閃の軌跡〜変わる物語〜   作:名無し名人

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第七十五話

 

リィン「イテテ、フローラもうちょっと優しく…」

 

フローラ「もう、無茶なさるから…はい、終わりました」

 

フローラはヴィクターとの仕合で付いた細かい傷をアルコール消毒しながら絆創膏をリィンに貼った

 

リィン「あぁ、ありがとうフローラ、しかしそんな心配しなくても…」

 

フローラ「心配もしますよ、あの『鬼気解放』とかいうのは驚きましたし、仕合もあんな結果になりましたし…」

 

リィン「あ〜…まぁ、ね」

 

 

遡ること二時間前…

 

 

ヴィクター「はぁァァァ!」

 

リィン「オォぉぉぉぉ!」

 

互いの剣が交差し鍔迫り合いからの激しい剣戟の応酬にその場に居た全員が目を逸らすまいと見ていた

 

オーレリア「ほぉ……あの『鬼気解放』とやらを行った途端に技、身体能力が格段に上がったな、そなたの主人は隠してたのかな?」

 

フローラ「…いいえ、リィン様は最初に見せた『神気合一』しか扱え無い筈ですが…」

 

オーレリア「だろうな、隠してたにしてはお粗末過ぎるしな…師の実力を判っていたあの者なら最初からアレをしていただろう。となると奴はこの仕合できっかけを得たのか……フ、フフフ…フハハハ!面白い!実に面白いぞ!まさかリベールでこんな出会いがあるとは!空の女神(エイドス)よ感謝致しますぞ!!」

 

 

 

ヴィクター「……正直驚いた、このような若人が居たとはな…そなたなら何れは私やルグィン伯、そしてマテウスの域に『至る』だろうな」

 

リィン「……あはは、光の剣匠にそう言われるとは光栄ですよ」

 

ヴィクター「フフフ、もう少し続けたかったが…次で終いにしよう…」

 

リィン「えぇ、俺も異論はありません……この一太刀に全てを賭けて…」

 

二人同時に構え一瞬の静寂の後……動いた!

 

ヴィクター「オォぉぉ!絶技 洸凰剣!!」

 

リィン「はァァァ!八葉一刀流 七ノ太刀・刻葉!」

 

  ー  パキン  ー

 

ヴィクター「むぅ…?」

 

リィン「…はっ?…」

 

それぞれのSクラフトを纏った刃が互いの剣に交わる瞬間互いの剣が砕ける音が聞こえた…

 

「双方の剣が…………砕けた?」

 

「な、何が起きたんだ……?」

 

オーレリア「ふむ……所詮は木剣、二人の力に耐えられなかったのだろう……」

 

オーレリアは修練場の中心に立ち手を挙げた

 

オーレリア「この勝負は双方武器破壊による戦闘不能とみなし、引き分けとする!異義の有る者はこのオーレリア・ルグィンに申し立てるがよい!」

 

その場に居た全ての者がこの結果にどよめいた

 

フローラ「リィン様!」

 

仕合の終了を宣言した同時にフローラが駆け寄って来た

 

フローラ「傷が……直ぐに手当を!」

 

リィン「慌てなくても良い、かすり傷だよ」

 

主従のそんなやり取りを横目にオーレリアはヴィクターに近寄った

 

オーレリア「フフフ、師よ満足そうですね?」

 

ヴィクター「フ、当然だろう?武人としてこの様な仕合に出会う幸運に女神に感謝しているところだ」

 

オーレリア「確かに、やれやれ本当はこの後今度は私がアイスフェルトと仕合したいのですが…」

 

ヴィクター「気持ちは判るが我慢せよ、流石に彼も消耗している」

 

 

そうして四人は大使館を出てホテルに入った

 

ヴィクター「今日は楽しませてもらった」

 

リィン「いえ、俺も子爵閣下に手合わせ出来て良かったです」

 

ヴィクター「フフフ、そうだアイスフェルト…君は本国に何時戻るかね?」

 

リィン「?…まだ当分リベールに滞在していますが……何か?」

 

ヴィクター「何、そう構えなくても良い、私の領地レグラムに寄る機会があったら是非尋ねてくれ。それで私の娘ラウラと稽古して欲しいのだ」

 

リィン「御息女とですか?」

 

ヴィクター「そうだ、娘は同世代の武術家が居なくてな、君という存在が娘に良い刺激になると思ってな…どうだろうか?」

 

リィン「それなら…何時になるかは判りませんが本国に帰ったら寄らせてもらいます」

 

ヴィクター「あぁ、歓迎するよ」

 

オーレリア「師ばかりずるいですぞ、アイスフェルト………オルディスに寄ったらジュノー要塞に尋ねて来い!その時は今回出来無かった死合をしようではないか」

 

リィン「何か不穏な響きが聞こえた様な気がしますが…まぁ判りました」

 

ヴィクター「そうだ、アイスフェルト少し太刀を見せてくれないか?」

 

リィン「太刀をですか?」

 

ヴィクター「あぁ…少しな」

 

リィン「…判りました、どうぞ」

 

リィンは佩いていた太刀を抜いてヴィクターに差し出した

 

ヴィクター「中を見ても?」

 

訊ねてきたのでリィンは縦に振って了承したのを確認してヴィクターは鞘から抜いた

 

ヴィクター「…………」

 

オーレリア「…………」

 

隣のオーレリアも覗き込み難しい顔をしていた

 

ヴィクター「…これは数打ちだね?」

 

リィン「え?えぇ…太刀を扱う店が中々無くて…」

 

ロレントで偶然有ったのを買っただけだし…

 

オーレリア「数打ちとしてなら上質の部類だが…しかしこれは…」

 

 

 

ヴィクター「はっきり言おう、この太刀では君のチカラには耐えられない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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