リィンは女性に近づきリヒトを見せると女性はまじまじとリヒトを見た。
「……『焔』と『大地』の息吹を感じます。貴方……何者ですか?」
リィン「……俺の名はリィン・アイスフェルト、この太刀は『焔の至宝』アークルージュと『大地の至宝』ロストゼウムが俺の為に創ってくれた一振りです」
「……詳しく伺いましょう」