フローラ「奴等の構成員は全部で十五人だそうです。いや、あの三人除けば十二人ですが」
きっかり三分後に出てきたフローラはテロリストから得られた情報をリィン達に報告していた
リィン「それは良いんだけど…フローラ奴等に何をしたんだ?げっそりとしてるが?」
リィンは視線を拘束したテロリストに向けると髪が真っ白になっていた…
フローラ「大丈夫ですわ、生命に別状はありません…ちょっときつく締め上げましたが」
フローラはニッコリと微笑み何でもないと答えた
リシャール「構成員の数は判った…それで爆弾は何処に仕掛けられているんだい?」
フローラ「爆弾は全部で三つ、三ヶ所に仕掛けたそうです。場所はこのアリーナの地下だそうです」
リィン「地下?地下水路の下という事か?」
リシャール「いや…このアリーナは地下水路は無い、あるのは昔王国が罪人や魔獣を入れていた部屋がある筈だ」
リィン「罪人…、闘技場としてですか…?」
リシャール「そうだ、ほんの百年前まで罪人同士を闘わせたり捕らえた魔獣と罪人の闘いを見世物としていた。近代になり野蛮だとして廃止、封鎖されたがね…当時の設備は今でも残っている筈だ」
リィン「なんとまぁ……だがそうなると…フローラ、具体的な爆弾の設置場所は?」
フローラ「これを…」
フローラはポケットから一枚の地図を取り出した
フローラ「奴等の懐から地下の地図がありました。これによるとアリーナの構造上脆い箇所、貴賓席の真下、南と北の控室の真下にアリーナを支える支柱があります。これを高性能爆薬で吹き飛ばすと計算上アリーナは簡単に崩れ去ります」
三人の脳裏に観客ごと崩れていくアリーナの姿を幻視した…
リシャール「くそ、テロリストめ!己の目的の為には無辜の民も巻き添えにするのも辞さないつもりか!?」
リシャール大佐は忌々しげに吐き捨てた
リィン「落ち着いて下さい!大佐、今ならまだ間に合います。テロリストを止めないと…」
リシャール「そう、だな…済まない、私としたことが冷静さを欠いてしまった」
リィン「いえ、それでその地下施設の入口は何処に…?」
リシャール「それならこっちだ、付いて来てくれ」
詰め所を出て歓声が聞こえるアリーナを少し離れた所に何の変哲もない小屋があるが…
リシャール「此処に地下に降りる階段がある。封鎖されて以来鍵も掛けられ人目にもつかないから放って置かれていたんだが……」
リシャール大佐は壊された南京錠を一瞥した
リシャール「……降りるが準備は良いかね?」
リィンとフローラは頷き地下へ降りて行った
リィン「…松明が灯されてるな…」
フローラ「テロリストが設置したのでしょう。お陰で明かりの心配は無いですが…」
リシャール「さて…どうするかね?手分けしてテロリストと爆弾を排除するか、全員で一つずつ排除するか…」
リィン「手分けした方が良いかと思います。分散する愚は確かですけど三ヶ所同時に押さえないと意味が無いかと…」
リシャール「ふむ、君はどう考える?」
フローラ「私もリィン様と同じ意見です。奴等の勝利条件は一箇所だけでも爆破できれば目的は達成される事を考えると…」
リシャール「宜しい、なら手分けして排除しよう。リィン君は貴賓席の真下の『魔獣牢』に、私は南の柱に、フローラ君は北に向かってくれ」
そうして三人はそれぞれ分かれた
フローラSide
フローラは両脇に嘗て使用されていた牢を横目に通路を歩いていた
フローラ「…リベールの負の遺産…か、セレストも苦労したみたいね」
フローラは嘗ての友人の顔を思い出しながら爆弾を探していた
フローラ「ッと、位置的には此処ね」
フローラの前には広い空間が広がりその中の柱には爆弾がセットされていた
フローラ「これね…さっさと解体したいけど、その前に……居るのでしょう?さっさと出てきなさい!!」
フローラが呼びかけると男達が出てきた
「何だね、お嬢さん…こんな処になんの用かね?観光なら地上に戻り給え。まぁ、爆弾を見たからには生かして置くわけにはいかないがね」
フローラ「六人…?貴方達がテロリストね。さっさと爆弾を解除して投降しなさい!」
「ふむ…?何処で知ったのか知らないが答えはNOだよお嬢さん、これは革命なのだよ。悪しき王政を打破する聖戦なのだ!テロリスト等と言われるのは心外だね」
フローラ「呆れるわね、無辜の民を巻き添えにするのが聖戦だと言うのかしら?」
「必要な犠牲なら幾らでもするさ、王政を打破出来るならねぇ…」
テロリストは狂信的な笑みを浮かべそうほざいた
フローラ「…解りきった事だけど何を言っても無駄みたいね。貴方達を無力化して爆弾を解除するわ」
「おやおや、面白い事を言うお嬢さんだ。こっちは銃を持った男が六人、君はたった一人じゃないかね?命乞いをしてみたらどうだね?大人しく我々の慰み者になるなら命は助けようじゃないか」
テロリスト共はフローラに劣情を隠そうともせずにいった
フローラ「…はぁ、馬鹿相手には疲れるわね…まぁ良いわ丁度いいからテストも兼ねましょうか」
「は…?何を言って?」
テロリストの言葉を無視してフローラは無言で指を鳴らした、するとフローラの両脇から機械仕掛けの甲冑姿の騎士が現れた
「……え………?」
「な…!?き…騎士だと……い、一体何処から現れた!?」
テロリスト達は一瞬で現れた騎士に驚きを隠せなかった
フローラ「リィン様と拠点を護る為に試作した人形兵器……貴方達には最終試験の礎になって貰うわ」
騎士達は一歩前に出た
「ひ、ヒィィィ!?」
「ひ、怯むな!所詮三人!一斉に掛かれ!」
テロリストが銃を構え人形兵器も剣を抜き盾を構えた
フローラ「行きなさい!命を命と思わない輩に鉄槌を喰らわせなさい!」
テロリストとフローラ達の闘いが切って落とされた
リシャールSide
リシャール大佐も爆弾の設置場所に辿り着いたがテロリストと接触し誰何を受けた
「リベール軍め!どうやって此処を知った!」
リシャール「フン、それは今重要では無いな、私が求めるのは一つ…爆弾を解除して降伏しろ!痛い目を見たく無いならな!」
「巫山戯るな!革命の邪魔をされて堪るか!たった一人で来た事を後悔するが良い!」」
リシャール「フ、たかが六人如きに甘く見られた物だな…八葉が妙技、受けて見るが良い!」
リシャール大佐もテロリストと交戦し始めた…
リィンSide
リィン「………」
「どうした坊主?ブルってる訳じゃ無いんだろう?それとも俺を油断させようってか?」
リィンは対峙している男を注意深く観察していた。腕捲くりした黒いジャケットを着て右手にアルゼイド閣下の様な大剣を担ぎ左手で火の着いた葉巻を持っていた。
リィン「猟兵…か、しかも『西風』ときたか…」
「お?坊主詳しいねぇ…しかも『ウチ』の名も知ってるとは…有名になったもんだなぁ」
男は葉巻を咥え美味そうに吸った…
リィン「…猟兵はこんなの興味無いと思っていたが…勘違いか?」
男は心底心外だと言わんばかりに肩を竦めた
「おいおい、それこそ勘違いってもんだぜ?雇い主の主義主張なんざ興味無いぜ。俺は相応の額で雇われてるに過ぎないぜ?ま、『リハビリ』を兼ねて個人で受けてるから団は関係ないがな」
リィン「…アンタの後ろの爆弾で無辜の民が犠牲になるのを何とも思わないのか?」
「…フン、猟兵は依頼をこなしてナンボの世界だ、依頼主が殺せと言ったら殺すし、殺すなと言われたら殺さん。だがな、今更女神(エイドス)に赦しを乞う積りもねぇ。煉獄に堕ちるのは覚悟してんだよこっちは」
リィン「…そう、か」
「……ま、個人的にはお前さんには興味あるがな?」
リィン「……フィーの件か?」
「ほう?やっぱ気付いていたか…坊主には感謝してんだよ。フィーには猟兵稼業には向かん。アイツには幸せになって貰いたいからな」
リィン「幸せ云々言うならフィーにちゃんとそう言え、どうせ言葉にして言ってないんだろう?」
「ハハ、返す言葉も無いな……さて、そろそろ始めるか?」
男は葉巻を捨て闘気を滾らせた
「こんな碌でも無い親だかな……フィー周りを彷徨く『虫』は排除させて貰うぜ!!」
リィン「親馬鹿過ぎんだろ!?それにフィーはそう言う対象で見てない!」
リィンは思わずツッコミを入れた
「ウチのフィーは魅力が無いって言いたいのか!?」
リィン「だから……あぁもう!八葉一刀流中伝リィン・アイスフェルト!」
「……フン、『西風の旅団』の団長ルトガー・クラウゼルだ!」
「「参る!/行くぜ!」
『アンファング』には既に蜘蛛型人形兵器が居るが基本的には戦闘力は低く一般人は兎も角訓練された兵士や遊撃士なら余裕で負けるのでフローラが戦闘用に開発したたのが今回出てきた『スクルド』である。
身長二アージュ(二メートル)千五百トリム(百五十キロ)の全身甲冑の騎士風の人形兵器、耐弾性に優れ剣だけでは無く専用の銃火器も搭載可能、フローラ程では無いが人工知能を搭載しており柔軟な行動が出来るよう設計されている。
名前は運命の女神ノルンの三姉妹の三女からとっている。意味は「未来」