カシウス准将の頼みを聞いたリィン達はグランセル空港に引き返しボース行きの定期船チケットを購入しボースに向かった。
―― ボース行定期船船内 ――
リィン「つくづくボースには縁があるな……」
リィンは船内で流れていく雲を見ながら呟いた。
フローラ「確かに……まぁ悪い縁よりはずっと良いかと思いますが」
リィン「違いない、それにしてもエステル達も色々動いていたみたいだな」
リィンはディートリヒが纏めた報告書に目を通した。
リィン「王都の事件を解決した後にロレントで霧が発生する事件が起きて、それが結社の実験の産物だった……」
フローラ「そしてミストヴァルドの森で結社の執行者が実験を行なっていた事が判明、捕縛を試みるも逃走。霧は晴れた……確認された実験だけでも全てに《ゴスペル》が使われた……ですか」
リィン「気になる事でもあるのか?」
フローラ「えぇ……以前結社が使う《ゴスペル》を触らせて貰ったのは覚えていますか?」
リィン「あぁ、確か隧道でエステル達がラッセル博士に分析を依頼をお願いする前に見せて貰ったな」
フローラは頷いた。
フローラ「あの時見せて貰ったゴスペルは性能こそ劣りましたが、内部構造は私達が使うゴスペルと変わりはありませんでした。ですが問題はそこではありません。結社がどの様な経緯で《ゴスペル》を入手したか、アレはリベル=アークを除けば私……アンファングしか製造されていません。セレスト達のゴスペルも《輝く環》を封印する際に全て処分した筈です……」
リィン「だけど実際にゴスペルは存在する……」
フローラ「はい……仮に処分を逃れた個体が存在したとしてもアレがどんな機能を持つのか千年以上経った今誰にも判らない筈なんです。なのに……」
リィン「……」
リィンの脳裏に『彼女』の顔が浮かんだ。実際結社に《ゴスペル》を渡したのは彼女だろう。
リィン「(だが……実際彼女は謎だらけだ、恐らく執行者ですら彼女の正体は知らない筈……)」
原作ですら未だに謎が多い人物……それが盟主――アルマと名乗る女性だ。
そんな考え事をしていると船内放送が流れた。
『本日は乗船ありがとうございます。本船はまもなくボースに到着致します。お降りのお客様は荷物の置き忘れが無いようご注意下さい。繰り返し―――おい!何だアレは!?』
突如船内放送がおかしな事を言い始め周りの乗客も戸惑ったとおもうと一人の乗客がその異変の正体に気がついた。
「おい!窓を見ろ……龍だ!!龍がボースに………!」
乗客達は窓に貼り付くと確かに龍が定期船の横に並走し、ボースに下降し始めた。
リィン「……!」
リィン達は席を立つと急いで甲板に向かい、確認すると龍の背中に見覚えのある男が居た。リィンは急いで船の高度を確認した。既にボース空港の発着場に入る段階だ。船首からなら発着場の端に飛び移れる…!
リィン「フローラ!」
リィンは迷わなかった。
フローラ「はい!」
リィン達は船の船首に走るとそのまま跳んで飛行場のデッキの端に飛び移り、そのまま飛行場から走ってボース市内に向かうと……
リィン「ッ……!!」
フローラ「ボースマーケットが……!?」
件の龍はボースマーケットの屋根に着地していた。屋根は崩れ、マーケットの中にいた客は慌てて外に飛び出し逃げていた。
リィン「アレは………!」
フローラ「空の至宝の聖獣『レグナート』です……!何で……!?」
「リィン!?」
そこに聞き覚えのある声が聞こえた。
リィン「エステル!クローゼも、他の皆まで……」
エステルの他にこれまで縁がある人達が勢揃いしていた。
エステル「どうなってんの!?いきなり龍なんて現れてボースを襲って……」
アガット「んなの結社の奴等の仕業だろうが、どう考えてもよ!!」
「まぁ……否定はしないがな」
今度は男の声が聞こえ、振り向くとマーケットの屋根に奴がいた。
「……」
エステル「アンタは……!」
シェラザード「情報部特務部隊長のロランス・ベルガー元少尉!!」
「フ、それは偽名だ。本当の名は別にある」
アガット「何だと………!?」
「結社《身喰らう蛇》の執行者No.Ⅱ《剣帝》レオンハルトだ。
以後そう呼ぶがいい」
ロランス……否、レオンハルトは龍を背にしてそう名乗りをあげた。