エステル「大きいわね〜」
途中で合流したエステル達とジェニス王立学園の門の前でエステルは間の抜けた顔をしながら呟いた。
ヨシュア「それはそうでしょ、リベール随一の伝統ある学校だし授業を受ける生徒の数も日曜学校の比じゃないよ」
エステル「へ〜、何か想像できないや子供の頃の日曜学校の同世代で一緒に授業受けたのは私やヨシュアを含めた四人だったけど…あ、でもリィンも途中で加わったから五人か…」
リィン「エステルは神父様やシスターの授業受けてる時良く居眠りしてたよね〜」
ヨシュア「そうそう、それで起こすのは僕かリィンの役目だったね。当時手伝いで授業の手伝いをしてたフローラさんの授業だけはしっかり聞いてたけど」
エステル「ゔ!だってしょうが無いじゃない!フローラさんの授業中に眠ったらチョークが飛んでくるのよ!?居眠りなんてしようがないじゃない」
当時を懐かしく振り返るがエステルには苦い思い出もあるが…
フローラ「居眠りしないのが普通ではないかと…それにチョークだってそんな痛く無かった筈ですよ?」
エステル「いや、痛くないとかそういう問題ではなくて…」
フローラ「?」
ヨシュア「ハハ、でもフローラさん教え方上手でしたよね。神父様達何時も誉めていましたし、最近までロレントの日曜学校の講師引き受けてましたし…何処でそんな知識を学んでいたのですか?」
フローラ「メイドですから」
エステル「いや、答えになってませんから」
クローゼ「皆、来てくれたんですね」
校門前でそんな事を話しているとクローゼが駆け寄って来た
エステル「やっほー!クローゼ!依頼見て来たわ」
ヨシュア「それでどうすれば良いのかな?」
クローゼ「ちょっと待ってください、今門を開けます」
クローゼは門の閂を外して俺達を招き入れた。
クローゼ「改めて依頼受けてありがとうございます。リィン達もわざわざありがとう」
リィン「礼を言われる程じゃないよ。で、早速手伝えば良いのかな?」
クローゼ「ううん、まず最初にコリンズ学園長に挨拶したいからついて来て」
クローゼが歩き出したので俺達もついて行く
エステル「静かね〜」
クローゼ「今は授業中ですから、ここが本館で普段の授業はこっちでします。私は客人を案内するという事で授業を抜け出しましたけど…あ、学園長室はこっちです」
クローゼが学園長室と書かれた部屋の前で止まった。
クローゼ「学園長、クローゼです。学園祭の手伝いをしてくれる遊撃士の方をお連れしました」
コリンズ学園長「入りなさい」
クローゼ「失礼します」
俺達はクローゼの後に続いて入った
コリンズ学園長「ようこそ当学園に、私はこの学園の長をしているコリンズという者じゃ」
エステル「準遊撃士のエステル・ブライトです」
ヨシュア「同じく準遊撃士のヨシュア・ブライトです」
コリンズ学園長「うむ、この度は当学園の依頼を受けて頂き感謝申し上げる」
コリンズ学園長が頭を下げて感謝の意を伝えてきた
エステル「いえ、民間人の手助けするのが遊撃士の役目ですから」
コリンズ学園長「ふむ…君も久しぶりじゃな、確か…リィン・アイスフェルト君とフローラ・クリスト君じゃったかな?クローゼ君から聞いたよ、君達も手伝ってくれるとね」
リィン「ええ、お久しぶりです」
エステル「へ?リィン知り合いなの?」
リィン「知り合いと呼べる程親しくは無いけどね。会うのはこれで二回目だし」
コリンズ学園長「ホッホッホ、当学園の生徒を救ってくれた恩人を閉ざす門などありはせんよ。それより学園祭を手伝ってくれるなら市内との往復が面倒じゃな……ふむ、どうだね学園祭までこの学園に寝泊まりして授業も受けてみないかね?」
エステル「へ…?」
ヨシュア「良いんですか?」
コリンズ学園長「何、いちいち学園とルーアンを行き来するのは効率悪いからの、それなら学園の寮で寝泊まりして手伝って貰えば早いからのう。儂から他の教職員に伝えておこう…あぁ無論リィン君とフローラ君も此処で寝泊まりして貰うのでな。クローゼ君、ジル君達にも紹介してきなさい。今頃は生徒会室に居る筈だよ」
「学園長ありがとう御座います。では…失礼します。エステルさん達こっちです」
クローゼを先頭に学園長室を出た俺達は再び外に出て向かったのは二階建ての建物だ。
クローゼ「此処の建物はクラブハウスです。正確には一階が学生食堂で二階がクラブハウスですね。生徒会室も二階に入ってるんですよ」
エステル「ねぇクローゼ?本館とクラブハウスの間にある裏道は何処に繋がってるの?」
エステルの指差す方へ目を向けると確かに裏道があった。確かあそこは…?
クローゼ「あぁ、あそこは『旧校舎』に続く道です。今の校舎が建てられてからずっと使われていないので今は誰も立ち入りませんよ」
エステル「ふぅん?」
クローゼ「とりあえず入りましょう」
扉を開けて食堂脇の階段を登り二階のクラブハウスの部室を通り過ぎると生徒会室と書かれた部屋に着いてノックをした。
クローゼ「ジル?私よ遊撃士の方達と別の助っ人も連れて来たわ」
「クローゼ?どうぞ〜鍵は開いてるよ〜」
ジル「クローゼ、案内御苦労様その二人が遊撃士ね…ってリィンも一緒なのね」
ハンス「話しは聞いてたけど正直助かったよ」
エステル「えっと…?」
ヨシュア「彼等とも知り合いなのかい?リィン」
リィン「さっき学園長が言ってただろう。『当学園の生徒を救った』って彼女らの事だよ」
ジル「因みにそこに居るクローゼも私達と一緒に救われてリィンに抱き着いたんだよ〜」
クローゼ「ジル!!///////」
ヨシュア「あの…そろそろ自己紹介初めない?」
ジル「おっと、そうだった…はじめまして私はジェニス王立学園生徒会長を務めるジル・リードナーです。よろしくお願いします」
「同じく生徒会副会長のハンスだ。話しはクローゼから聞いてるぜ宜しくな」
エステル「あ、準遊撃士のエステル・ブライトです」
ヨシュア「準遊撃士のヨシュア・ブライトです。それでどんな手伝いをすれば?」
ジル「うん、まずは当日までは飾り付けやらあるけど…生徒会としては生徒会主催の演劇に出て欲しいんだ」
エステル「演劇?」
ジル「そ、『白き花のマドリガル』っていう演目でね。知ってる?」
ヨシュア「確か…百年前ぐらいの実話を元にした話だっけ?詳しくは知らないけど…」
ハンス「そう、この話はまだこの国が貴族制を敷いていた時代の話だ。簡単に言うと保守的な貴族と力を付けて台頭してきた平民の対立、そして王家の姫セシリアを巡るそれぞれの勢力に属する二人の騎士の恋と友情の話なんだ」
エステル「へぇ〜本格的だねーでも、何が問題なの?お姫さま役ならクローゼかジルさんで決まりじゃないの?」
クローゼ「あはは…それはですね」
ジル「呼び捨てで良いわよ。それでね今回は男女逆転で行こうと思ってたの」
フローラ「男女が逆?つまり姫役やメイド役は…」
ハンス「そうです。男子が女装して役をやるんですよ…」
リィン「それは…保護者や教師達が文句言わないか?」
ジル「大丈夫よ。性別で役が決まるのは差別だとかなんとか言って説得したから、で問題が紅の騎士ユリウス役とセシリア姫役なのユリウスは蒼の騎士オスカーと剣での決闘をするからリアリティを出す為に剣の扱いに慣れた人が良いんだけど…」
クローゼ「オスカー役は私が出ることになってます。この学校で剣の扱いに慣れた女子が私以外に居なくて…」
フローラ「なら私も駄目ですね。剣も扱えますが生徒の演劇にメイドが出る訳には行かないでしょうし、私は少し背が…」
エステル「あ、それなら私がユリウス役やろうか?剣の扱いも慣れてるし背格好もクローゼと変わらないと思うから衣装も着られると思う」
ジル「それならエステルに頼むとして…セシリア姫役は男子全て見苦しいのよね、特にハンスは悪夢だったわ…」
ハンス「悪かったな見苦しくて、でもどうする?この演劇の中心だぞ…」
エステル「ならヨシュアならどうかな?」
『『『『『『へ?』』』』』』
「ほらヨシュアは男子の割には細身だし顔もそこまで男っぽいのが少ないから行けるんじゃないかな?」
ジル「ふむ…」
クローゼ「確かに…セシリア姫のイメージにピッタリかも…」
ハンス「仮縫いの衣装次第だけど然程変更はしなくてもいいかもな…」
「ち、ちょっとエステル!?それを言うならリィンだって…って何時の間に部屋の隅に!?」
フローラと一緒に壁際まで退避を済ませた俺は言った
リィン「済まない、無理」
ヨシュア「即答!?で、でもリィンだって背丈は似てるし…」
ジル「残念だけど私達のイメージするセシリア姫は丁度ヨシュア君みたいな子なのよ」
ジルがヨシュアの右肩に手を置いて言った
エステル「あははは…ごめんヨシュア、でもこれも遊撃士のお仕事だと思えば…」
エステルが左肩にてを置いて言った
ヨシュア「う…あぁもう解ったよ!演るよ。演れば良いんでしょ!?」
ジル「いや~悪いね、でもお陰で良い劇が出来そうかも…ヨシュア君の尊い犠牲で」
ヨシュア「そうでなきゃ僕は心の底から絶望するよ…」
エステル「あはは、でもリィン達はどうするの?劇の役はもう無いんでしょ?」
クローゼ「あ、それは大丈夫だと思います。リィン達には照明や受付とかに廻って貰います。生徒会のメンバーだけで回すのはきついですから、リィン事後承諾で悪いけど構わないかしら?」
リィン「うん、問題ないよ」
ジル「よ〜し、それじゃ学園祭の準備をみんなで張り切っていこー!」
エステル「オー!」
クローゼ「あ、ジル一つ片付けて欲しい書類あるの」
ジル「へ?何それ?そんなの有ったっけ?」
クローゼ「エステルさん達四人分の学園の長期宿泊許可書…サインと判をお願い」
その後宿泊許可証を貰った俺達は男子寮と女子寮それそれ別れて泊まる事になった。
ハンス「此処が俺の部屋だ今丁度二人分ベッドが空いてるから好きに使ってくれ」
ヨシュア「ありがとうハンス、はぁ今日は疲れたよ…まさか女装する羽目になるとは…気が滅入るよ」
ハンス「ハハ、まぁご愁傷さまだな…だけど本当の話学園の男子があの衣装着せられた時女子からのブーイングが凄くてな、どうしようと思っていた時にお前が現れたからマジ空の女神(エイドス)に感謝しちまったぜ」
ヨシュア「全然嬉しく無い…」
リィン「それにしてもフローラは仕方無いけど三人分の教科書を良く用意出来たな?」
ハンス「まぁ、年に何回か紛失する生徒が居るからなその予備を廻しただけだ。それよりもっと有意義な話ししないか?」
ヨシュア「有意義な話?何のさ?」
ハンス「おう!ズバリ『気になる女の子がいるか?』話だ!」
リィン「……」
ヨシュア「……」
ヨシュア「寝ようか?」
リィン「そうだね」
ハンス「だあぁぁ〜!ちょっと待てお前等ノリ悪過ぎじゃねぇか!?」
ヨシュア「いや…それじゃあハンスはどうなの?言い出しっぺ何だから…」
ハンス「自慢じゃねぇが居ない!」
リィン「本当に自慢することじゃないね…」
ハンス「だってよ、出会いが無いんだぜ!?学園には可愛い娘は居るけど既に彼氏持ちとかだぜ!?畜生羨ましいじゃねぇか!何で俺に出会いがないんだ!」
ヨシュア「知らないよそんなの…第一身近な女子といえばジルやクローゼが居るだろ?」
ハンス「ジルはどちらかというと腐れ縁で今更異性って見れねぇよ。クローゼは…遠慮しとく、消されたく無いし、って俺が言ったんだからお前等も言えよう」
リィン「…はぁ、興味が無い訳じゃないさ…只俺の場合は目的があるからな…恋愛をする暇がないというか…」
ハンス「何だそれ?修業か?」
リィン「それもある」
ハンス「何だよつまんねぇな〜、ヨシュアはどうなんだよ?」
ヨシュア「僕も似たりよったりかな?まだエステルと一緒でまだまだ新米だしね、それに……ちょっと僕にはあの輝きは眩しいからね…」
ハンス「???」
リィン「……」
女子side
エステル「ジル、クローゼ、シャワー浴びに行かない?フローラさんも誘って」
ジル「あ〜ちょっと先に行っててエステル、今クローゼと学園祭の事で話があるから」
エステル「うん?まだ何かあるの?手伝える事有れば手伝うよ?」
クローゼ「いえ、書類をチェックするだけなのでエステルさんは先に行ってて下さい。大した量ではないので」
エステル「そう?じゃあ御言葉に甘えるねー!」
ジル「やれやれ、明るい子ねー」
クローゼ「クスクス、それがエステルさんの長所かも知れないわね。他の子達とも直ぐに打ち解けたし」
ジル「ま、そうかもねところでクローゼ少し聞きたい事があるけど」
クローゼ「何?なにか不備でもあった?」
ジル「いや、そうじゃ無くてヨシュアがセシリア姫役演るじゃない?」
クローゼ「そうね、まさかあそこまで似合う人が居るとは思わなかったわね」
ジル「それは同感、でクローゼがオスカー役演るじゃない?」
クローゼ「うん?」
ジル「で、ラストシーンでオスカーとセシリア姫のあの《シーン》の事は覚えてる?」
クローゼ「………」
ジル「どうするの?一応《した振り》だけどアンタは……」
クローゼ「シーンの変更は無いわ、ジルも解っているでしょう?」
ジル「それは…そうだけど……クローゼが良いならとやかく言わないわ、でも後悔が無い様にね…シャワー浴びて来るわ」
クローゼ「………リィン………」
ー 同時刻 ー ルーアン市
???「いや〜やっぱルーアンはオルディスに劣らない港湾都市ね〜、魚が美味いわ。でも少し高いのがね〜あのイカの化け物のせいね!」
???「なにを愚痴ってるの《セリーヌ》猫の姿で喋るのは控えてとあれほど…」
セリーヌ「ようやく来たわね《エマ》私がそんなヘマしないわよ。それと…お久しぶりね、いやこの世界でははじめましてかしら?
《アリサ・ラインフォルト》何時《こっち》に?」
アリサ「どっちでも良いわ、それと《こっち》に来たのは六年前ね。聞かせてリィンの様子を」
次回クローゼが…!