リィン「………今、なんて言った?エステルとアネラスさんを拉致しただと?何故……」
リィンは予想外の展開に言葉を失ったがすぐに気を取り直しエンネアに尋ねた。
エンネア「さぁ?私………というよりマスター以下我々《鉄騎隊》は今回《教授》が主導する『福音計画』には一切関わって無いもの。ただエステル・ブライトに《教授》と《殲滅天使》が興味を示してたのは確かね」
フローラ「リィン様……恐らく彼女は嘘はついておりません。というより、ここで嘘をつくだけのメリットが見当たりません」
フローラはエンネアに棍を油断なく向けながらリィンに言った。
エンネア「あら……フフ、マスターと同じ顔でそう言われると複雑な気分ね」
エンネアはそう言って上品に笑った。
リィン「……何故それを俺達に教える?」
エンネアは肩を竦めた
エンネア「さぁ?なんでかしらね?確かなのはその二人が拉致された事実……さて、貴方はどうしたいのかしら?」
リィン「無論………助けるに決まってる」
エンネア「そう、ならこれを受け取りなさい」
エンネアはそう言って紙切れをリィンに投げ渡した。リィンはその紙切れを開いた。
リィン「……これは、座標か?」
エンネア「結社の誇る大型飛行船『グロリアス』の現在の推定位置よ。二人はそこに居るわ」
リィンは紙切れを懐に仕舞った。
リィン「……礼を言うべきかな?」
エンネア「別にいいわ、私はマスターの使いでしかないし」
リィン「フッ………なら俺もこれを返す」
リィンは先程から掴んだままのエンネアの矢をエンネアに投げ渡した。
エンネア「律儀ね。敵に矢を返すなんて」
エンネアも矢を掴み、自分の矢筒に仕舞った。
リィン「良く言う。最初から避けられる前提で放った癖に」
エンネア「あら、バレた?流石はマスターの兜を割った少年ね。最も我らが筆頭殿がこの場に居たら生意気なんて言うと思うけど……」
エンネアはくすりと笑うと転移陣を発動させた。
エンネア「私はこれで失礼させて貰うわ。今度会う時は他の鉄騎隊のメンバーも紹介するわね。じゃあね、若き剣士さん」
そう言ってエンネアは消えていった……
リィン「………」
フローラ「リィン様」
フローラは棍を納めて近寄った。
フローラ「ボートが一艘近づいてきます。多分シェラザード達でしょう」
リィンも耳を澄ませると確かにボートのエンジン音が聞こえてきた
。
リィン「タイミングが良いと言うべきか……フローラ、桟橋に向かうぞ」
フローラ「はい」
リィン達が桟橋に着くとシェラザード達が降りてきてリィンの肩を掴んだ。
シェラザード「リィン!ジンさん達は!?大変なの!!エステルとアネラスが………!」
リィン「えぇ事情は知ってます。こっちも結社の襲撃を受けましたから」
ケビン「なんやとッ!?被害は!?」
フローラ「ジンさん達はクルツさんを担いでボースに避難しました。私とリィン様で迎撃、撃退したので宿屋の方々も被害無しです」
アガット「ちっ……!!俺達は敵の思い通りに動いていたのかよ!」
クローゼ「でも、川蝉亭が無事で良かった………でもエステルさん達が心配です」
シェラザード「えぇ、ぐずぐずしてる暇は無いわ。王国軍に協力を仰がないと………!」
「その必要はなかろう」
「「「「「!?」」」」」
そんな声が聴こえシェラザード達は武器を構える
シェラザード「誰!?出てきなさい!」
「そう慌てなくとも今出るわい」
するとシェラザード達の前に魔法陣が現れてそこから一見すると金髪の幼い女の子が自分の背丈よりも高い杖を持って現れた。
クローゼ「お、女の子……?」
アガット「いや……ただのガキじゃねぇな?」
ケビン「えぇ……君、何者や?」
それぞれ警戒する中彼女は意に介さず肩を竦めた。
「まぁ待て、怪しい者じゃ無い。寧ろお主らに協力してやろうと思うてな?気軽にロゼと呼ぶがよい」
――???――
エンネア「マスター、エンネア。只今戻りました」
「御苦労様でした。どうでしたか、彼は?」
エンネア「はい、恐らくマスターと交えた時よりも腕があがったかと思われます。我々鉄騎隊でも油断したら…」
「でしょうね。やはりデュバリィに行かせないで正解でしたね。それで……彼女の方は?」
エンネア「………はっきり言ってよく似てると思いました。髪の色以外、声を聞いただけなら私達ですら間違えそうになりました」
「そう、ですか……彼女は一体何者なんでしょう?」