エステル「もう、ケビンさんが居たからびっくりしたわ」
後から来たエステル達はケビン神父がいる事に驚いた。
ケビン「ナハハ、まぁ色々事情があってね。リィン君達に言ったけど俺実はエステルちゃんと別れた後《四輪の塔》を調べていたんや」
エステル「《四輪の塔》を……?」
オリビエ「ふむ……という事は全て調べ終わったという事かな?」
ケビンは頷いた。
ケビン「ま、そういう事ですわ。おかげでこっちで起きた竜騒ぎは完全にノータッチになってしもうて。ここらで情報交換しようと、そう思って参上した次第なんや」
エステル「それは構わないけど……えっと、じゃあ早速ここで情報交換する?」
ケビン「あぁ、出来れば夕食の時にしてくれた方がええなぁ、そっちの方がお互いにリラックスして話せるやろ?」
エステル「あ、それもそうね……ってケビンさんもここに泊まるつもりなの?」
ケビン「アハハ……聞けばここの宿は割と有名らしいやない?折角やから俺もエステルちゃん達の休暇にご相伴にしよかなとおもてな」
エステル「もう、いきなりねぇ……でも、ケビンさんにはお世話になってるし、皆はどう?」
エステルが皆に確認を取ると一人を除いて賛成だった。
エステル「あ、あれ?フローラさんは反対?」
フローラ「……はい私は反対です。エステルさんには申し訳ないですが」
付き合いの長いエステルは彼女がこんな態度を取るのを初めて見た。
シェラザード「珍しいわね?アンタがそこまで拒否するなんて……何かケビン神父にいい思い出ないの?」
ケビン「ギク……っ」
フローラ「……ええ、あまりいい印象は無いわね」
フローラはケビンから視線を逸らした。
ジン「ふむ……だが、お前さんの主人のリィンは賛成に回ってる。こんな言い方は卑怯だが賛成に回ってる主の面子を潰してるんじゃないか?」
フローラ「それは………」
シェラザード「そうね、もしケビン神父に対する態度がリィン絡みなら余計にリィンの立場がないわよ。彼はケビン神父を許してるのだから」
フローラ「………む、」
アガット「ま、もし仮にこの神父がアイスフェルトに余計なちょっかいをかけたならその時にアンタが制裁を加えれば良いんじゃないのか?」
ケビン「そ、そんな殺生な〜〜」
ティータ「あ、あのあの!どんな事があったかは分かりませんけどケビンさんは信用しても大丈夫ですよ?」
クローゼ「フローラさんから見れば印象は最悪かもしれませんが許してるリィンの為にもその怒りは今は抑えてくれませんか?神父に信頼回復の機会を与えてください」
オリビエ「君のリィン君に対する忠誠は美しいものだけれど度が過ぎれば困るのはリィン君だよ?」
フローラ「………」
フローラは視線をリィンに向けた。
リィン「……フローラ、あの時の事なら気にするな。もう、あんな事しないと本人も誓約したのを聞いただろう?」
リィンは優しくフローラに語りかけた。
フローラ「……本当にもうしないんでしょうね?」
フローラはもう一度ケビン神父に視線を向けると問いただした。
ケビン「も、勿論や!悪かったと思っとる!!」
フローラ「………ハァ、分かりました。賛成します。確かにリィン様を困らせる事をすべきではありませんね。皆様も申し訳ありませんでした」
フローラはゆっくりと一礼して謝罪した。
エステル「アハハ、いいってば。誰だって嫌いな人は居るんだし、それじゃあチェックインして荷物を置いたら夕食にしよっか?」
そうして宿の人に部屋を案内してもらったのだが……
「申し訳ありませんどなたか男女一緒の部屋でお泊り出来ませんでしょうか?部屋は基本的に四人部屋しか用意されてなくて……」
宿屋の人はそう言って申し訳無さそうに頭を下げた。
エステル「う〜ん、どうする?」
フローラ「なら私がリィン様と……」
クローゼ「あの……、私とリィンでお願い出来ませんか?」
エステル「へっ……?」
リィン「クローゼ?何を言って……」
クローゼ「問題ないわ、お祖母様公認なのだから。皆さん良いでしょうか?」
アガット「あ〜構わねぇんじゃねえの?」
ジン「ふむ……馬に蹴られたくは無いかな?」
ティータ「わぁ〜素敵です!」
オリビエ「ふ……恋する乙女の前には余人は無粋の極みだね」
エステル「そ、そうよね……二人は恋人なんだし、普通よね……」
シェラザード「フフ、良いじゃない。フローラ、アンタはどう?」
フローラ「そうね、確かに配慮が足りなかったわ。リィン様、クローゼ様どうぞお二人でお使いください」
ケビン「おや?もしかして……ははぁ、成る程……リィン君、不純異性交遊はあかんで〜?」
リィン「何で息ぴったりなんだアンタ達!?」
「では残りの方々のお部屋をご案内致します」
リィン「いや、ちょっと待って……!」
リィンは制止しようとしたが既に出ていってしまった。
リィン「……」
部屋にはリィンとクローゼが残された。
クローゼ「さ、荷物置きましょ?リィンはベットは窓側?それとも廊下側が良い?」
クローゼはさっさとクローゼットに自分の荷物をいれていた。
リィン「……取り敢えず廊下側で、ハァ……アリシア女王陛下になんて言えば……」
リィンはベットに座り頭を抱えた。
クローゼ「良いじゃない、さっきも言ったけどお祖母様のお墨付きなのよ。私達の関係、いい機会だから慣れておいて損は無いわ」
クローゼは部屋に備え付けられていたコップを取りティーパックを入れて保温ポットからお湯を注いでいた。
リィン「何の機会だ。何の……こんな場面、襲ってくださいと言ってる様なものだろ?」
クローゼ「あら?別に襲っても構わないじゃない」
リィン「へっ……?」
クローゼは紅茶を淹れた二つのカップを持ちながら言った。
クローゼ「だって……結婚したら同じ部屋を寝食を共にするのよ?予行練習にはうってつけだわ」
クローゼはそう言って見たこともないような笑顔をうかべていた。