その後シェラザードさんと別れたリィンだが、オリビエが助けを求めていた様な気がしていたけど……無視した。リィンとて命が惜しい。
その次にアガットとティータと会った。
アガット「あん?何だアイスフェルトじゃねぇか、釣りはどうした?」
リィンは肩を竦めた。
リィン「成果はゼロでしたよ。アガットさんこそティータと一緒に何してるんですか?」
ティータはテーブルに何かを夢中で作っているみたいでリィンには気づいていない。
アガット「あぁ……コイツ、俺が身につける時計を作るって聞かなくてな。ったく、時計なんざいらねぇのによ」
リィン「そう言う割には付き添ってあげてるんですね?」
リィンは笑って言った。
アガット「まぁ……な、コイツ集中しだしたら見ての通り、誰の声も聞こえねぇときた。折角の休みに本末転倒だろうが?」
リィン「確かに……でも、良いじゃないですか?アガットさんに身につけて欲しいから作ってるんですから」
アガット「分かってるがな……」
ティータ「出来たーー!!完成です!……わわ、リィンさんいつの間に……!?」
ティータが時計を掲げると漸くリィンに気づいて慌てだした。
リィン「ついさっきかな?それにしても……見事な腕時計だね?あまり飾りをつけなかったのはアガットさんの好みかな?」
ティータ「はい、そーです!!アガットさんのリクエストが飾りはいらないからシンプルで頑丈なのを頼むと言われて……」
アガット「おい……余計な事言うな、でこれが俺の腕時計か?」
ティータ「はい、つけてみてください」
ティータは灰色の腕時計をアガットに渡した。
アガット「ったく……これで良いか?」
アガットは左手に腕時計をつけた。
ティータ「はい、つけ心地はどうですか?」
アガット「……悪くねぇな、緩すぎもせず、キツすぎもしねぇ……っで、これの動力はやっぱりクォーツか?」
ティータ「はい、でも流石にメンテナンスは普通の工房では無料ですから補給したい時はツァイスに来てください」
アガット「はいよ、これで終わりだな」
ティータ「あ、実はまだもう一つ機能があって……アガットさん時計のリューズを三回右回転させてみてください」
アガット「あん?リューズ……これか?……回したが、何だ?時計のガラスが跳ね上がったぞ?」
ティータ「そのままにしてくださいね。リィンさんすみませんがそこの壁に紙を貼ってくれませんか?」
リィン「構わないけど……これでいいかい?」
ティータ「はい、ありがとう御座います。アガットさんあの紙に向かって腕時計をガラス越しに照準を合わせてください」
アガット「照準?………」
アガットは首を傾げながらも言われたとおりにする」
ティータ「じゃあアガットさん、リューズを一回押し込んでください」
アガット「………」
アガットは言われた通りに押すと時計から針が出てきて紙が刺された………
「「………」」
ティータ「えへへっ、どうですか!万が一アガットさんが武器が無くて手ぶらな時に敵が来たらこの腕時計が最終手段になるんです!!針の先には魔獣すら一瞬で眠らせる睡眠剤を塗ろうと思っていますけど………どうでしょうか!?」
ティータの純粋な目にリィンとアガットは互いに顔を見合わせた。その答えは一緒だった。
「「却下!!すぐに外しなさい(せ)!!」」