閃の軌跡〜変わる物語〜   作:名無し名人

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第一話

七耀暦1192年

 

リィン「う・・・うぅん、ここは?そうか俺は確か逃げようとして斜面に気付かずに転げ落ちて・・・!」

 

思い出した俺は周りを見渡し背後に転げ落ちたであろう斜面を見て息をついた。

 

リィン「怪我一つ無くて良かった・・・と言いたいがまずいな、完全にはぐれてしまった。父さんが探しに来て・・・いや無理か」

 

父ギリアス・オズボーンはそもそも子どものリィンを避難させるためにユミルに来たのであって、自分が探しに行けばそれは敵も連れて来ることと同意義である。オズボーンが出来ることは敵を自分に引きつけリィンが逃げる時間を稼ぐしかない。

 

リィン「ユミルから救援が来る可能性もある・・・とはいえこの吹雪では捜索なんて無理だ。二次遭難の危険性が高い・・・せめて吹雪さえ止んでくれれば」

 

俺は捜索隊が見つける可能性低い事を否が応でも理解してしまい、ため息一つ吐いて決断を下す。

 

リィン「止むおえない。遭難して悪戯に山の中を歩くのは歩くのは下策だが・・・吹雪から身を守るためには洞窟か何か探さないとそれに・・・」

 

リィンは脇に比較的大きい川が流れているのを見て呟いた。

 

リィン「川が流れる方向に歩けば最低でも麓に降りれるかも知れないしな?女神《エイドス》に祈るばかりだ。」

 

不安を押し込んでリィンは川沿いに歩き始めていった・・・

 

リィン「それにしても本当に子供のリィンなんだなぁ、理解してはいたつもりだけど・・・それにしても」

 

歩いて少し余裕ができたリィンはそんな事を呟きながら続けた

 

リィン「俺の、日本人の俺の名前が思い出せん・・・生まれ故郷や学校、同級生の名前は覚えているのに何故自分の名前だけ・・・?そうして俺が寝る前にやっていたゲームが、閃の軌跡・・・」

 

俺は歩きながら首を傾げこうなった原因を考えていた・・・

 

リィン「原因って言ったって普通にバイトから帰ってご飯食べて風呂入ってゲームして就寝・・・どこにも不自然なところなんてない、のにな?夢だとしたら物凄くリアリティがある夢・・ではあるな、寒さや痛みを感じてなければ」

 

さっきから寒さや痛みを感じているから夢の線は早々に消えた、謎が深まるだけだった

 

リィン「止めよう、何故リィンになったかなんて考えるのは今はどうしようもない。問題はさっきの襲撃者達だ原作では自宅以外での襲撃描写は無かったはず・・いやそうとも限らないか?」

 

あれはあくまでゲームの中の話であって此処は現実である。実際は描写されていないだけで追跡者はいたのではないのか?そうして追撃を振り切ったのが原作であったのではいのか?寧ろそう考えるのが自然な気がリィンはしてきた。

 

リィン「襲撃理由が確か父さんが百日戦役に反対していて其れを良く思わない正規軍の貴族系将校が猟兵を雇って襲わせたんだよな、そして襲うよう依頼した貴族系将校というのがアランドール、レクター・アランドールの父親」

 

ゲームの中のヘラヘラしている男の顔を思い出しながら頭を振った

 

リィン「何を馬鹿馬鹿しい。自宅を襲ったのとさっきの連中は別々かもしれないじゃないか、貴族系将校なんて沢山いるし考えるのはきりがない。」

 

そうしてふたたび黙々とと歩き続ける、幸い足場が良いため転ぶことはなさそうだ。

 

リィン「うぅ、寒い・いい加減凌げる場所を見つけないと本当に命に関わる。・・・・あれは?」

 

リィンが見つけたのは川沿いから少し離れたところに大人が入れる位の洞窟であった。

 

リィン「良かった、これで少なくとも寒さはしのげる。っと冬眠している動物が居るかも知れないな、一応何か武器になるのは・・・」

 

あたりを見回すが石と流木しか見つからない、その中で手頃な尖ってる木の枝を拾った

 

リィン「無いよりマシだな、それに武術の類なんて今はしていないしこれがベストかもな?それじゃあ入ってみるか」

 

???「グルルル〜」

 

リィン「結構深いな・・・あんまり奥に行く必要無いし引き返そ・・あれは?ぼんやりとだかなにか光っている?行ってみよう!」

 

光の元に着いた時そこにあったのは苔生していたが明らかに機械であった。円形状の物体の横には操作パネルらしきものがあった。しいて言うとSF映画に出てくる転送装置に近かった。

 

リィン「これは・・・?少なくとも誰かが利用していたんだろうが、放棄されたのかここにあるのを忘れたのか・・機械に疎いがこれは一年二年でこうはならならないな、それにしてもよく稼働してるなコレいつ壊れても可笑しくない状態だ」

 

よく見てみると外装が剥がれてるところもあり中の配線が丸見えな状態であり動いている事自体が奇跡だった。

 

リィン「結社が置いたのか?でも彼等は独自の転送技術があるからこんな機械を置く必要なんてないし第一こんなところに設置する理由がない、では誰が?」

 

静寂な洞窟に微かな機械音が響いていた・・・

 

リィン「考えてもしょうがない、無事町なり何なり辿り着いたらこの機械のことも・・・」

 

???「グルルル〜!」

 

リィン「!?まさか、最悪じゃないか・・」

 

獣の唸り声に驚いた俺が見たのはオオカミタイプの魔獣が五匹、獲物を確実に仕留める気なのだろう此方にジリジリと近付いて来る。

 

魔獣「ガァウ!!」

 

リィン「俺を食ったって腹の足しにもならんだろうに!!!」

魔獣「ギャン!?」

 

我慢出来なくなった一匹が俺の喉に噛みつこうと飛び掛かって来たのをかろうじて避けて持っていた木の棒をフルスイングしながらヤツの側頭部に叩き付けたら以外にも綺麗に入り沈んで動かなくなった。獲物だと思っていた相手の予想外の反撃に魔獣達は警戒しながら此方を威嚇している。

 

リィン「お願いだから諦めてくれよ・・・」

 

一匹倒したくらいで戦えると思うほどうぬぼれないが相手が怯む程度は期待したかったが・・・

 

リィン「まだ仲間がいるのか・・・!」

 

更に五匹現れてしまい思わず舌打ちが出てしまった。相手は計九匹、後ろは行き止まり唯一の出口は魔獣達が押さえている。強行突破しようにも一匹倒せれば御の字その間に他の魔獣にやられるのは目に見えている。

 

リィン「くそ!こんなところで終わるのか?いやだ!リベールを見てみたい!カルバートにも行ってみたい!世界を見て周りたい!!!!」

 

ピ・・ピピ、テンソウソウチキドウ、・・・・ヘノイドウジュンビカンリョウ、クリカエシマス

 

リィン「え?起動した!?それに何処に移動するって?!」

 

何の偶然か転送装置が起動たが何処に移動するかは分からない、分からないがこのままではやられるのを待つばかり、なら・・・

 

リィン「賭けて見る価値は有る!タイミングを測って飛び込もう。」

 

俺は覚悟を決めてカウントダウンを始める

 

「3( ドライ)・・・2 ( ツヴァイ)1 ( アインス)・・・0 ( ヌル)!!」

 

俺が走り出したのと同時に奴等も駆け出してきた。俺は持っていた木の棒を奴等の先頭に投げた、若干怯みはしたがそれだけで直ぐに立直して追いかけて来る。しかも休み無しでここまで歩いてきたから体力はほとんど残っていなかった。

 

「もう少し、もう少しで・・ゔぁ?」

 

脚がもつれバランスを崩しかけた俺を奴等は距離を詰め飛び掛って来る・・その時

 

ーイキノコリタイカ?ー

そんな《声》が頭に響いたが問答も惜しかったから生き残りたいと願った。

 

ーイイダロウ、スコシチカラヲカシテヤルー

 

リィン?「グ・ヴォォォォォォォ!!?シャァァァァ!!」

 

リィンは胸の奥から、言いようのない熱さを感じ半ば自分の意志を失いながら物凄いスピードで魔獣達を躱していく、そして目的の装置にたどり着きそのまま躊躇いもなく装置の上に乗り転送した。その後魔獣達も飛び込もうとしたが遂に装置が壊れ素通りするだけに終わり洞窟には残された魔獣達と壊れ煙を吐く装置しか残っていなかった・・・

 

ー???ー

 

「ハァハァ、着いたか・・・此処は?」

 

命からがら逃げ延びる事に成功した俺は転送装置を降り装置を置いてあった部屋からでると外は少なくともユミルではない見たこともない建築様式の家が並んでいた。多分住宅街か何かだと思うがところどころ崩れていて人が住んでいる気配はない、辺りを探索してみたかったが・・・

 

リィン「流石に疲れた・・・明日にしよう。色々あり過ぎてもうベットに入りたい」

 

俺は近くの家に入りベットらしき寝具に身体をあずける。

 

リィン(本当に色々あり過ぎた・・・リィンになってユミルに行くはずが襲われて洞窟に入ったら妙な機械を見つけて更に魔獣に襲われて、こんなわからない場所に来てしまった・・・これからどうなるんだろう?もう本来の物語に戻れないのかな?駄目だもう眠いおやすみなさい)

 

翌日

 

リィン「ん〜よく寝た、あとは・・・探索のついでに食料も探さないと。しかし此処はなんで誰もいなくなったんだ?」

 

朝になり明るくなったので見回すとやはり住宅は崩れ人の気配が感じられない。見かけるのは巨大な雲が横を通り過ぎる位だった・・・・

 

リィン「って待て待て!?なんで雲が街の横を通り過ぎるんだよ!・・・まさか!?」

 

俺は嫌な予感を感じ走り出した。兎に角高台か街の端まで行けば全て分かる・・・・

 

リィン「雲が街に掛かるとしらこの街が山の上にできた山岳都市か、あるいは・・・・!」

 

そうして街の端まで来た俺の目に飛び込んできたのは・・・

 

リィン「は・はは、やっぱり・・・此処は《空中都市》かよぉぉぉぉ!」

 

広大な海が広がるその上に浮かぶ《空中都市》に俺の絶叫だけがただ響いていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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