俺達は西ボース街道を出てクローネ山道の関所に到着し中に入った。詰めている兵士に声を掛けた
「ルーアンに行くのかい?」
リィン「えぇ、それでルーアン側の扉を開けて欲しいのですが?」
「開けるのは大丈夫だけどもうすぐ日暮れだよ。今晩は此処に泊まって行きなさい」
確かに此処に来た時点で陽は落ちてたからこれ以上は無理だろうな…
リィン「そうですね、部屋ってありますか?」
「有るけど男女別に出来る程の数は無いから申し訳無いけど、其処の美人のメイドさんと同室になっちゃうんだけど?」
兵士はチラッとフローラの方を見て問いかけてきた。
フローラ「御心配なく、同室でも私も問題ありません」
「ん、判ったよ。じゃあ部屋に案内するから着いてきて」
兵士の先導で今晩泊まる部屋に案内された。部屋はベットが三つに机と暖炉があるだけだ…
「見ての通りこれだけだから、食事とかはどうする?簡単な物なら出せるけど?」
リィン「いえ、此処に来る途中でボースで買った弁当を食べましたので大丈夫です」
「そう?じゃあ自分はこれで、なにか有ったら呼んでね」
案内してくれた兵士はそう言って持ち場に戻って行った…
リィン「…寝るか?」
フローラ「そうですね…明日も早いですし…リィン様はどちら側のベットをお使いになりますか?」
リィン「じゃあ…窓側のベットを使わせてもらおうかな?」
フローラ「では私はドア側の方を使わせてもらいます。おやすみなさいませリィン様」
リィン「あぁお休み、フローラ…」
ー これは夢だとすぐに分かった…目の前に帝都ヘイムダル、共和国首都イーディス、そしてニ大国にはさまれた自治州クロスベルの映像が流れている。そこに映る人々の何気ない《日常》…それが何時までも続くかとおもった…だが次の瞬間、それぞれの都市が炎に包まれ人々は倒れていた。まるで恐竜の様な《獣》に喰い殺されて…! ー
リィン「ーッ!?…フゥ、夢…か?だがあれは一体…?」
単純に考えれば戦争が原因なんだろう、だがあれは…
リィン「ヘイムダルやイーディスだけじゃなくクロスベル迄…?しかも互いの民が明らかに人によって殺されたのではなく大型の…恐竜?みたいな獣に喰い殺された…?もしこれが現実に起こるとしたら…だがそんな生物はこの世界には居ない筈?」
…明日フローラに相談してみるか…
ー 翌日 ー
「よく眠れたかい?それじゃあルーアン側に入る手続きをしてね…ハイこれでOKだよ。じゃあ開けるね、良い旅を」
関所を後にした俺達は少し離れた処で昨日の夢の内容をフローラに話した…
フローラ「爬虫類の《獣》が人を喰い殺していたですか…」
リィン「我ながら馬鹿げてると思うけどね。所詮夢だから有り得ないと思ったんだけど…ね?」
フローラ「…リィン様少し長い話しになりますが聞いて頂けますか?」
リィン「うん?まだまだ目的地まで着くのに時間が掛かるし大丈夫だよ。それで話しって?」
フローラ「はい…これはまだ私が建造中に古代ゼムリアの学者達の論文データを閲覧した時に興味深い論文がありました」
リィン「論文?」
フローラ「えぇ、それに拠ると古代ゼムリア文明が興る遥か昔…途方もない時代に栄華を誇っていた種が居ました。その種は文明こそ築いてはいませんでしたが、世界中に広く生息していました。それは爬虫類の一種でかなり大型の種もいたそうです。学者達はそれ等の総称を《古代種》と呼んでいました」
リィン「…そんな話し聞いた事ないけど?」
フローラ「現代の人間にはまだ知らないのも無理はないでしょう。当時の人間も化石という形で初めて知った位ですし、その論文も出たばかりで研究も始まったばかりでしたから」
リィン「俺の夢に出てきたのがそれだと?だとしても、その《古代種》とやらはもう絶滅した筈だろう?」
フローラ「えぇ、確かに既に滅んだ種ですが、もう一つ気になる情報がありまして」
リィン「気になる情報?」
フローラ「リィン様はD∴G教団をご存じでしょうか?」
リィン「空の女神(エイドス)を否定し、子供を攫い人体実験を繰り返し多くの生命を奪った外道カルト集団だろう?それがなんの関係が?」
フローラ「では錬金術は?」
リィン「詳しくは知らないけど物質を違う物質に変えるっていう位にしか」
フローラ「ハッキングしたD∴G教団のコンピューターには彼等の技術の根幹は錬金術に成り立っていた様でその錬金術は物質だけではなく《魂の錬成》つまり生命を創り出す事をやっていたそうです。そしてそれは骨からでも生前の情報を読み取る事に成功したと…」
…おい、まさか…
リィン「D∴G教団の残党かその技術を手にした何者かが《古代種》を甦らせた可能性がある…と?」