レン「♫〜」
レンは俺の手を握りながら楽しげに鼻唄を歌ってる
リィン「楽しそうだな」
レン「えぇ、とっても流石はリベールが誇る名門校ね」
リィン「レンは学校には…?」
レン「……行ってないわ…行く必要無いもの、学ぶ事なんてレンには無いわ、だってレンは天才なんだから…」
レンはそう言うがその目には憧れと諦めの二つの混在した感情が読み取れた
リィン「なら通えば良いさ」
レン「あのねぇ…レンの話聞いてた?レンは…」
リィン「勉強だけが学校に行く理由じゃないよ」
レン「……どういう意味かしら?」
呆れた声で言うのを遮り持論を言うと怪訝な顔をした
リィン「学校は友を作る場でもあるという事さ、同じクラスで同じ席で勉強して遊び、一緒にご飯を食べる。それはかけがえのない大切な時間だよ」
この先レンは生涯の友のティータと出会うだろう、だがそれ以外にも得難い友を増やすのはこの娘にとっても悪い事じゃない筈だ
レン「……秘密結社の幹部が学園に通えると思ってるの?」
リィン「君の盟主から執行者にはあらゆる自由が認められていると聞いたよ。それを使って此処に通えば良いさ」
レン「……」
リィン「君はまだ若い、選択肢を増やす事は何ら問題ないよ」
レン「選択肢?何の?」
レンは再び怪訝な顔をして問う
リィン「例えば君が結社を辞めて普通の女の子になる」
レン「あり得ないわ」
即座に否定してきた、だけど…
リィン「例えばの話さ、結社だけが生きる道ではないし、まだ君の知らない知識、結社だけに居たのでは得られない物も在るかもしれないよ?」
レン「…結社以外でそんな事…」
リィン「人間は進歩するものだよ。十年前《百日戦役》で船が空を飛ぶなんて誰が想像出来た?これから先技術の進歩は目まぐるしくなる。その数だけ新しい知識が生まれる、何時までも結社が先行しているとは限らない」
リィンはレンの頭を撫でながら言った
レン「…あっ…」
リィン「此処じゃなくてもカルバートのアラミス高等学校という選択肢もある。何れにしても君は学ぶ権利はある、検討の価値は有ると俺は思うな」
レン「……興味湧いたらパンフレット取り寄せてみるわ…」
リィン「今はそれで良いさ」
レン「ところで…何時までレンの頭撫でてるのかしら…?」
レンはジト目をしてリィンを見た
リィン「おっと、済まない」
撫でる手を退けるが心無しかレンの顔が赤い…
レン「全く…レンはレディなのよ?子供扱いしないで頂戴…」
リィン「レディならもう少し優雅にならないとね」
レン「む…言ったわね。レンがお兄さん位の歳になったら絶対素敵な女性になってるんだから!」
リィン「期待しないで待ってるよ…っと着いたよ。ここが史劇をする講堂だよ」
丁度良く人が集まり出して来たな。レンは…講堂を見つめていた
リィン「…ヨシュアに会っていくかい?」
レン「…フフフ、それはそれで面白そうかも知れないけど今回は観客席でヨシュアの晴れ舞台(笑)を鑑賞するわ」
リィン「…至って本人は真面目に演じてるから笑わないでやって?」
レン「努力はするわ、あ!そうそう、案内してくれたお礼にこれ受け取って」
レンは茶色い封筒を投げて寄越してきた
リィン「これは?」
レン「お兄さんが今知りたい事が『それ』に入ってるわ。例えば此処の市長さんの事とか…レンには必要無いからあげる」
リィン「…良いのか?」
レン「言ったでしょう?必要無いって、レンが人に渡そうが燃やそうがレンの自由なの、だからお兄さんもそれをどう使おうがお兄さんの勝手なのよ」
そう言う事なら…
リィン「有り難く使わせてもらうよ」
レン「フフフ、どうぞご自由に…じゃあレンは中に入らせて貰うわ、案内ありがとうね。お兄さん」
そう言ってレンは中に入って行った
リィン「…さてとこの封筒は後でエステル達に見せるか…どうやって手に入れたのかと聞かれるなこりゃ」
「あら…?貴方は…?」
どう言い訳するか悩んでいると後ろから声をかけられたので振り向くとテレサ院長等マーシア孤児院の子供達の姿が
リィン「テレサ院長、お久しぶりです」
テレサ院長「あぁ!確かリィン君よね、この前はグラム君を連れ戻してくれてありがとう。この子も反省してね…ほら、クラム君?お兄さんに言うことあるんでしょう?」
テレサ先生に軽く背中を押されクラム君がバツが悪い顔で前に出て来た
クラム「あ…あの、この前はごめんなさい、クローゼ姉ちゃん
や兄ちゃん達に迷惑かけてしまって…」
謝って来たクラム君の頭に手を置き撫でながら言った
リィン「…反省したならもう良いさ、今日は一日学園祭を楽しんでくれ」
クラム「…うん!」
テレサ院長「良かったわね、それでクローゼが言ってた史劇を演じる講堂って此処で良かったのかしら?」
リィン「えぇ、今頃準備してるはずですから是非見ていって下さい」
テレサ院長「そうさせて貰うわね。皆んな入るわよ?」
「は〜い!」
テレサ院長達が講堂に入るのを見送るのと同時にまた別の人が来た、あれは確か…
リィン「えっと、ルーシィさん…でしたよね?」
ルーシィ「あら、貴方確かクローゼの彼氏よね?どうしたの、講堂の入り口に立って?」
リィン「いや、劇の案内をしていたのですけど…あの、首根っこ掴んでるのってもしかして…」
ルーシィ「勿論レクターよ?仕置き終わったからクローゼ達の劇観ようかとおもってね」
リィン「そ、そうですか(汗)」
文字通りボロボロ状態なんだが…生きてるのか、これ?
ルーシィー「あぁ大丈夫よ、この馬鹿はこの程度すぐ回復するわ」
リィン「…左様で」
レクター「…か、勝手に人外扱いにするんじゃねぇ、おっさんなら兎も角俺は善良な一般人…」
あ、復活した…
ルーシィ「寝言は寝てから言いなさい。大体善良な人間が授業さぼって昼寝したり市内のルーレットで遊ぶ訳無いでしょうが」
レクター「失礼な、ちゃんと必要な単位は取ってたぜ。その上で遊んでいたんだぜ」
ルーシィ「あ・ん・た・はその単位を自分で自主退学して棒に振ったんでしょうが!!あの後私達がどんなにあんたの穴埋めに奔走したか…!」
リィン「あ〜お二方?言いたい事は有るでしょうがまずはクローゼ達の劇を観終わってからにしたら…」
ルーシィ「…そうね、劇が終われば時間たっぷりあるしね…ほら!レクター何時までぐったりしてるの?行くわよ!!」
レクター「イテテ!耳引っ張るんじゃねぇよルーシィ!あ、そうだリィンって言ったか?俺からも一つ聞きたいことがあるんだが」
リィン「うん?なんですか?」
レクター「お前ギリアス・オズボーンをどう思ってる?」
リィン「……仰る意味がいまいち判りませんが?」
レクター「何、深く考えなくてもいい、お前さんが感じた事をそのまま言えば良いさ」
リィン「…『焔』ですかね」
レクター「…『焔』?」
リィン「宰相は自身の身ごと灼き尽くす印象を受けました。目的の為なら自分すら焔に包まれることを厭わない…」
レクター「……かも知れねぇな、『焔』が消える時は燃え尽くした後になり最後は何も残らない」
『只今より生徒会主催の《白き花のマドリガル》を開演します。席にお座りになりお待ち下さい』
レクター「と…開演か、悪いな変な質問して…入らせてもらうわ」
リィン「いえ…楽しんでください」
そうしてレクター達は講堂に入って行った…