閃の軌跡〜変わる物語〜   作:名無し名人

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第101話

リィン「……暇だな」

 

アルセイユに乗り込んだエステル達はモルガン将軍から作戦の概要を聞いた後、哨戒艦からの龍発見の報が届くまではアルセイユ艦内で待機をする事になったのだが、リィンは割り当てられた部屋で暇を持て余していた。

 

リィン「……歩いて回るか」

 

リィンはそう言って部屋から出て許可されたエリアを歩き回る。道中親衛隊員ともすれ違うが離宮奪還作戦の時に見知った顔もいたので軽く挨拶してたりした。

 

艦の外を出るとデッキにはナイアルとドロシーが居てドロシーは導力カメラを構えて周りの風景を撮っていた。

 

リィン「何してるんですか?」

 

ナイアル「おっ?次期王配殿じゃないですかい。丁度良いや、インタビューお願い出来るかね?」

 

リィン「……それは否定はしないけれど俺は飽くまでも王配であって実権はクローゼやアリシア女王陛下ですよ。そんな飾りにインタビューしたって面白い記事書けませんよ」

 

ナイアル「何言ってやがる。お前さんは表に出てないだけで結構有名人だぞ。あのクーデター事件の時情報部が乗っていた装甲車を真っ二つに斬り裂いたのを目撃した人間は多かっんだぞ?あの後お前さんの事が記事に一切書かれていないのを不審に思った読者からの問い合わせがあった位だ。しかもリベールの至宝たるクローディア殿下と深い関係となれば面白い記事位幾らでも書けそうだ」

 

ナイアルは呆れた声でタバコを咥えた。

 

ドロシー「ほえ〜あの装甲車真っ二つ事件リィン君だったんですか〜斬られた装甲車、とってもキュートに撮れましたよ〜」

 

リィン「………キュート?」

 

ナイアル「……まぁ、気にするな、どうもコイツは被写体の表情が見えるらしくてな……一見適当に撮ってるだけしか見えなくても現像したら息を呑む様な写真を撮るんだよコイツ……」

 

ドロシー「えっへん!」

 

ドロシーが胸を張った。

 

リィン「……まぁ、どの道この作戦が無事に終わったら取材をうけますよ。俺もそっちが喜びそうなネタ用意してますから」

 

リィンはそう言って踵を返して艦内に戻ろうとした。

 

ナイアル「ほう?どんなネタだ?」

 

リィンは首だけ振り返って言った。

 

リィン「それは秘密です。只一つ言えるのは話題性たっぷりだと言う事です」

 

シェラザード「あらリィン、散歩かしら?」

 

艦内に戻り酒保を覗くとシェラザードとフローラが飲んでいた。

 

リィン「そんな所です。それよりもシェラさん幾ら軍が主体の作戦とはいえ酒を飲むのはどうかと……」

 

フローラ「御安心下さいリィン様、ノンアルコールです。それに万が一シェラザードが呑もうとしたら私が全力で止めますから」

 

リィン「それなら大丈夫……か?」

 

シェラザード「ちょっと、私だって時と場合を選ぶわよ」

 

フローラ「そうかしら?貴女さっきロレントでアイナと酒を呑んだと言ってたじゃない」

 

シェラザード「あれは仕事よ!アイナに惚れた男が飲み比べで勝ったら付き合ってくれって言う立派な依頼よ!」

 

リィン「アイナさん相手に飲み比べ……?無謀なチャレンジャーですねその男性……」

 

フローラ「全くです。フォークナーが気の毒ですね……店の酒を全部呑まれたかもしれないわね」

 

シェラザード「そ、そんな事しないわよ!第一私だけじゃなくてオリビエの奴も一緒に呑んでたし……」

 

リィン「……因みにオリビエさんは何杯目で潰れました?」

 

シェラザード「ん?え〜と……ワインとウイスキーのストレートを十五杯目辺りじゃなかったかしら?」

 

リィン「……」

 

リィンとフローラはその時のオリビエの惨状が容易に想像でき、静かにオリビエの冥福を祈った。

 

その後シェラザード達と別れて廊下を歩いているとジンと出会った。

 

ジン「よう、アイスフェルト。暇してるか?」

 

リィン「暇と言えば暇ですね。でも流石にアルセイユの艦内で組手は出来ませんよ?」

 

ジン「ハハハ!そりゃそうだ……っとそう言えばお前さんには聞きたい事があったんだ。お前さん、俺と入れ違いで共和国に行ったんだろう?何かあったのか?」

 

リィン「エステル達には聞いてないんですか?」

 

ジン「あぁ、忙しくてそれどころでは無かったからな」

 

リィン「……そうですね。ジンさんは知っておいた方が良いかな?」

 

ジン「その言い方……何かあったんだな?」

 

リィンは共和国に行った理由を話した。古代種の事……そしてカナンの村でおきた惨劇も……

 

リィン「という訳です。これが俺が共和国に向かった理由です」

 

ジン「……」

 

「?……ジンさん?」

 

ジン「古代種……そんなのが居て、人々を喰らったというのか……」

 

リィン「……はい、魔獣とは違う。獰猛な太古の生物です……そしてこの事実は共和国政府は箝口令を敷いています……」

 

ジン「成る程、国民の不安を広がる事を恐れての事だな……分かった。俺も言いふらすつもりは無い、しかしお前さんもエステル達に負けず劣らずに厄介事に首を突っ込むな」

 

リィン「ハハ……もう慣れました」

 

その後ジンと二、三話すとそのまま別れた。

 

そして更に廊下を進むとオリビエとばったり出くわした。

 

オリビエ「あ………や、やぁリィン君」

 

オリビエはぎこちなくリィンに話しかけた。

 

リィン「……オリビエさんも散歩ですか?」

 

オリビエ「あ、うん……そんなとこかな、あ、アハハ…ハ」

 

オリビエは気まずげに頭をかくと意を決したのかリィンに頭を下げてきた。

 

リィン「……」

 

オリビエ「済まなかった。リィン君……あの時は自分でもどうかしてた。君の言う通りあの時僕は敵か味方かを品定めしていた……君に事情を打ち明けていない僕に無条件で味方する道理は君には無いのにあの強さを見て疑心暗鬼に陥ってしまった。許されるとは思っていないけど、どうか信じて欲しい。僕は君達に敵対する気はない……」

 

オリビエは頭を下げたまま言った。

 

 

リィン「……頭を上げてください。俺も少し言い過ぎました。だからもうこの話は終わりにしましょう」

 

オリビエ「……良いのかい?理不尽な理由で君に銃を突きつけたんだよ僕は……」

 

 

リィン「だからもう良いですって……これからは宜しくお願いしますね。オリビエさん!」

 

オリビエ「……ふ、任せ給え!そうと決まったら仲直りの印に僕の華麗なリュートを……」

 

リィン「あ、それは結構です」

 

 

オリビエと別れアルセイユの前部デッキに行くとエステルが黄昏ていた。

 

リィン「どうした?不安か」

 

エステル「あ、リィン……うん、少しね。将軍の作戦は非の打ち所も無いし上手くいくとは思ってるんだよ。でも……」

 

リィン「レーヴェ……か?」

 

エステル「うん……ヨシュアの知り合いで結社の執行者……しかも途轍も無く強い。あの男が居たら……」

 

リィン「その時は俺が相手してやる。あの時とは違い剣も実力も上がったからな」

 

エステル「うん…頼りにしてるね。それにしても……いつの間にかリィンと実力が差をつけられたのはどうも納得いかないわ……」

 

リィン「いや、納得いかないと言われても困るが……」

 

そうしてエステルと別れ最後に……クローゼの部屋に辿り着いた。

 

クローゼ「リィンは今回の事件はどう思う?」

 

クローゼは突然の恋人の訪問にも快く招き入れて雑談をしていたが突然そう言って来た。

 

リィン「どう……って?」

 

クローゼ「結社の執行者が五人もリベールに居て、その目的が未だに見えない……私は正直不気味に感じるわ」

 

リィン「目的…か」

 

リィンも薄れていく《原作》を思い返したが確かに結社の目的がイマイチ判らない事が多く、労力に対して結果が見合っていたかどうかは疑問に残る。

 

クローゼ「勿論エステルさん達やリィンも頑張っているのは分かってる。でも……」

 

リィン「クローゼ……」

 

リィンはクローゼに抱きついてクローゼの頭を撫でた。

 

クローゼ「あっ……」

 

「不安になるな……とは言えないけど、信頼しても大丈夫だと思う。この艦にいる全員……いや、この作戦に関わっている全ての人達はリベールを護りたい…その想いで動いてる。だから……」

 

クローゼ「……クス、ありがとうリィン……」

 

その直後艦内でアナウンスが流れ、哨戒艦が飛行物体を発見したと報告が上がった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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