クローゼ「……あら?それはどういう意味かしら?ロゼさん?」
リィンの隣に来たクローゼはニコリとしていたがその目は笑ってはおらずどす黒いオーラを放ちながらロゼに聞いた。
ロゼ「ひぃっ……!?待て待て!誤解じゃ、別に悪意があって近づいてきたのではないのじゃ!?」
ロゼは顔を青褪めながら慌てて弁明した。
シェラザード「悪意無いって言われてもねぇ……いきなり現れてリィンを結社の船に連れて行くと言われたら、そりゃあ警戒されるわよ」
アガット「だな、第一そんな事可能なのかよ?」
ロゼ「フフン、それが可能だからこそ魔女なのじゃよ!わしに不可能は無いわい!」
ロゼは自信満々に胸を張った。
フローラ「不可能は無い、ですか……なら至宝の回収は?」
ロゼ「すいません、見栄を張りました。出来ない事もあります」
フローラの突っ込みにロゼはあっさりと降参して頭を下げた。
ケビン「ハハ……で、実際船の位置が分かるので?」
リィン「多分、いけると思います」
その言葉に皆の視線はリィンに集中した。
リィン「シェラザードさん達が帰って来る前に結社に所属している《鉄騎隊》を名乗る女性から船の座標を記した紙を受け取りました。これです」
リィンは皆にそれを見せた。
シェラザード「これは………この座標が正しければリベールの領海から少し外れた所にいる事になるわ」
アガット「だが待て、おいアイスフェルト。ソイツはそもそも信用出来んのか?罠の可能性は?」
リィン「……どうでしょう?でも、少なくとも結社の中でも不協和音……とまでは言わなくとも《教授》とやらに思う処があるのは確かみたいです」
クローゼ「なら早速王国軍に連絡して艦を回して貰えば……」
ロゼ「それはどうかの、船内に人質がおるんじゃろう?軍隊が下手に手出し出来るかの?」
クローゼ「それは………」
クローゼはロゼの言葉に反論出来なかった。
ロゼ「つまり、最初から打てる手は決まっておる……そうじゃろ?」
そう言ってロゼはニヤリと笑ってリィンを見た。
シェラザード「ちょと待ちなさい!そう言う事なら私も連れていきなさい!あの娘やアネラスも絶対に助け出す……」
ロゼ「ほう?じゃがお主ら、どう見ても消耗しておるじゃろ。それで救出はキツかろう?」
シェラザード「く……ッ!でもリィンだけに任せるのも……」
ロゼ「大丈夫じゃろ、此奴ならそこらの雑兵なら余裕で蹴散らせるのはお主らの方が良く知っておるじゃろ?」
アガット「……ちっ、否定出来無いのがもどかしいぜ」
クローゼ「リィン………」
それぞれがリィンを見つめる中、リィンはロゼに向き直った。
リィン「行きます。エステルとアネラスさんを助けに、お願い出来ますかロゼさん?」
ロゼは頷いた。
ロゼ「任しておけ、魔女の矜持にかけてお主を送り届けてやる」
リィン「………お願いします。フローラはシェラザードさん達と……」
フローラ「私も行きます」
リィン「フローラ?」
フローラ「メイドが主に付き添わないでどうしてメイドが名乗れますか?」
リィンは溜息をついた。
リィン「……ロゼさん、彼女の同行もお願いします」
クローゼ「リィン………無事に帰ってきてね?」
リィン「あぁ、全員無事に帰って来るさ」
クローゼ「うん………それと、さっき言った『鉄騎隊』という隊の女性についても後で詳しく聞くからね?」
リィン「いや……そんな色っぽい話にならないから……」
シェラザード「フローラ……頼んだわよ。あの娘達をお願い」
フローラ「えぇ、任せときなさい。貴女も気をつけてね」
ロゼ「もう良いかの?では行くぞ」
ロゼが杖をかざすと地面に魔法陣が展開されてリィン達を包んだ。
ロゼ「bewegen」
ロゼがそう呟くと魔法陣は光に包まれ、シェラザード達が目を開けた時にはもうリィン達はいなかった。
――― ??? ―――
リィン達が目を開けるとそこには先程までの川蝉亭の自然豊かな大地では無く人工的な部屋の中に居た。
リィン「ここが……」
フローラ「成功したみたいですね」
リィンの隣にいたフローラも呟いた。
リィン「あぁ……あれ?ロゼさんは?」
辺りを見回してもロゼの姿は見当たらない。
フローラ「シェラザード達の所に残ったままじゃないんでしょうか?誰も彼女が同行するとは言ってませんし」
リィン「それもそうだ。さて………問題はどうやってエステル達の場所を突き止めるかだが…」
そこにドアがスライドした。
「あ〜疲れたベットに入って一休みし……た……い?」
川蝉亭を襲ったあの特徴的な甲冑姿の猟兵もどきが入ってきた。
「し、しんに……ムグッ!?」
リィンは素早く男の口を塞ぎ、部屋の奥に引きずり込んだ。
リィン「丁度良い、おい。貴様エステルとアネラスさんが何処に居るか知ってるか?」
リィンは《リヒト》を男の喉元に突きつけて問いただした。