空中都市《アンファング》
久々に《アンファング》に戻って来た俺達は早々とその足で医療室に向かいリーシャの健康状態を調べた結果…
フローラ「どこも異常は見当たりませんね、これなら直ぐに治療に移れます」
それは何より…しかしまぁ解っていた筈だけど古代ゼムリア文明はとんでもないな…日本の医療施設に引けをとらないどころか上回ってるし、でもこの医療設備はそれでもリベル=アークより旧式だというから恐れ入る…
リィン「それで、どういう風に治療していく?」
フローラ「そうですね…両目は完全に機能していないので彼女から採取した細胞を用いて両目を生成して、それに合わせて視神経も彼女に適応する物を移植しようと思います」
フローラ「左手の方もいくつか神経が切れたままなので繋ぎ合わせます。リハビリをすれば武器を持てる位の握力も直ぐに回復します」
リィン「そうか…それで手術は何時から始める?」
フローラ「採取した細胞からの生成してからの手術ですから…二時間後ですね」
リィン「判った。じゃあ俺はリーシャさんにそう伝えて来る」
フローラ「承知しました。では私は早速準備に入らせて頂きます」
リーシャの病室の前に立った俺はノックをした
リィン「リーシャさん?入っていいですか?」
リーシャ「リィンさん?はい、大丈夫です。入って下さい」
リィン「失礼します…」
病室に入るとリーシャが上半身だけベットから起き上がりリィンを出迎えた。
リィン「手術、決まりましたよ。二時間後に始めるとフローラが言ってました」
リーシャ「そうですか…本当に感謝しても感謝しきれません。ですが…その、本当に治療費は払わなくても良いのですか?私はそれなりに貯蓄してますし、高くても分割払いでもちゃんと払いますが…」
まぁ、治療費を払わなくても良いと言われても落ち着かないとは思う…でも
リィン「気にするな…とは言っても気になるとは思いますが俺達は謝礼欲しさに貴女を治す訳じゃあありません。だから治療費なんて受け取れません」
リーシャ「……判りました。では貴方がたが困った事が起きたら力を貸すというのはどうでしょう?せめてそのぐらいはさせてください!」
義理堅いなぁ…
リィン「…判りました。もし俺達が困る事がありましたら頼らせてもらいます」
リーシャ「えぇ、その時には存分に頼って欲しいです」
リィン「では二時間後に…?」
リーシャ「あ、待ってください!」
病室を出ようと背を向けようとしたらリーシャが腕を掴んできた…?
リーシャ「あの…もうちょっとお話ししませんか?二時間もベットで待ってるのは退屈で…///////」
まぁ確かに二時間も話し相手もいないと退屈だよな…
リィン「えっと…構いませんが」
リーシャ「良かった…あ、思い出しましたが私がアンセル新道で魔獣に襲われかけた時にリィンさん黑神一刀流と言ってましたがリィンさんはあのSSS級高位猟兵団《斑鳩》の関係者ですか?」
リィン「いえ、違います。俺は元々〘八葉〙を学んでいました。黑神一刀流は老師の紹介でシズナさんと手合わせしただけです」
リーシャ「シズナって…シズナ・レム・ミスルギですか!?」
リィン「そうですが…知り合いですか?」
リーシャは頭を振った
リーシャ「いいえ、直接の面識は無いです。唯《斑鳩》にいずれ確かな地位を築くだろうと云われる程の実力者と闇でも噂されています」
あ〜あの人やっぱりとんでもない人だわ…まぁ丁度良い俺も聞きたい事あるし
リィン「俺からも質問良いですか?」
リーシャ「…私の正体についてですね?………今更ここまでしてもらっておいて誤魔化す不義理はしません、お話しします。私の正体を…」
東方最凶の凶手《銀》それが私の本当の正体です…その歴史は古く百年に渡りカルバートの歴史の闇に存在していました。
リィンさんはご存じですか?カルバートの民主革命の時も《銀》が関わっていました…勿論《銀》は不老不死なんかじゃあありません。代々の《銀》は親から子…そしてその子供が親になり、その自分の子を《銀》の後継にしていました…私も例に洩れず父の下で暗器や符術の修練と鍛錬を積みつつ、日曜学校に通って人と接する術を学んでいました。
《銀》としての膨大な知識と記憶を受け継ぎつつ、いつ《銀》の座を継いでもいいように備えていたのです。
そしてそんな父も半年前に不治の病に倒れて床に伏せりました…そして父はこう言ったんです。
『 自 分 を 殺 し て 《銀》 を 継 げ 』
私はそれを実行出来ませんでした。恐怖したんです…《銀》になることや父を失う恐怖ではないのです。私はこう思ったのです…
〘私 は 《銀》 と し て 出 来 損 な い だ っ た の で は な い か と …〙
死にゆく父を最後に失望させたのではないか…そんな恐怖を抱いてしまったんです。
そして悩み父の命を実行出来ない私に父は苦笑しながらこう言ったんです。
「それもまたお前だ・・・お前の《銀》はお前が決めるがいい。」
そう言い遺しこの世を去りました。父の最後の言葉は判りませんでしたがそれでも父の持っていた仕事やコネクションを引き継ぎました…その結果がこの有様ですが…やはり私は出来そ「違うと思いますよ?」え…?
リィン「リーシャさんのお父さんが多分言いたかったのは自分の《銀》にはなるなと言いたかったのでは?」
リーシャ「それはどういう…?」
リィン「俺の想像ですが代々の《銀》が必ずしも先代を全て踏襲しては居ないのではないのか?という事です。リーシャさんのお父さんも先代から学び、どれが自分に適してどれが適してないか選択して自分だけの《銀》に近づけるか…そうやっていたと思います」
リィン「お前の《銀》はお前が決めるがいい…それは貴女が父の真似た《銀》ではなく貴女の…貴女だけが出来る《銀》を自分で探しなさい…そう言いたかったのでは?」
リーシャ「私の…私だけが出来る《銀》…?」
コンコン…
フローラ「リィン様、リーシャさんの手術の準備が出来ました。手術室までお越し下さい。」
リィン「分かった、すぐ行く!…リーシャさん準備出来たので行きましょう」
リーシャ「はい…リィンさん」
リィン「はい?」
リーシャ「ありがとうございます。話しを聞いてくれて…なんとなく父の言いたかった事が解った様な気がします」
リィン「お役に立ったてたなら良かったですよ。さぁ手術室まで押して行きますので車椅子にどうぞ」
リーシャ「えぇ…(お父さん…見ててください私だけの《銀》をきっと見つけてみせます。だから、どうか安らかに…)