その後ティータは隠し機能を外し(かなり不満そうだったが……)普通の腕時計としてアガットにプレゼントしたのを確認したリィンは次の場所に向かった。
ジン「お?アイスフェルトか、散歩か?」
リィン「えぇ、ジンさんは………泰斗流の型ですか?」
ジンはゆっくりと丁寧に型を構えていた。
ジン「まぁな、個人的にも負けられん理由が出来てな」
リィン「……武術家の意地ですか?」
ジン「あぁ、そんな所だ……なぁアイスフェルト、もし、もしもだぞ?嘗て同じ道場で互いに切磋琢磨していた兄弟子が師を殺し、殺人拳に堕ちたらお前さんならどうする?」
リィン「………その師は兄弟子とは合意の上で戦ったのですか?」
ジン「………あぁ、師は兄弟子に足りない物を教える為にな」
リィン「判断材料が少ないですが………ジンさんはどうしたいのですか?」
ジン「………分からん、止めたいのは確かにある。だが……師が死合に同意していた以上口出しする権利も恨む筋合いも無い、それでも兄弟子を止めたい。矛盾だろう?」
リィンは苦笑した
リィン「それだけその兄弟子を観ていたという事でしょう?なら、ジンさんの思う通りにしたら良い。他人がどうこう言う権利は無いですよ」
ジン「ふ……そうかもしれん、少し迷いが出てたのかもな。年下に気を遣わせてしまって、俺もまだまだ精進が足りなかったか……」
リィン「俺だって人に偉そうに言える立場じゃあ有りませんよ。ジンさん程の《理》に俺は至っていません」
ジン「ハハハ……!謙遜を、お前さんも八葉一刀流の《理》に片足を突っ込んでいるだろう!いや、済まない。折角の休日に無粋な会話だったな」
リィン「いえ、俺も楽しかったですよ。ではまた後で」
ジン「あぁ、また後でな」
そしてまたぶらぶらしていると……
エステル「あ、リィン。ティータ知らない?ちょっとあの子と釣りを誘おうかと思ってだけど」
リィン「ティータならアガットさんと一緒にいるよ」
エステル「へぇ〜、ティータとアガットと一緒にねぇ……」
エステルはニヤニヤしてた。
リィン「あんまりアガットさんを弄るなよ?というかティータ自身まだ自分の気持ちを分かってない節があるし、一歩下がって温かく見守ろう」
エステル「あはは、分かってるわよ。でもリィンも興味津々じゃない?」
リィン「………まぁ、否定はしないかな」
エステル「うんうん、リィンも良い性格してるわね。あ、そうだ。今クローゼがフリーだから誘ってあげたら?ボートに一緒に乗ってヴァレリア湖を回るデートなんて素敵でしょ?」
リィン「ボートか……良いかもな、クローゼは何処に?」
エステル「丁度喉が渇いたから宿屋の食堂で飲み物を貰って来るとか言ってたから、今からいけば居ると思うわよ?」
リィン「そうだな……ありがとう、行ってくる」
エステル「あはは〜、うんいってらっしゃい」
そう言ってエステルと別れたリィンだったが、クローゼに渡す『お土産』の存在を思い出した。
リィン「………少し、キザっぽいが……まぁ良いか、クローゼ喜んでくれれば良いが」
リィンは部屋に戻って荷物から『お土産』を取り出してからクローゼとボートの誘いをしに下に降りた……