閃の軌跡〜変わる物語〜   作:名無し名人

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第100話

―――  ボース空港   ―――

 

リベール軍による龍捕獲作戦の為にオブザーバーとして乗船する事になったエステル達は空港で集合していた。

 

エステル「う〜ん、まだ軍の飛行艇は来ていないわね?」

 

シェラザード「一応買い物を済ませる位の時間はあるみたいだけど……どうするのエステル?」

 

シェラザードの問いにエステルは軽く考えると直ぐに答えを出した。

 

エステル「ううん、このまま軍艦が来るまで待っていようよ。ところでこれから迎えに来る軍の飛行艇ってあのゴツい装甲の飛行艇よね?」

 

クローゼ「警備飛行艇ですね。軍の主力艦艇ですから多分、そうだと思います」

 

フローラ「火力、積載量、機動性の全てにおいて高い性能を誇る王国軍の警備飛行艇……十年前に開発されてから絶えず改良を加えているそうですね?」

 

クローゼ「はい、基本性能の向上は勿論……様々な追加兵装を開発、搭載可能になっています。哨戒型、偵察型、攻撃型……各艦艇の兵装を自由に換装する事で柔軟な艦隊編成を可能にしようという構想に基づいていると聞きました」

 

 

ジン「成る程……流石は飛行船先進国だ。共和国にも飛行艦隊はあるが張り子の虎に近いからなぁ」

 

ジンはクローゼの説明に感心すると同時に自国の艦隊の貧弱さを嘆いた。

 

オリビエ「ふッ、それは帝国でも同じさ、飛行艦隊もあるにはあるがやはり主力は陸軍の戦車師団だからね」

 

エステル「でも確か共和国も帝国もそれぞれの老舗メーカーが高性能な飛行船を作ってるんじゃないの?あのボクっ娘の船みたいにさ」

 

リィン「ラインフォルト社とヴェヌル社の船だな。でも共和国は議会が飛行艦隊に予算をそこまで回していないみたいだし、帝国もどっちかと言うと貴族向けの船を優先して建造してるらしい」

 

シェラザード「あらら、それは悲惨ね……」

 

ジン「我が国のことながら情けないことこの上ない……っとそういえばアイスフェルトは俺と入れ違いでカルバートに行ったんだったな。変わったことはあったか?」

 

リィン「それは――」

 

『まもなく第一発着場に王国軍艦艇が入港します。艦艇が出港するまでは一般の方の立ち入りはご遠慮ください』

 

エステル「おっと、来たわね……あれ…?でもアレって……」

 

リィン「《アルセイユ》……だな、となると……」

 

リィンはクローゼの方に視線を向けたがそれに気づいたクローゼは首を振った。

 

そうこうしてる内にアルセイユは着陸してタラップが開いた。

 

エステル「あ、アハハ……私達が乗る船って《アルセイユ》だったのね」

 

クローゼ「昨日ユリアさんと連絡した時にはそんな話一言も無かったのに……」

 

「フフ……驚かれましたか?」

 

するとアルセイユのハッチから王室親衛隊の軍服を着た女性士官が現れた。

 

エステル「あ、ユリア大尉!」

 

 

クローゼ「ユリアさん……昨日はアルセイユが来るなんて一言も言わなかったじゃないですか」

 

ユリア「フフ……申し訳ございません。殿下を驚かそうと思い黙っておりました」

 

ユリアはそう言いながらも悪戯が成功した様な顔で笑う。

 

クローゼ「もう、ユリアさんったら……では察するにアルセイユの使用はお祖母様の計らいですね?」

 

ユリア「えぇ、ご明察です」

 

エステル「えっと……どうして女王様が?」

 

ユリア「名高き新鋭艦を投入すれば龍の襲撃に怯える人々の不安を少しでも払拭したい……その様なご配慮をと陛下は考えられていた訳さ」

 

エステル「あ、成る程……」

 

オリビエ「ふっ、流石はアリシア陛下だ。つまり大尉の後ろに控えている記者諸君も同じ理由なのかな?」

 

オリビエはそう言うと大尉の背後にいるリベール通信のナイアルとドロシーを視線を向けた。

 

ナイアル「ま、そういう事だ。今度の龍の出現はルーアンに現れた《オケアノス》以来のインパクトの大きさだ。ウチの報道を通じて国民の動揺を抑えたい狙いらしい」

 

ユリア「ナイアル殿、繰り返すがくれぐれも……」

 

ナイアル「分かってますって、機密を記事にしたりしませんよ。ただ、公正さを保つ為にある程度は突っ込みますぜ」

 

ユリア「……了解した」

 

「フン……時間通り来た様だな」

 

今度はモルガン将軍が中から出てきてエステル達の前に出た。

 

エステル「あ、モルガン将軍……」

 

シェラザード「同行を認めてくださり感謝しますわ」

 

モルガン「まぁ、女王陛下のご意向でもあるからな……言っておくがあくまでもお主達はオブザーバーに過ぎん。基本的に我々の作戦を眺めてもらうだけにしてもらうぞ」

 

エステル「うん、分かっているわ。軍の作戦でケリがつくならそれはそれで良いことだし」

 

ジン「お手並みを拝見させて貰いますよ」

 

モルガン「フン……まぁ良い。姫様どうぞこちらに、ブリッジに案内しますゆえ」

 

クローゼ「え…?ですが……」

 

モルガン将軍の言葉にクローゼは戸惑う。

 

モルガン「王家の船に姫様を客人としてお乗せする訳には参りませぬ。クルーの士気にも関わります。どうか……」

 

モルガン将軍の言葉にクローゼは一瞬目をリィンに向け、リィンもそれに頷いた。

 

クローゼ「……わかりました。では案内をお願いします」

 

そう言ってクローゼはモルガン将軍に連れられて一足先にアルセイユに入っていった。

 

エステル「うーん、相変わらず素っ気ない人よね。いい加減に遊撃士を認めてくれても良いのに」

 

リィン「ハハハ、大丈夫だよエステル、将軍はとっくにエステル達を認めているよ」

 

エステル「そうかな〜?とてもそうは見えなかったけど」

 

ユリア「フフ、閣下も頑固な方だからいきなり態度を変えるのを良しとはしないのだろう。君達の案内は私がさせて貰うよ」

 

ユリア「……ようこそ遊撃士諸君!王室親衛隊所属《アルセイユ》の乗艦を許可する!」

 

ユリア大尉はそう言って一歩前に出てエステル達に敬礼して告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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