閃の軌跡〜変わる物語〜   作:名無し名人

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第五十三話

ー 遊撃士ギルドルーアン支部 ー

 

ジャン「……話は大体解った…はぁ〜、しかしまさかダルモア市長が黒幕とは…スキャンダル間違い無しだな」

 

ルーアン支部受付のジャンは大きな溜息をついた

 

ヨシュア「それでジャンさんダルモア市長を逮捕する事は出来ますか?」

 

ジャン「…はっきり言えば難しいと言わざるを得ないな、現職の公務員の逮捕権は遊撃士には与えられていないからね。現行犯なら問答無用で逮捕出来るけど…」

 

エステル「そんな…!じゃあ泣き寝入りしろと…!?」

 

ジャン「まぁまぁ落ち着いてよ、手がない訳じゃないよ。遊撃士が逮捕出来ないのであれば逮捕出来る処に逮捕して貰えば良いのさ」

 

エステル「え…?」

 

リィン「…リベール王国軍、ですか?」

 

エステル「あ、そっか!」

 

ヨシュア「成る程、確かに軍なら逮捕出来る…!」

 

ジャン「正解!だからエステル達には市長邸に行って事情聴取に行ってくれ、多少怒らせても良いから時間を稼いでくれ…僕はその間に王国軍に連絡を取るから」

 

エステル「う〜ん、軍に頼るのは釈然としないけど…解った!」

 

ヨシュア「後はクローゼと合流して…っとそう言えばリィン、ジャンさんにアレ見せても?」

 

リィン「構わないよ元々渡すモノだったし中身は俺も見てないし」

 

ジャン「何かあるのかい?」

 

エステル「うん…実は…」

 

クローゼ「ハァ…ハァ…お待たせしました」

 

少し息が荒いクローゼかギルドに入って来た

 

エステル「あ、来たわね」

 

ヨシュア「学園に寄って行った割に随分早いね?」

 

クローゼ「え、えっと脚には割りと自信ありますから…あら?フローラさんは…?」

 

リィン「フローラなら市長邸に先に行って監視してくるって、多分もうすぐ戻って…」

 

フローラ「只今戻りました」

 

丁度戻って来たのでそのまま報告して貰う

 

リィン「ご苦労様、どうだった?」

 

フローラ「予想通り市長邸に居る様です。それと来客が居てダルモア本人が対応しているみたいです」

 

エステル「来客?」

 

フローラ「デュナン公爵です」

 

エステル「…はぁ〜…あの公爵さんね…」

 

ヨシュア「…ふぅ…」

 

完全に呆れた状態である…

 

リィン「…その反応でどんな人か判るが何だかなぁ…」

 

クローゼ「あ、あはは…そ、それで伯父…公爵はどの様な用で?」

 

フローラ「ダルモアが推し進めてる別荘地の用地に興味を持ったらしくかなり購入に前向きの様です」

 

クローゼ「……何やってるのですか伯父様……」

 

リィンにしか聞こえない程度の声で呟きクローゼは頭を抱えた

 

ジャン「えっと…とりあえずヨシュア見せたいモノを…」

 

ヨシュア「あ、はいこれです…」

 

ヨシュアはジャンに渡し封筒の中身を確認した

 

ジャン「ふむふむ…こ、これは…!これは確実にダルモア市長を逮捕出来るぞ!」

 

エステル「え?本当に!!」

 

ジャン「あぁ!大至急で軍を呼ぶから急いで市長邸に向かってくれ!」

 

ジャンは封筒を返し通信機に向かい連絡を取り始めた

 

クローゼ「…ねぇ、私余計な事したかしら…?」

 

クローゼは他の人に聞こえない様にしながらリィンに耳打ちした

 

リィン「いや、そんな事は無いと思うよ…早ければ早いほど良いに決まってるさ」

 

エステル「よーし!兎に角ダルモア市長に会いにいくわよ!」

 

そう言って全員でギルドを後にして直ぐにダルモア市長邸に向かった

 

ー ルーアン市長邸 ー

 

エステル「しっかし大きな屋敷ねぇ…悪どく稼いでるから住めるのかしら?」

 

ヨシュア「流石にそれは関係無いと思うけど…」

 

クローゼ「ダルモア市長は元は大貴族の家柄ですから…この屋敷も代々の当主から受け継いだ物だと思います」

 

リィン「歴代の当主の功績の賜物の屋敷か…」

 

エステル「そっか…確かに屋敷に罪はないわよね…まぁいいや、兎に角あの市長を問い詰めてやらなきゃ」

 

中に入ると来客に気付いたメイドが対応してきた

 

「ルーアン市長邸にようこそ、申し訳ありませんが只今市長は接客中でして…また来ていただけますでしょうか?」

 

ヨシュア「その来客の事なら僕達も承知しています。デュナン公爵閣下ですよね?」

 

「まぁ!その通りですわ…ひょっとして皆様も招待されていらっしゃっるのですか?」

 

ヨシュア「はい、市長から直々に…お邪魔しても構いませんか?」

 

「…よく見たら遊撃士の方達ですわね…そういう事情でしたらどうぞ、お上がりになってください。市長と公爵閣下は二階の広間にいらっしゃいます」

 

ヨシュア「わかりました、ご丁寧にありがとう御座います(ニッコリ)」

 

「……ポッ/////……そ、そうだわ。お客様が増えるのだったらその分のお茶を用意しないと……わたくしこれで失礼しますね!」

 

メイドは頬を紅くしながら足早に食堂へ去っていった

 

「「「「…………」」」」

 

ヨシュア「あれ、どうしたの?」

 

エステル「べっつに〜」

 

クローゼ「あ、あはは」

 

フローラ「…たらしですね」

 

リィン「そ、それにしても良く招待されたなんて咄嗟に言えたな?」

 

エステル「ホント良く悪知恵働いたわね、出まかせ言っちゃって」

 

ヨシュア「出まかせじゃないよ、初めてダルモア市長に会った時に言われたじゃないか『レイヴンの連中が迷惑かけたら遠慮なく市長邸に来ても良い』って」

 

エステル「あ、そっか…」 

 

クローゼ「フフ…確かに招待されてますね」

 

リィン「物は言いようだけど…まぁ確かに言ってるな」

 

フローラ「ではお言葉に甘えましょう」

 

ヨシュア「えぇ、二階の広間に行きましょう」

 

そして二階に上がり広間の扉の前に立つとヨシュアがリィンに話しかけた

 

ヨシュア「リィン、悪いけど少しここで待機してくれないかい?」

 

エステル「ヨシュア?」

 

ヨシュア「大人数だと流石にダルモア市長も警戒するかもしれないからね。リィンとフローラさんには僕達がダルモア市長と話してから適当なとこで証拠と一緒に入って来て欲しいんだ」

 

リィン「…ん、解った。なら俺達は少しここで待ってるからな」

 

そう言って待機する事になった。

 

リィン「フローラあれから何分たった?」

 

フローラ「約二十分かと…中に入るには良いタイミングかと思います」

 

リィン「じゃあ中に入るか…」

 

「あん?お前さん達は…」

 

そして二十分後そろそろ入ろうとした時に以前ラクシャ博士を取材に来たリベール通信の…確かナイアルだったけが?来た

 

リィン「貴方は以前ラクシャさんを取材しに来た…」

 

ナイアル「リベール通信のナイアルだ、あの時に居た坊主と美人メイドのねーちゃんじゃねーか、こんな所で何してんだ?…もしかして別荘地の件か?土地購入はやめとけ、此処の市長はかなりヤバい事に手を染めてるみたいだぜ」

 

リィン「あぁ…いえ、そうじゃなく俺達はエステル達遊撃士の捜査に協力していて…」

 

ナイアル「あん?あいつ等も来てるのか…なら丁度いいか…俺も一緒に入らせてもらうぜ」

 

リィンとフローラは顔を見合わせたが断る理由もないので一緒に入るとエステル達の他ダルモア市長と酒を飲んだのかほろ酔いのデュナン公爵もいた

 

エステル「あ、リィン!…ってナイアル!?」

 

ヨシュア「どうして此処に?それにリィンも一緒に…」

 

リィン「待ってたらこの人が来てな」

 

ナイアル「んで話しを聞いて折角だから俺も便乗しようと思ってな」

 

ダルモア「な、何だね君達は!?」

 

ナイアル「あぁ、失礼しました。リベール通信の記者のナイアル・バーンズと申します。んでこっちは…」

 

リィン「リィン・アイスフェルトと申します」

 

フローラ「リィン様に仕えているフローラです」

 

ナイアル「んで、来た理由ですが実はですねぇ…最近市の財政状況を調べてさせてもらったんですがねぇ…市長、貴方市の予算を使い込んでますね?」

 

ダルモア市長は明らかに動揺しつつも答えた

 

ダルモア「そ、それは…べ、別荘地の造成のための予算として…」

 

ナイアル「それは通りませんぜ、まだ工事は一切始まっていない、ちょっと妙だと思って飛行船公社まで足を運んで貴方の動向を調べたんですよ。すると驚きましたよ…一年程前から共和国に度々訪れていらっしいますよねぇ?」

 

ナイアルにばかり喋らすのも何だからフローラにもたせていた封筒を受け取り中身を見ながらリィンも喋り出した

 

リィン「…こちらでも調べてみましたが帝国にも訪れていますね?しかもラクウェルに長期滞在して…」

 

エステル「ラクウェル?どんなとこなの?」

 

デュナン「帝国西部のラマール州の内陸部に位置する帝国有数の歓楽街であるな?小劇場やカジノ、賭博場、高級クラブが軒を連ねておると聞いた事がある。儂も一度は行ってみたい場所じゃ」

 

エステル「……まぁデュナン公爵の感想は兎も角、歓楽街に…?」

 

ダルモア「…た、ただの観光だ……」

 

ナイアル「と、いうのは表向きの理由…本当の理由はアチラの相場に手を出して大火傷をしたからでしょう?」

 

リィン「そして帝国でも賭博やカジノで大損したんですよね?」

 

ダルモア「ッ!!!」

 

エステル「えっと…カジノや賭博は分かるけど相場ってなに?」

 

クローゼ「市場の価格差を利用してミラを稼ぐ売買取引です。例えばある品が安い時に買い込んで高くなったら売るような…」

 

エステル「あ、なるほど〜…んで、この市長さんはどの位損しちゃった訳?」

 

ナイアル「共和国に居る仕事仲間の調べによると…約一億ミラらしい…そっちはどうなんだ?」

 

リィン「えっと…資料だと八千万ミラの損失と同額の借金を抱えてるようです」

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

その場に居た全員が驚いた

 

エステル「あ、合わせて一億八千万ミラ〜!?」

 

ヨシュア「寄付金の百倍以上ですか…確かに犯罪に手を染めても可笑しくない額ですね」

 

デュナン「ヒック、一億八千万とはな…私もミラ使いが荒い方だがお主には敗けるわ」

 

ダルモア「ぐっ…!!!」

 

エステル「張り合う事じゃ無いでしょうが…」

 

ナイアル「まぁ、という訳で…莫大な借金を返す為に市の予算に手を出したのはいいが問題は先送りになっただけで解決したわけではない…どうするのかと思ったらまさか放火や強盗してまで別荘地を造ろうとするとはねぇ…」

 

ダルモア「……ふ、フン!そんな証拠何処にある!憶測だけで記事にしてみろ!名誉毀損で訴えてやる!」

 

ナイアル「あらま、開き直った」

 

フローラ「…証拠ならこれでどうです?」

 

フローラが封筒に手を入れ取り出したのは前世でよく見かけたデープレコーダ…

 

ダルモア「な、何だそれは!?」

 

フローラ「音声を録音する機械ですわ…このボタンを押すと…」

 

フローラが押すとダルモアの声が再生された

 

『……良いか?孤児院をどんな手を使っても良い!必ず立ち退かせろ!多少の犯罪行為をしても揉み消してやる!いいな!?』

 

フローラか停止ボタンを押すと場の空気が凍っていた

 

ダルモア「な、ななな…?」

 

リィン「…ふぅ、よく使い方解ったな?」

 

フローラ「似たようなものは御座いますから…」

 

エステル「…さて、どういう事でしょうか市長さん?」

 

ヨシュア「まだ何か言いたい事がありますか?」

 

クローゼ「……ダルモア市長一つお尋ねしたい事があります……どうして御自分で借金を返そうとしなかったんですか?」

 

ダルモア「な、なに…?」

 

クローゼ「確かに一億八千万ミラは大金です…でも例えばこの屋敷を売りに出せば立地から言っても一億は軽くいく筈です。残りもダルモア家の家宝なりを出せは完済は可能な…」

 

ダルモア「き、君は我がダルモア家の財産を売れと!?代々受け継いだ大切なものを手放せというのかね!」

 

クローゼ「あの孤児院だって同じです…先生や子供達が紡いだ掛替えのない、お金には変えられないものが沢山在りました……貴方はそれが解らないのですか?」

 

ダルモア「わ、我がダルモア家と貧相な孤児院を一緒にするな!どいつもこいつも素直に明け渡しとけばいいものを!」

 

クローゼ「…貴方は可哀想な人ですね…ですが!貴方が侵した罪を償って貰います!子供達の為にも!」

 

クローゼのレイピアがダルモアに向けた

 

ダルモア「……おのれ、こうなったら後のことなどどうなろうと知ったことか!」

 

ダルモアは席を立ち後ろの壁を何か操作して隠し扉を開き…

 

ダルモア「出てこい!ファンゴ、ブロンゴ!餌の時間だ!」

 

隠し扉から出てきたのは…二匹の狼型魔獣!

 

ナイアル「な、何だぁ!?」

 

デュナン「ま…ま、魔獣うううう!?…う〜ん、ガクリ」

 

フィリップ「こ、公爵閣下!?」

 

デュナン公爵が気絶して執事のフィリップが駆け寄った

 

クローゼ「貴方…正気ですか!?魔獣を飼ってるなんて!」

 

ダルモア「ククク、お前達を消せば真実を知る者は居なくなる。こいつ等が食べ残したモノは河に流してやるから安心したまえ」

 

ナイアル「く、狂ってやがる!?」

 

魔獣がテーブルに上がり戦闘態勢に入ったので此方も構えた

 

エステル「こんな室内で魔獣と戦う事になるなんて…!」

 

ヨシュア「でもこれで市長を逮捕出来る…!」

 

リィン「フローラ、リベールの法ではこのケースはどうなる?」

 

フローラ「国に不許可で魔獣を…それも凶暴な個体を飼育していましたから…数年は牢屋で過ごす事になるのは確実かと…」

 

 

クローゼ「……あなた達に恨みも憎しみもありませんが…人を害なすなら容赦しません!」

 

その言葉と共に両者は激突した…

 

 

 

 

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