居酒屋『サニーベル・イン』
オリビエ「いやはや、まさか王都で知ってる顔に会うとは……空の女神の思し召しかな?」
リィン達はオリビエと再会し彼の行きつけという居酒屋で飲みながら話した
リィン「俺としても驚きました、てっきりボースに滞在しているかと思ってましたが?」
オリビエ「勿論あの後もボースに留まってたよ。その後は波乱万丈な時間だったよ、そうあれは…」
リィン「あっ、そういうのは結構です」
オリビエ「ボース最大のレストラン《アンテローゼ》で料理を舌鼓して…」
フローラ「聞いてないみたいですね…」
リィン「…まぁ好きに喋らしとこう」
オリビエ「それで余興にピアノを弾いたら店のオーナはいたく感動してね。専属のピアニストとして雇いたいと申し出があってね、で一つ条件を出して了承したのさ」
リィン「条件?」
オリビエ「ミラの代わりに料理とワインを毎日タダで食べさせてくれってね」
フローラ「図々しいですね…」
フローラの意見には同意しかない……
オリビエ「でその晩に早速シェフが用意した料理に舌鼓していたのだが…出されたワインと料理が合わなくてね」
フローラ「なんかオチが見えたような……」
オリビエ「で貯蔵庫に入って良さそうなワインを失敬して開けて飲んだのさ」
リィン「……はぁ!?」
知ってはいるが本当なにやらかすのかこの皇族は…
オリビエ「それで見つかってしまって激怒したオーナーは兵隊に通報してしまって僕はハーケン門の牢に入れられたのだよ。酷いだろう?」
リィン「いや全然……」
フローラ「寧ろ当然の対応ですね……因みに呑んだワインはどんな?」
オリビエ「ん?確か…《グラン=シャリネ》の1183年物だったかな」
フローラ「高額なヴィンテージワインじゃないですか…尚更牢屋に入れられて当然じゃない…」
リィン「酒の価値は良くわからないが…それが良く出る事が出来ましたね、賠償金支払ったんですか?」
皇族なら払えない額じゃあない筈だけど…
オリビエ「フ、そこは僕の人徳によって一緒に捕まってた遊撃士を釈放する為に動いていたボース市長によってついでに釈放されたのさ」
フローラ「なんて悪運の強い……」
全くだ…
オリビエ「で代わりに世間を騒がせていた空賊を捕える手伝いを遊撃士達とする事になってね。二人の準遊撃士に一人の見目麗しい銀髪の女性遊撃士と共に空賊を退治して勝利の美酒に酔いしれたのさ!そして彼女と僕はロレントで逢瀬を重ね…」
あぁこれ…もしかしなくても
フローラ「あら?シェラザード達と会っていたのですか」
オリビエ「へ?」
フローラ「『銀閃』のシェラザードですよね?私は彼女とは親友ですよ、彼女は酒強いでしょう?どんなに飲んでも酔いはしますけど意識ははっきりしてるから次々と注がれたでしょう?」
オリビエ「……」
フローラ「それとロレントに居たのでしたらロレント支部の受付のアイナとも酒を呑んだんでしょう、彼女シェラザードよりうわばみですし」
オリビエ「…………(汗)」
リィン「フローラも一緒に呑んでたよな?」
オリビエ「……ゑ?」
フローラ「はい、まぁあの二人と一緒に呑むと店の酒飲み干しかねませんから私が持ち込んだ酒で呑みましたが、フォークナーさん大丈夫かしら?」
オリビエ「ハ、ハハハ…イ、イヤダナァ…ソンナジジッハナイヨ?ホントダヨ?」
ここまで挙動不審な声する人は初めて見たな…
オリビエ「ブッブッ…まさかあんな女性が酒豪だとは思わないじゃないか…ワインやらウィスキーやらあんな空けて…」
フローラ「目、泳いでますね?」
リィン「これは、酷い目にあったな…」
あの二人に付き合わされればな…
オリビエ「お、お願いだからそれ以上注ぐのはやーめーてー!?」
フローラ「あら、フラッシュバックかしら?」
リィン「トラウマが刻み込まれたか…」
オリビエ「はぁ、はぁ……そ、それで君達は王都に来たのは女王生誕祭と武術大会目当てなのかな?」
リィン「武術大会?」
オリビエ「おや?てっきり参加するのかと思ってたよ、剣客家なら腕試しするかと…」
リィン「…興味は無い訳ではないですね、今はそんな気分では…」
オリビエ「フ、恋の悩みかい?」
リィン「ッ!?」
オリビエ「なに、恥ずかしい事ではないさ、君の歳の子には必ず通る道さ…さあ!この〘愛の伝導師〙オリビエ・レンハイムに相談するがいい!」
「「………(汗)」
無駄にキラキラしてるというか…寧ろ
フローラ「……うざいですね」
オリビエ「ガク……君ね、メイドがそんな事言うもんじゃ…」
フローラ「私はリィン様のメイドであって貴方の評価は正直どうでもいいですわ。それより後ろの方に言い訳をした方がいいのでは?」
オリビエ「どうでも良いって…って後ろ?誰がいる…のか…い…」
オリビエの後ろにはエレボニア帝国軍の軍服を着た男性が仏頂面だが静かな怒りも見せオリビエを見下ろしてた
オリビエ「や、やぁ、親友そ、そんな怖い顔をしてどうしたのかな〜?なんて?」
「貴様がまた大使館を抜け出して街をふらつくからだろうが!大使殿がまたお怒りだぞ!!」
オリビエ「だ、だって王都に来て一ヶ月だよ?息の詰まる大使館よりグランセルの方が面白いし…」
「喧しい!大体お前のやらかしで何度俺が頭を下げたと思ってるんだ!?帰るぞ、これ以上帝国の恥を晒すな!!」
オリビエ「ちょっ!?待って首根っこ掴まえないで〜」
ミュラー「このお調子者が失礼した。自分はミュラー、見ての通りエレボニア帝国軍からの出向で大使館付きの武官という扱いだ」
リィン「えっと…俺はリィン・アイスフェルトです。お気になさらず?大変ですね…」
ミュラー「まぁな…コイツとは幼少の頃からの腐れ縁だが、この通りお調子者でな?君達ももしまたコイツを見掛けたら縛り上げて俺に突き出してくれ。それじゃあ失礼する」
オリビエ「待ってくれ、ミュラー〜帰る、帰るから引きづらないでくれ〜」
そうして店内に二人は残された…
フローラ「…どうしましょうか?」
リィン「…とりあえず会計すませてホテル行こうか…」
ー 帝国大使館 ー
ミュラー「何を考えている!?無断で接触するなど…!」
オリビエ「まぁまぁ、そう怒ると身体に悪いよミュラー……っで?調べたのかい?」
ミュラー「誰のせいだと!……まぁ良い、確かにあの二人は正真正銘エレボニア国籍のエレボニア人だ。十年前の〘百日戦役〙後直ぐにリーヴスに居を構えたそうだ。町の住民の話ではごく普通の人間らしく怪しいところも無いようだ」
オリビエ「ふぅん、それ以前は?」
ミュラー「不明だが…なんせ十年前だ、戦後の混乱で戸籍が曖昧になっててしまってな」
オリビエ「成る程…ミュラーから見て彼はどう見えた?」
ミュラー「……まだまだ荒削りではあるがかの『八葉』の弟子であることと潜在的な力が底知れん事を考えれば、俺は無論父上やヴィクター殿やルグイン伯に届くかもしれん」
オリビエ「へぇ…『ヴァンダール流』の遣い手の君がそう言うか…」
ミュラー「……大体何を考えているかは判るが引き込む積りか?」
オリビエ「勿論♫優秀な人材は一人でも多くいても損は無いからね」
ミュラー「気持ちは判るがな、余り強引に誘うなよ?あのメイドは自身の主の害になると判断したらお前を排除する事も躊躇わんぞ」
オリビエ「へ?いやでも彼女唯のメイドだよ?確かに銃使いみたいだしそこそこやれるかもだけど…君を突破出来る程とは思えないんだけど?」
ミュラー「俺の唯の勘だがな…彼女は普通とは何か違うぞ」
オリビエ「ん~~考え過ぎじゃないかい?」
ミュラー「だと良いがな…」
ー おまけ ー
オリビエ「大体僕を害したらお尋ね者になっちゃうじゃないか」
ミュラー「どうかな?貴様が変態的な事をしたら俺は貴様を守る気はせん」
オリビエ「………冗談だよね?……」