劇は無事に終わり舞台袖でジルはエステル達を労った
ジル「いや~皆お疲れ様、『白き花のマドリガル』大盛況でお客さんの反応も上々、監督の私が言うのも何だけど最高だったわよ!」
クローゼ「最初は男女逆の配役は笑われてましたけど…途中から真剣に観てくれて良かった」
ヨシュア「うん、そうだねあんな格好をした甲斐があったよ……二度としたくないけど」
ハンス「まぁ、そう言うなよ写真部の連中、お前さんのシーン何枚か写真撮りまくってたぜ。現像したらお前に送るってよ」
ヨシュア「勘弁して…」
ヨシュアはげんなりとした表情で応えた
ジル「エステル達も売れると思うわよ?男子共もそうだけど下級生の女子たちにね、騒がれるかもよ?『お姉様〜!』てね」
クローゼ「もう…ジルったら!」
エステル「………」
うん?エステルの様子が可笑しい…
フローラ「おや?どうしましたか、エステルさん?」
エステル「…え?あ、いや…」
リィン「大丈夫か?心此処にあらずみたいだか…?」
ハンス「まぁ初めての演劇だから疲れたのかもな…」
ジル「疲れたなら医務室にいこうか?」
エステル「大丈夫よ!この程度の疲れは日常茶飯事たから!…唯、ちょっと気が抜けたというか、頭が混乱してるというか…」
ヨシュア「混乱?」
クローゼ「…あっ、もしかしてエステルさん…?」
エステル「あ!いやいや!別にクローゼが気にする事は…」
クローゼ「…エステルさんこっちに…」
エステル「ほえ?」
クローゼはエステルを手招きして舞台袖の隅に行き声を潜めた
エステル(えっと?クローゼ?)
クローゼ(大丈夫ですよ、劇の最後の『キスシーン』アレはキスしたフリですから)
エステル(え…?そうなの?)
エステルは目を丸くした
クローゼ(そうです、大体好きな人が居るのに誰が好き好んで劇とはいえ本当にキスする訳無いじゃないですか)
エステル(た、確かに…あれ?という事はリィンに告白したのって…)
クローゼ(…まぁそうですね。リィンが誤解するとは思えませんが想い人の前でフリとはいえキスするのは嫌でしたからその前に…と)
エステル(うわ、クローゼ大胆///…)
クローゼ(まあ、でもエステルさんの危惧は判りますから…)
エステル(ふえ?…)
クローゼ(少し出会う順番が違えば私はヨシュアさんに好意を抱いてたと思いますし…)
エステル(え、えぇー!?)
フローラ(…愛されてますね。リィン様?)
リィン(…言うな//)
ヨシュア「???、エステル達何を話してるんだい?」
エステル「な、何でもないから!それよりマーシア孤児院の再建費用の寄付金が目標額に届いて良かったわー」
ジル「まぁねー、例年来た人達に寄付を呼びかけているけど今年は公爵やボース市長等の名士が来たのが大きいわね」
ハンス「それでも百万ミラ、よく届いたよなぁ…」
クローゼ「確かにね…でもジル、良いの?」
ジル「良いも何も元々福祉活動に使う物だから、孤児院の再建に使われるなら納得してくれるわよ」
ハンス「それに学園長に許可貰ってるしな」
ヨシュア「じゃあテレサ院長に会いに行こうか」
全員でテレサ院長に会い寄付金を渡したが本人は当初断わっていたが子供達の為にも…という全員の説得に折れ寄付金を受け取ってくれた。
そして学園祭の全ての行程が終わり来場者も次々と帰って行き後片付け一段落して夕方になり俺達も去る時が来た…
ジル「…せっかくだからもう一泊していけば良いのに、これから学園祭の打ち上げもあるのよ?」
エステル「あはは、気持ちだけは受け取っておくわ。依頼を達成したから何時までも居る訳にはいかないし」
ヨシュア「今日中に報告したいからこれで失礼するよ」
ハンス「そうか…リィン達も行くんだったな?寂しくなるな…主に男子連中がフローラ先生関係で…」
リィン「まぁ…元々此処の生徒じゃないし、フローラもね…」
フローラ「引き継ぎの資料を作って置きましたし、同僚達にも挨拶を済ませてあります…まぁ、男子生徒からの引き留めがありましたがリィン様のメイドを辞める積りは更々無いので…」
ハンス「やっぱり?…はぁ〜又一人寮生活か〜」
ヨシュア「一人なら気楽そうな気もするけどね?」
ジル「それはどうでも良いけど、クローゼは院長の所に行くのよね?」
クローゼ「うん、話したい事あるし…外泊許可貰ってきたわ」
ジル「折角の打ち上げに主役が揃って居ないのは残念だけど…まぁ、仕方無いか…また遊びに来なさいよ」
ハンス「勿論泊りがけでな!」
エステル「あはは、解ったわ」
ヨシュア「また寄らせて貰うよ」
リィン「じゃあ又な」
フローラ「お二人もお元気で」
そうして俺達はジェニス王立学園を離れルーアンとマノリア村と学園を繋ぐ街道のT字路まで歩いた。
ヨシュア「さて、ここでお別れだね」
クローゼ「はい…この一週間本当に有難う御座いました」
エステル「アハハ良いって、私達も楽しかったし…それじゃあ先生とあの子達にもよろしくね?」
クローゼ「はい」
ヨシュア「リィン達はどうするの?僕達と一緒にルーアンに行くのかい」
リィン「いや…邪魔じゃなければもう少しクローゼに付き合ってマノリア村まで行こうと思ってる。女の子を一人で行かせる訳にはいかないし、構わないかクローゼ?」
クローゼ「フフ、ありがとうリィン勿論良いわよ。エスコートお願いね?」
「お~い!」
それぞれ動こうとした時一人の男性がマノリア村の方角から走って来て此方に声をかけてきた
エステル「あれ?貴方は…」
ヨシュア「確かマノリア村に住んでいる…」
「ハァ、ハァ…そ、そういうあんた達は遊撃士だったよな…ハァ、ハァ」
「す、済まない…少し、息を…整えさせて…」
フローラ「何が有ったのか知りませんがお水をどうぞ」
「あ、ありがとう…ング…ング…プハァ!助かった、ありがとう」
フローラから差し出された水筒の水を飲み落ち着いた処で尋ねた
ヨシュア「それで一体何があったんですか?」
「あ、ああ!そうだ!!大変なんだ
テレサ院長達がマノリアの近くで何者かに襲われた!」
クローゼ「………え?………」