閃の軌跡〜変わる物語〜   作:名無し名人

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第119話

エステル「それじゃあ、行ってくるね」

 

準備を終えたエステル達はボートを借りて乗り込み、待機組に留守を頼んだ。

 

ジン「あぁ、任せとけ。クルツの事は心配するな。アネラス達の事を頼んだぞ」

 

エステル「うん」

 

エステルは頷いた。

 

オリビエ「おぉ!シェラ君!!どうか無事でいたまえよ!!」

 

シェラザード「はいはい、アンタこそヘマしないでよ。フローラ、このお調子者が馬鹿したら遠慮なくシバいて良いからね?」

 

フローラ「えぇ、そうさせて貰うわ。棍で一撃でね」

 

フローラはいい笑顔で言い切った。

 

オリビエ「酷っ!?僕ってそんな信用ない!?」

 

アガット「そんな調子だからだろうが……おいティータ、お前こそ無茶すんなよ?」

 

ティータ「は、はい!アガットさんも怪我しないでくださいね?」

 

アガット「あぁ分かってる。流石にまた怪我をしたくないからな」

 

クローゼ「リィン……」

 

リィン「クローゼ、気をつけてな。《結社》の研究施設、ましてや執行者も居る可能性も高いから」

 

クローゼ「うん、リィンもね?」

 

ケビン「ほな、そろそろ行こか?」

 

エステル「うん」

 

ケビンがそう言うとアガットがボートのエンジンのスイッチを入れるとスクリューが回り、ヴァレリア湖を静かに進んで行きボートが見えなくなるまでリィン達は見送った。

 

ジン「さて………これからクルツを担いでボースに戻るぞ」

 

《川蝉亭》に戻りジンさんは開口一番にそう言った。

 

ティータ「え?ど、どうしてですか?特に命に別状は無いんですよね?」

 

ジン「あぁ、確かにな。だが別の問題が出て来たかもしれん」

 

ティータ「別の問題……?」

 

フローラ「クルツ様がどうして一人だけで脱出できたかですね?」

 

ジン「あぁ、少なくとも敵は来襲を見越して兵力を配置していたのは間違い無い。アネラス達の奮闘があったにしろ追手も出なかったのもおかしな話だ。つまり…」

 

オリビエ「結社……《執行者》がわざと見逃した可能性が高い、そして彼が遊撃士に拾われたら追撃者がこれを叩く……そんなところかい?」

 

ジン「まぁそんなところだろう。その場合戦場になるのはこの《川蝉亭》だ。他の客が居ないとはいえ宿の主人達も居るからな」

 

ティータ「そ、そんな……じゃあエステルお姉ちゃん達は敵が待ち構えてる所に……!」

 

リィン「そうだろうな、だが実際問題アネラスさん達を救助しないといけない、ジレンマだ」

 

オリビエ「だけど嘆いてもいられないねぇ……もし来襲してくるとしたらヴァレリア湖の方角かな?」

 

フローラ「恐らくは……エステルさん達とすれ違わない様に遠回りしてくるかもしれません」

 

ジン「よし、それじゃあ俺はクルツを担いでここを出るぞ。オリビエは主人にキャンセルを告げて来てくれ」

 

リィン「ジンさん少し良いですか?」

 

リィンは手を挙げた。

 

ジン「うん?どうした。アイスフェルト?」

 

リィン「俺とフローラでここに残って敵を迎え撃ちます」

 

ティータ「ふぇっ!?」

 

オリビエ「ふむ………?」

 

ジン「ほう、理由は?」

 

リィン「敵が川蝉亭に誰もいないと知ったらそのまま間道を進んで追跡してくる可能性が高いからです。その場合ジンさんはクルツさんを担いでいますから戦力は俺とフローラ、オリビエさんとティータ、雑魚なら問題無いでしょうが執行者がいたら厳しいかもしれません」

 

ジン「ふむ、一理あるが……だが殿を務めるお前さんも厳しいんじゃないのか?」

 

フローラは穏やか微笑んだ。

 

フローラ「ジン様ご安心を、私達には切り札がありますので」

 

 

―――深夜―――

 

「………」

 

ヴァレリア湖上から何艘ものボートが静かに船着場に着くと武装した集団が降りてきた。赤い鎧姿に銃や剣を構え静かに川蝉亭に近づき、扉の前まで来て突入の合図を待ち構えていた。その時………

 

「今日の宿泊の受付は終わりましたよ。不審者さま?」

 

「………ッ!?」

 

男達はいつの間にか背後に回られていた事に驚愕して振り向くと太刀を佩いていた黒い髪の少年と銀髪の美しいメイドがそこに立っていた。

 

「ジンさんの予想通りだったな。一応聞くがどこぞの猟兵……では無いよな?そんな装備の猟兵は聞いたことも無い」

 

「………」

 

男達は黙ったまま武器を構えていた。

 

「リィン様。鎧のエンブレムを見てください。結社の紋章です」

 

「……ッ!?」

 

男達は再び動揺した。

 

リィン「なら確定だな。無関係な猟兵をボコボコにしたら申し訳無いからな」

 

「……餓鬼が……、調子に乗るなよ。たった二人で何が出来る!」

 

男達が漸く喋り始め、そんな事を言った。

 

リィン「……成る程、そこら辺の猟兵とは格が違うのかな?でも、斑鳩や西風、紅い星座に比べたら大した事ないな。それに……二人じゃないさ、フローラ?」

 

フローラと呼ばれた女性は頷いて指を鳴らすと空間から数十体の騎士の人形兵器が現れた。

 

「な………ッ!?」

 

リィン「宿屋の主人は?」

 

フローラ「従業員の方々と一緒にゆっくりとお眠りになっておられます」

 

リィン「なら、建物を壊さず速やかに制圧だ。行くぞ」

 

フローラ「はい」

 

リィンと呼ばれた少年は蒼い太刀を抜き女性は棍を取り出し、騎士もそれぞれの得物を取り出した。

 

リィン「さぁ、痛い目に遭う前に投降するなら今のうちだぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

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