閃の軌跡〜変わる物語〜   作:名無し名人

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第105話

エステルSide

 

アガット「……着いたぞ霧降り渓谷だ」

 

エステル「まずは渓谷の東側にある山小屋に向かえば良いのよね?」

 

アガット「あぁ、そうだ……けどその前に……」

 

アガットは振り向いてついてきているフローラに声をかけた。

 

アガット「一応聞くがホントに良いのか?アイスフェルトの傍に居なくて、アイツの従者だろアンタ?」

 

フローラ「……はい、クローゼ様が居ますしそれに流石に今回の失態を考えれば……」

 

エステル「う〜ん、リィンは気にしてないと思うけど……それに聞いた状況を考えたらフローラさんの責任じゃないと思うんだけど……」

 

シェラザード「そうね。悪いのはあの化け物だわ。余り自分を責めない方がいいわ」

 

エステルとシェラザードはフローラに責は無いと言うが……

 

フローラ「ありがとうございます。ですが、こうして動いていないと落ち着かないといか……」

 

アガット「……分かった。そこまで言うならもう止めはしねぇが……別の意味で大丈夫なのか?アンタは戦えるとは聞いたが俺は実際見てないからな……」

 

エステル「あ、確かに考えてみたらアガットは直接見ていないっけ」

 

フローラ「……私の得物はコレです」

 

フローラは愛用している棍と銃を取り出した。

 

アガット「エステルと同じ棍使いか、それと帝国製の大型拳銃か……その棍少し持ってもいいか?」

 

フローラ「どうぞ……」

 

フローラは棍を手渡したが……

 

アガット「うおっ……!?重っ……アンタ見かけによらずに力あるんだな……」

 

アガットうっかり落としそうになりながらも支えていたがさっさとフローラに返した。

 

フローラ「メイドですから」

 

フローラはアガットから返してもらった棍を軽々と振り回しながら事も無げにに言った。

 

アガット「いや、答えになってねぇんだが……まぁいい、こんな重い棍を振り回せる腕力なら少なくとも足手まといにはならねぇな……時間が惜しい。山小屋に急ぐぞ」

 

そう言って山小屋に向かった。そして深い霧の中で歩いていると目的地の山小屋に到着した。

 

エステル「着いたけど、ここに住んでいる人が龍について知っているの?」

 

アガット「あぁ、そして龍が根倉にしている場所に通じる道も知っているらしい」

 

シェラザード「成る程ね……なら尋ねてみましょう?」

 

エステル「うん」

 

エステルは山小屋の扉をノックした。

 

『……誰かね?』

 

エステル「遊撃士です。少しお話がありまして……中に入れて頂けませんか?」

 

「……入りなさい」

 

エステル「失礼します」

 

エステルが扉を開けると小屋の主人が出迎えた。

 

「こんな辺鄙な場所に遊撃士が来るとはな……一人、見知った小僧がいるが」

 

主人はアガットを見た。

 

アガット「小僧とは随分じゃねぇか、久しぶりだな爺さん。アンタにちょっと聞きたい事があってよ」

 

「ほう……聞きたい事とな?」

 

エステル「はい、実は……」

 

エステルはこれまでの経緯を話した。

 

「……成る程、龍を追いかけに来たのか」

 

アガット「あぁ、それでアンタは一度龍の根倉の場所に一度行った事があるらしいな?そのルートをおしえてくれねぇか?」

 

「……確かに儂はあの場所の行き方を知っている」

 

エステル「じゃあ……」

 

「だが一つ聞きたい、仮に龍を見つけたとしてお主達はどうするつもりだ?」

 

エステル「え……?う〜ん一応操られている可能性もあるし、無闇矢鱈に傷つけたくはないけど……」

 

アガット「だが《ゴスペル》を破壊しても暴れるなら退治するしかねぇだろ。やむを得ない措置って奴だ」

 

「……ふん、話にならんな……どうやら龍をそこらの魔獣と一緒にしているみたいだが、アレは断じて魔獣では無い、《大崩壊》前から生き続けている神獣とも言うべき存在だ」

 

エステル「《大崩壊》前からって……えぇッ!?

 

アガット「はは、んな訳ねぇだろ。確かに長生きしてるっぽいがいくらなんでも……」

 

フローラ「いいえ、事実です」

 

アガット「へ……?」

 

シェラザード「有り得ない話ではないわ。龍の伝承が残っている国は限られているけど……どれも不老不死と言われるぐらいに長生きだと伝わっているわ」

 

アガット「……マジかよ」

 

アガットは頬が引き攣った。

 

エステル「た、確かに普通の魔獣とは比べない方がいいかも……」

 

「そんな存在を退治するなんて自殺行為もいいところだ。大人しく王国軍に任せておけばいい。軍も当てにはならんがあの男なら……」

 

エステル「えっ……?」

 

「………兎に角、若い連中を死地に追いやる真似はできん。悪いが力にはなれん」

 

エステル「で、でも………」

 

フローラ「………お言葉ですが彼女達は既に死地を何度もくぐり抜けています。何度も格上も対峙したりもしました」

 

「む……っ」

 

フローラ「いずれも危険だからといって見過ごす訳にはいかない相手でもありました。彼等は互いに知恵を出し合い、力を合わせて乗り越えて来ました」

 

「………」

 

アガット「その通りだな。今回も見過ごす訳にはいかねぇが無闇に突っ込んだりはしねぇ………だから頼む、どうか力を貸してくれ」

 

アガットそう言って頭を下げた。

 

エステル「アガット、フローラさん………」

 

「……フフ、中々良い面構えになったみたいだな、そこまで言われたら俺も力を貸さない訳には行かないな」

 

アガット「!」

 

「何……大した事をする訳じゃない。俺は準備する為に一足先に向かうとしよう。西側の一番奥だからあとから来るがいい」

 

エステル「あとから……?」

 

アガット「おい、北西に向かうルートを教えてくれるんじゃねぇのか?」

 

「なに、教えるだけでは多分わからないだろう、兎に角渓谷の西側に出てから歩いて行ける一番奥まで来るんだ。待ってるぞ」

 

そう言って山小屋の主人は出ていった。

 

エステル「行っちゃった……」

 

アガット「仕方ねぇ……おっさんの言ったとおりに行ってみるしかねぇ」

 

エステル「そうね……確か西側の一番奥だっけ?」

 

アガット「あぁ」

 

そう言ってエステル達も渓谷を歩き西側の一番奥に辿り着くとそこには主人が通路に仮設の橋を渡していた。

 

「何とか辿り着いたみたいだな」

 

エステル「もしかしてその橋を渡ったら………」

 

「あぁ、まっすぐ進めば大きな岩山がある筈だ。中は空洞になっていて、奥に進んでいけば上の方に登れるようになっている。恐らく龍はそこにいるだろう」

 

エステル「そっか………」

 

アガット「恩に着るぜ、おっさん」

 

そう言ってエステル達は次々と橋を渡って行き最後にフローラが渡ろうとした時主人が呼び止めた。

 

「少し待ってくれないか?」

 

フローラ「なんですか?」

 

「君は…龍の事を知っているみたいだが……もしかして……」

 

フローラ「フフ……さて?なんの事でしょう?私は只のメイドですわ」

 

主人が最後まで言おうとしたがフローラはニコリと微笑み、それ以上は言わなかった。

 

「……そうか、俺の勘違いだったみたいだな。気をつけてな」

 

フローラ「はい、ありがとうございます」

 

そう言ってフローラも橋を渡って行った。

 

 

 

 

 

 

 

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