エステル「な…何よコイツは…!?」
何も無い空間から突如顕れた《巨人》は8アージュもあり、その手には大剣が握られていた…その姿はどう見ても普通の魔獣じゃない
「ーーーー!!」
ヤツは声にならない雄叫びを上げながら大剣を構えてきた
ヨシュア「エステル!ルックとパットを中に!」
ヨシュアの声で私は我に返り、急いで二人に声を掛けた…
エステル「ッ…!!ルック!パット!急いで塔の中に戻って!」
「「う…うぁぁぁ」」
不味い!恐怖で動けないみたい!仕方無い
エステル「ごめん二人とも!」
「「え?うわぁぁ!」」
私は二人を両脇に抱えて走り出した!
エステル「ヨシュア!二人は私が運ぶわ!」
ヨシュア「判った!先に行ってて!」
ヨシュアは敵を牽制しながら後退してなんとか塔に潜り込むことに成功した、幸い中にまでは入れない様だが自体が好転した訳では無いわ…
エステル「ハァ…ハァ…あれ、一体何なのよ?あんなの見た事も聞いた事もないわ…ヨシュアは何か何か知ってる?」
ヨシュア「いや…僕も初めて見るよ。そもそもアレ、魔獣のカテゴリーに入るか怪しいけど?」
言われてみれば確かに…精巧に造られた人形みたいな印象が感じたわ…
ヨシュア「それよりこれからどうする?ヤツは中には入れないけど外に居座り続けるみたいだよ、ホラ…」
ヨシュアに促されて外を覗いて見ると確かに入口付近にウロウロしている。
エステル「…ヨシュアの見立てではどう思う?」
ヨシュア「…塔に立て籠もるのも一つの手だとは思うけど、それは…」
どうやら考える事は同じみたいね…となると
エステル「ヨシュア?」
ヨシュア「うん、その方がいいかもしれない…」
なら…ルックとパットに声をかけないと。
エステル「ルック、パット大丈夫?」
「あ、エステル…」
「う、うん…なんとか」
元気無いわね、まぁあんなモノを間近で見たらそうもなるわね…
エステル「良い?よく聞いて、私達はあの《巨人》の目を引きつけるからあんた達は全速力でロレントに戻りなさい」
「「え?」」
「む、無茶だろ!?あんなでかい奴相手に二人だけなんて!」
「そ、そうだよ?それより此処に立て籠もって救援が来るのを待ってた方が…」
エステル「確かに奴は中に入れないわ…だけど」
ヨシュア「奴が塔を壊す事なら出来ると思う」
「「な!?」」
そう、あの図体で大剣を持ってるならこの塔を破壊すること等容易い。私達が出て来るのをじっと待ってるより隠れ場所から追い立てる方が楽だ、私達だけなら崩落する破片を避けることは出来るけど…
エステル「あんた達はそれは出来ないでしょ?酷な言い方だけど護衛対象を庇いながらヤツと戦う技量は今の私達にはないわ」
ヨシュア「それに、君達にはこちらに向かってる父さんに何が起きてるのか伝えてほしいのもあるね。僕等はその為に時間稼ぎをするんだ」
「そ、そんな…」
「ぼ、僕達のせいで…」
罪悪感でいっぱいになってるわね、フォローしないと…
エステル「…あんた達のせいじゃないわ。あんな《巨人》が現れるなんて誰にも予想出来ないわよ、というかあんなもんがホイホイ出て来てたまるかっての」
エステル「それに私達もやられるつもりはサラサラないわ、だからこそあんた達には一刻も早く父さんに知らせて欲しいのよ…特にルック、あんた遊撃士になるのが夢なんでしょ?夢を叶える為にも自分が今出来る事をしなさい」
「自分の出来る事…?」
ヨシュア「パットを無事に連れ帰る事さ、責任を感じているなら友達と一緒に無事に帰る事が君が今出来る事だよ」
「……解かった。元を正せば俺が不用意に立ち入ったのが原因だし、カシウスさんへの伝言間違いなくやり遂げるぜ!」
なんとか持ち直したかな?それじゃあ…
エステル「ヨシュア、タイミングは任せたわよ」
ヨシュア「うん、こっちも何時でもいけるよ」
良し!それじゃあヨシュアのカウントで5…4…3…2…1…0!
エステル「ハアァァァァァ!!」
ヨシュア「オォぉぉぉ!」
「ーーー?!」
ヤツはこっちが打って出るとは思わなかったみたいでヤツの顔面に叩き込んだら体勢を崩し視線が此方に向いた!
エステル「今よ!走りなさい!!振り向くな!」
「「う、うわぁぁぁぁー!!」」
なんとか走り抜けていったわね?頼むわよルック、パット…
ヨシュア「本来護衛対象だけで先に脱出させるのもどうかと思うけど…」
エステル「まぁ、しょうがないわよ…それよりもヨシュア、奴を倒せる自信ある?」
ヨシュア「さっきも言ったけど時間稼ぎしかできないよ、僕等の今の技量ではこれが精一杯だね」
エステル「そっか〜しょうがないか、さて…向こうは怒り心頭みたいだし父さん達が来るまで持ち堪えるわよ!」
ヨシュア「うん!行くよ!!」
それから奴との戦いは始まったけど余り効いてない上に細かいキズも直ぐに修復されてしまう。しかも…
エステル「ハァ…ハァ…、コイツ全然動きが鈍らないわ、こっちは体力減ってきてるし、やばいわね…」
私もヨシュアも今のところ大した傷は負ってないがこのままだと…え?あれは…
???「黑神一刀流 零の型【双影】」
あの巨人を一刀で吹き飛ばしたのは、リィン!?
リィン「やぁ、エステル、ヨシュア早々大変な目にあったね?」
エステル「え?リィンどうしてここに!?」
リィン「俺はあの後カシウス師兄に頼まれて救援の手伝いに来たんだ、そうそう子供達は無事に保護したぞ?エステル達が危ないから早く助けてくれってな」
合流出来たんだ、よかった…
リィン「さて、話は後にして…今はコイツを片付けるとするか」
巨人はさっきの斬撃で腹を裂かれているけどまだ動けるの!?
リィン「大丈夫、着いたのは俺だけじゃないから」
エステル「え?それって…」
フローラ「援護します」
カシウス「がら空きだぞ!八葉一刀流 【鳳凰烈波】」
エステル「す、すごい」
フローラさんが銃撃して注意を逸らして父さんの技がヤツの直りきって無い傷口に叩き込まれた!
リィン「止めだ!八葉一刀流 四の型【紅葉切り】!」
「ーーーー!?」
リィンの抜刀した太刀が奴の首を刎ねたら奴は声のならない悲鳴をあげながら消えていった…
カシウス「ふう…二人とも無事で良かったぞ」
ヨシュア「ありがとう父さん、助かったよ」
エステル「少し、いやかなり油断してたからね〜まさかあんなのが出るなんて…」
カシウス「それは仕方無いと思うぞ、今まであんなのは確認されなかったからな。しかし、あれは一体…?」
リィン「…」
ヨシュア「リィン何か考え込んでるけど、ひょっとして心当たりか?」
リィン「ん?あぁ少しね?でもとりあえずギルドに戻ろう」
エステル「そうね〜もうベッドに横になりたいわ〜」
こうして私達の遊撃士の初仕事は終わりを告げた…
ー????ー
「マサカリベールニ〘闘争〙ノタネヲマクタメニ魔煌兵ヲ送リコンダラ当代ノ『灰ノ起動者(ライザー)』ガイタトハナ、予想外ノツヨサダガマァイイ、イクラ強カロウガワレニハトドカヌ…ダガリベールハコレ以上ハ無理ダナ。キタルベキ〘闘争〙ノタネヲウエルニフサワシイ地ハ…ヲヲ、ココガイイダロウ。ゾンブンニアバレロガイイ、イママデノウラミヲハラシテミロ…
クロスベル」
エレボニアーリベール国際定期船 リベール国境上空
???「ううぅ…怖いのじゃ、揺れるのじゃ何故こんな鉄の塊が浮くのじゃ」
???「お婆ちゃん、大丈夫?」
???「大丈夫じゃない…大体空を飛ぶ必要はないじゃろ、地上で馬車を走らせれば…」
???「国と国の移動には必要よ?空に魔獣は出ないし…それに今は馬車じゃなくて導力自動車が一般的ね」
???「ぐぬぬぬ…これが数百年引き籠もってた弊害か」
???「そんな事よりお婆ちゃんいいの?」
???「儂にとってはそんな事じゃないわ!…いいのかというのは里を出る事か?」
???「うん、まだ私は外には出れないんじゃあ…」
???「未来も見透せず《黒》の動きが確認されている以上今更神秘もへったくれもなかろう…それよりお主の方がいいのかのう?」
???「なにが?」
???「お主の想い人はこの時代ではまだ会ってもいないし、他人行儀されたらお主は…」
???「いいの、全て承知の上よ…例え私の知っている〘彼〙じゃなくても、もうあんな理不尽を味あわせたくないもの」
???「そうかの…覚悟があるのならもう何も言うまい、儂は客室に戻っておるぞ、エマ」
エマ「うん、私はもう少し風に当たってから戻るね」
エマ「リィンさん…貴方なら自分の事は忘れて幸せになってっていうでしょうね、でも私は貴方が居ない世界で幸せになることは出来ません。だから…灰の導き手としではなく貴方を愛した魔女エマ・ミルスティンとして貴方を今度こそ救います」