ー 王都グランセル空港 国際線 ー
フィー「昨日はありかとね。リィン、サラが迷惑かけて……」
フィーは帝国行の便の前でリィンに謝罪していた
リィン「いや、それは良いんだか……サラさん大丈夫なのか?」
フィーの後ろには頭を抱えてるサラの姿が…
サラ「あ〜平気、平気この程度の二日酔いなんて…ゔ、頭が重い……」
フィー「ん、サラは自業自得、放っといても直に良くなる」
サラ「フィー……アンタね…」
サラ胡乱な顔でフィーを見ていたがフィーは無視していた
フローラ「子供相手になんて顔をしてるのよ。ほら、酔い止め薬よ」
リィンの隣に立っていたフローラはサラに酔い止め薬を投げ渡しサラは難なく受け取った
サラ「っと、サンキュやっぱ持つべき物は酒飲み仲間よね〜」
フローラ「勝手にアンタと同類にしないで頂戴、潰れたアンタを宿まで担いだこっちの身になって欲しいわね」
サラ「な〜によう、別に良いじゃない。酒はストレス解消よ」
フローラ「……はぁ〜、これで教師になるなんて……上司は苦労するわね」
サラ「あら、随分な云われようだけどこれでも最年少A級遊撃士よ?人を教えるなんて造作もないわよ。第一アンタだって相当呑んだ癖になんで平気な顔してるのよ」
フローラ「別に?私は酒には酔わないだけよ」
サラ「何よそれ?そんな羨ましい体質は…私にも分けなさいよ!」
フローラ「分けられる訳無いでしょうが…」
リィン「まぁまぁ、二人ともそれぐらいにして…しかし武術大会を観ないのですか?今日決勝なのに…」
フィー「ん、別に武術大会は興味無いから…女王生誕祭は少し興味あるけど……」
サラ「ま、元々観光目的で来た訳じゃないしね……あのヒゲオヤジの性でね」
リィン「オズボーン宰相ですか……色々噂は聞きますが本国もきな臭くなりますね」
サラ「そうね、今は貴族派と革新派は表立って動いてないけど、今度私が勤める学校、『トールズ仕官学院』も生徒が…ね」
リィン「中興の祖ドライケルス帝が創設した仕官学院ですね。『若者よ!世の礎となれ!』が有名ですが…」
サラ「そう、それよ…実は私を教官に誘ってくれたのは校長を勤めてるヴァンダイク元帥その人なんだけど…平民もトールズに入れる様になってから貴族の生徒と平民の生徒の対立が激しくなってその対策に《ある特科クラス》を創設する事になったの」
リィン「特科クラス?」
サラ「そう、簡単に言ってしまえば『貴族も平民も関係無いクラス』……ある御方の肝入りなのよ。今年から運用データを取るみたいたし」
リィン「ん~、それは部外者に話しても良いんですか?機密なんでしょう?」
サラ「あぁ良いの良いの、そこまで機密な訳じゃないし…因みにフィーも来年トールズに入って貰う予定だから」
フィー「ん、正直に言って勉強はめんどくさい…でも興味は出たかな?リィンが言う『かけがえの無い友』が果たして居るかどうか」
サラ「ふふん、それはアンタの努力次第ね?ま、良い機会だから合格したら部活にでも入ったら?」
フィー「部活…?何が良いのかな?」
リィン「それも含めてフィーが探して決めていけば良いさ」
リィンはそう言ってフィーの頭を撫でた
フィー「ん…///、子供扱いしないで欲しい」
リィン「悪い、だが実際俺達は子供だろう?」
フィー「むぅ……」
フィーはむくれてしまい、サラはそんな二人の様子にニヤニヤしていた
フィー「もう良い、先に乗るから!リィンまたね!」
フィーはそっぽ向いてエレボニア行の定期船に乗り込んだ
リィン「子供扱いし過ぎたかな?」
サラ「別に平気よ、アレは照れてるだけだから…それよりリィン…アンタ、フィーにはああ言ったけどアンタ自身はどうなの?」
リィン「どう、とは?」
サラ「学校よ。アンタは学ぶ気は無いの?アンタだって学ぶ権利は有るわよ。なんならアタシが身元保証人になってトールズに通う事だって…」
リィンは頭を振った
リィン「…………気持ちは有り難いですが、俺はやる事がありまして…」
サラ「何よそれ?学ぶ事以上に大切な事?それなら遊撃士に依頼するのも手よ」
再度リィンは頭を振った
リィン「いえ…これはそういう類の話しでは無いんです…すいません」
サラはじっとリィンの顔を見つめていたがため息をついた
サラ「…ふぅ、判ったわ。これ以上詮索もしないわ…だけど自分の胸の中に溜め込まない様にね。アンタを心配してくれる人の為にもね?」
フローラはサラの言葉を聞き大いに頷きリィンの側に寄った
フローラ「リィン様は私がお守りするわ」
サラ「ま、これなら大丈夫そうね。優秀なメイドも居るしね」
『間もなくエレボニア帝国行の搭乗手続きを行います。お乗りのお客様は二番ゲートより…………』
サラ「おっと…そろそろお別れね、気が変わったらトールズに来なさい…歓迎するわ」
サラは手を差し出し握手を求めた
リィン「お元気で…」
リィンも握手に応じサラに別れを告げた。そしてサラ達が乗った定期船が空高く舞うまで見送った…
リィン「さて…エステル達の決勝戦はもうすぐだったけ?」
フローラ「はい、後二十分程で開始ですね。十分間に合います」
リィン「なら行こうか」
「おや…君達は…」
リィン達は少し早歩きでアリーナに向かう道中に見知った顔が近づいてきた。それは…
リィン「リシャール大佐?」
リシャール大佐が一人でこちらに近づいてきたのだ
リシャール大佐「やぁ…また会ったね?空港に用事かね?」
リィン「いえ、人を見送ってきただけです。大佐こそ一人とは珍しいですね?」
リシャール「何、部下に少しは休憩しろと言われてね。折角だからアリーナで決勝戦を観戦するのも悪く無いと思ってね、君達もアリーナに向かうなら同行させてもらっても良いかな?」
リィン「…えぇ構いませんよ」
そうしてリシャール大佐と同行する事になりアリーナに向かった
リィン「そういえば決勝の相手は情報部のロランス少尉のチームでしたよね?」
リシャール「あぁ、彼は非常に優秀な人物だ。正直カシウス大佐と手合わせしたらどちらが勝つか検討がつかないと思うよ」
リィン「同感ですね。カシウス師兄もですが、大佐も良い勝負出来るのでは?」
リシャール「ハハ、流石にカシウス大佐に及ばない私の実力では彼に負けるがね。君ならどうだね?『八葉の最後の弟子』、君こそロランス少尉に食い下がれるのでは無いかね?」
リィン「……さてどうでしょう?ロランス少尉の本気を見たことも無いので判断出来かねま……どうしたフローラ?」
リィンの側で歩いていたフローラは突如足を止め地下水路の入口を見つめた
フローラ「いえ…水路の方から違和感が…」
リィン「違和感?」
フローラ「はい、入口付近に何か…」
リシャール「ふむ?だが水路の入口は普段誰も立ち寄らない筈だが…?」
リィン「…兎に角近づいてみましょう」
そうして地下水路の入口に近づいてみたが…
リィン「なんだ…この鉄臭い匂いは…?」
誰もが余りの匂いに顔を顰めていた
リシャール「…これは…血の匂いだ…!?まさかこの先に…」
嫌な予感をした全員が武器を構えた
フローラ「…開けます…!」
銃を構えたフローラが扉に手をかけて一気に扉を開け中になだれ込んだ先に血塗れの人間が何人も転がっていた…………!!