シャドウガーデンと共に楽しい日々を 作:陰の実力者になれんかった
メリークリスマス! みんな、いい子にしてた? いい子にしてたあなたたちに、サンタからクリスマスプレゼントよ。感謝なさい? 私からのプレゼントなんて貴重なんだから。
……ポチに渡すプレゼント、個別に用意しておくべきだったかしら。って、いやいや、それじゃあまるで私が意識してるみたいじゃない!
※致命的なミスがあったので、一時的に作品を非公開にしました。現在は修正済です。ご迷惑をお掛けしました。
25日6時29分追記
『シドとアルファのクリスマス』
「そういえば、そろそろクリスマスの時期だよね」
シドが突然そんなことを言い出す。
「まあ、大体この時期か。この世界にクリスマスなんてないが」
クリスマスはあくまで前世でのイベント事。宗教がそこまで存在しないこの世界にクリスマスというものは無い。
「クリスマス、久しぶりにやりたいよね」
「……そう、か?」
久しぶりにやりたいと思うような行事でも無いと思うが。そもそも年一だったし、シドの場合あまり関係無かったのではないだろうか。
「アルファに話したら興味持つかも」
何も考えてなさそうで何も考えてない顔。今回は陰の実力者とは関係無さそうだ。
「陰の叡智としてか」
「うん。とある偉い人の誕生日だったとかなんとか言えばいいんじゃないかな」
そう能天気に言うシド。いい笑みを浮かべているが、おそらく何も考えてない。
「なんだその雑な知識。まあ宗教ごとに解釈は違うから別にいいんだが。脚色はするんだろう?」
「もちろん。サンタとか丁度いいよね」
サンタにも様々な説がある。特に現代においては噂が一人歩きしている状態だった。俗に言うブラックサンタはドイツの伝承が比較的有名だろうか。
「丁度いい、のかそれは」
「うん。ほら、アルファ来たよ。おかえりアルファ」
そう言うシドの指差す方向には、今しがた帰ってきたアルファがいた。
「ただいま。何の話をしていたのかしら」
「今、とある行事の話をしていてね。クリスマスっていうものだ」
シドがシャドウモードに入った。やる気が漲っているらしい。
「クリスマス?」
ピンと来ていないようで首を傾げるアルファ。だがどこか嬉しそうな雰囲気が漂っている。私は空気になるとしよう。
「そう。ここより遥か遠い地にて、神の子と称される者の誕生を祝う祭典の日。人々は皆──」
〜シャドウ、陰の叡智説明中〜
「なるほど。この世界でクリスマスを流行らせることが出来れば、資金集めに活かせそうね。あくまで将来的な話だけれど」
「うん? まあそうだね。ケーキとかプレゼントとかいいかもね」
あの話を聞いてこう繋げるアルファは、やはり普通ではないな。種族を踏まえても頭の回転が早すぎるだろう。
だが、今回はそういったことではなく、クリスマスという日を楽しめばいい。こんなもの、そこまで深く考えなくてもいいことだ。クリスマスがない世界でそんなことを言っても世話ないが。
大体、クリスマスに何かは起こらないのが普通だろう。それこそ、襲撃なんて以ての外の筈だ。ここは適当に……いや、どうせなら少し出て貰うか。
「アルファ」
「え、何かしら」
急に名前を呼ばれたことに少し驚いているアルファ。何故私の時は驚くのだろうか。
「……クリスマス云々はともかく、シドと少し出かけてきたらどうだ」
「え、シャドウと?」
困惑した表情を浮かべるアルファ。シドも何も話していないが、雰囲気は困惑している。
「ああ。クリスマスということに囚われず、街に出掛けることをして欲しい」
「それは、時期的に大丈夫だと思うけれど、何かあるのかしら」
「そうだな……あると言えばある。あるが、今はまだ話すことが出来ない。これはアルファがシドと共に行わなければならない任務だ」
ここでシドに目配せする。なんとなくそれっぽい形を作っておけば勝手に反応するだろう。それに、本当に何かはある。嘘は言っていない。
「なるほど。例の、そう。例の計画にアルファを参加させて……えー、経験を積ませようというのだな」
「例の計画……詳細は教えてもらえないのかしら」
「これはアルファの現在の能力を判断する為でもある。私は陰ながら判断する。今のシドとの差を感じる良い機会だろう」
「……陰?」
「わかったわ。事前にこのことを伝えるのは温情ということね。今はまだ届かないけれど、私も成長しているということを知ってもらうわ」
「ああ、是非そうしてくれ」
変な場所に反応しているやつはいるが、まあなんとかなった。しかし、エキストラなど雇うことは出来ない。そんな酔狂な人物はいないからな。どこか適当な教団員を連れてくるか? だがそうすると──
「そういえば、僕の意思は?」
クリスマス(仮)当日。この世界にクリスマスは無いから、僕が大体でこの日にした。
今日はゼロの言う通り、アルファと街に出かけることになった。僕としては、あまりクリスマス感がないから、ゼロが用意してくれている何かに期待している。
ゼロが用意してくれるのであれば、きっと楽しい陰の実力者が出来るはずだ。
「シャ……シド。待たせたわね」
「アルファ。今来たところだよ」
本当に今来たところだ。ゼロに、早めに行け。アルファが来てるぞって言われてなかったら、僕の方が遅かったかもしれない。だって今15分以上前だよ。まさかそんなに早く来るとは思わないじゃん。
「珍しいわね、あなたが予定よりこんなに早く来るなんて」
「そうだね。僕は時間は予定の時間に間に合うように動いてるから、予定の時間より早かったり遅かったりしないようにしてるんだ」
陰の実力者は忙しい。自分を鍛える時間も必要だし、表でのモブを演じる時間も必要だ。活動資金を稼ぐのも必要だし、僕の時間はカツカツだ。
「そうなのね。確かに、あなたにはやることが沢山あるものね。私には想像もつかないけれど」
「そうかな。それじゃあ行こうか。と言ってもどこに行くとかは考えてないんだけど」
なんとなく思い出して話したクリスマスがこうなるとは思わなかったな。まあ別にいいんだけど。
「それなら向こうの通りに行かない? お店も沢山あるし、少し歩いたらお昼ご飯に丁度いいと思うの」
「そうなんだ。それならそうしようかな」
アルファは色々調べてきたのかな? 僕の知らない店も知ってそうだ。僕の方がこの街には来てるんだけどなあ。
「ふふ……それじゃあ行きましょう?」
〜〜〜
「これは……」
「ん? どうしたのアルファ。それ、ペンダント?」
「ええ、何か、魔力のようなものを感じた気がして」
「ふーん。でも何も無さそうだけど」
「そうね、特に何もないわね。気のせいだったみたい」
「そっか」
「ええ。次へ行きましょう」
〜〜〜
アルファとウィンドウショッピング……だったっけ。それをした後、お昼頃。昼ご飯をどうしようかと考えていた時、ゼロに渡されたものを思い出した。
「そうだ。これ何か知ってる? アルファ」
「これって……あそこにある最近話題の高級店の特別チケットじゃない? 貴族でも上流階級しか貰えないって噂されている物ね。これを持ってるなんて、やっぱりあなたは何でも出来るのね」
何それ。そんなもの渡されたの僕。ゼロっていつもどこから色々と持ってきてるんだろう。活動資金、少し融資してくれないかな。盟友価格で。
「そうなの? いや、それはゼロから……まあいいか」
「それがあるなら、あのお店に行くことにしましょう」
「そうだね」
どんな店なんだろう。気になってきた。
高級店の特別チケットということもあって、店の人の反応が凄かった。チケットを見せたら仰々しく奥の個室に移動させられて、なんか凄いフルコースみたいな料理を食べることになった。しかも説明つき。
料理は美味しかったけど、よくわからない貴重らしい食べ物もあった。三大珍味みたいなものかな。アルファは知ってたみたいで、料理ごとに驚いていた。アルファが料理に驚くって、なんだったんだろう。
あまり高かったら嫌だなと思ってたら、このチケットはチケット自体が代金になるらしい。ラッキー。ありがとうゼロ。
途中、周りの貴族の視線を集めてしまった気がするけど、個室だったし大丈夫かな。それに、きっと僕じゃなくてアルファを見てたと思うし。
「美味しかった?」
「ええ、美味しかったわ。でも正直、希少性に気を取られてしまったけれど」
やっぱり希少なものだったんだなあ。そういえぱ角煮みたいなのもあったけど、この世界にそんなのあったっけ。もしかしてゼロが教えたのかな?
「それじゃあ、これからどうする?」
「そうね。またこの街を見て回ろうかしら」
「今度は建物を見に行くのもいいかも」
「名案ね。そうしましょう」
〜〜〜
「おお、ここ結構高いね」
「ええ。この街を一望出来るわね」
「この街、結構色々あるんだね」
「聖教の教会や魔剣士協会があるということは、重要な街なのかしら」
「そうだね。この辺りじゃ一番大きいかも」
「そう。教団が潜んでいる可能性が高いわね」
「そうかな。でも確かに、木を隠すなら森の中って言うしね」
「木を隠すなら森の中……言い得て妙ね」
〜〜〜
「ん? あれは……」
夕方。街を歩いていると、屋根の上を走っていく人影が見えた。これはゼロからの合図かもしれない。
「どうかしたの……まさか」
僕の視線の先を見て、アルファも気づいたみたいだ。ゼロが用意してくれた敵に。
「ああ……どうやら時が来たようだ」
「そう、やはりディアボロス教団……!」
驚愕と憤怒が織り交ざった表情であの人を睨み付けるアルファ。迫真の演技だ。
「その名をあまり大声で出すな。やつらに勘づかれる」
「っ、ごめんなさいシャドウ。でもそうならすぐに追わないと」
「ここで屋根上へ上がって追いかけていくのは、少し分が悪い。あの道から行く」
丁度いいところに路地裏発見。ここから行けば誰にも見られずに行けるかな。この場で屋根上にいったら注目されちゃうよ。
「わかったわ」
「では往くぞ」
それにしてもアルファって本当にノリ良いよね。アドリブ力高いよ。
ゼロが用意して、アルファが演技をして、僕が陰の実力者をする。もうこの三人でよくない? 全部完結してるよ。
路地裏から追いかけ、敵のアジトまで尾行した。一網打尽に出来るから、大勢の反応が見れそう。
でもアルファいるし、ここはアルファに先に出てもらおうかな。ゼロがそんな感じのこと言ってた気もするし。
「ここだな」
「さすがシャドウ。敵に一切勘づかせないなんて」
「アルファ。先陣を切れ」
「……わかったわ」
アルファが先陣を切り、突入する。敵のアジトは地下に続いていて、隠し階段が良い味をだしてる。
「はぁっ!」
アルファがすぐそこにいた敵を斬る。随分と剣の扱いが上手くなった。教えた甲斐が有るな。
「誰だ、貴様ら……うがぁぁぁ!」
「なんだ、敵襲か! ぐわぁぁぁ!」
そのままこの場所にいる敵を斬り倒していくアルファ。動きが速いから敵も対応できてない。僕の出番は取り敢えず無さそうだ。
「ふぅ……この先かしら」
「ふむ」
問題なく進んでいたが、この先の敵は少し厳しいかもしれない。アルファでも倒せるとは思うけど、何か不確定な要素一つで覆る。
「貴様ら……一体何者だ!」
多分一番奥の部屋にいたのは、いかにもボスですよって感じの敵。テンプレだな。
「私たちはシャドウガーデン」
「シャドウガーデン? 聞いたことがないな、その辺の盗賊か何かか? しかし、実力はありそうだな。面白い。その芽、摘ませてもらおうか」
「そんな無駄話して、時間稼ぎのつもり?」
「どうだろうな。だが一つ言えるのは、ここで貴様らは死ぬ!」
アルファに襲いかかる敵。魔力量と剣は悪くないけど、それは一般的な基準の話かな。アルファの魔力量と剣には程遠い。10回ぐらい打ち合えば、敵は姿勢を崩してアルファに斬られる。最早虫の息だ。
本当に僕の出番はあるのかな。このままだとアルファのストレート勝ちだけど。見誤ったかな?
「ぐっ……これだけはやりたくなかったが、仕方ない」
「今更何を……?!」
敵が唐突に注射器を取り出し、自分の腕に刺してよくわからない液体を入れる。あれなんだろう。ドーピングかな。
うん? この魔力の波動……今のアルファじゃちょっとまずいかも。
「流石にこの魔力量は、押し切られる……!」
「アルファ。ここからは我がやろう」
「シャドウ?! でも……いえ、私では、まだ無理ね」
納得してくれたようで素直に引いてくれたアルファ。観客になれるのがアルファだけなのは少し寂しいけど、実力を見せつけるには申し分ない。
「がっ、あぁぁぁぁ! ……後ろに縮こまっているだけの臆病者かと思ったが、ついに腹を括ったか」
「アルファの相手をしてくれたお礼に、一撃で終わらせてあげるよ」
これもアルファの経験になったかな。油断はしてなかったけど、まだ倒せない敵はいるってわかったと思うけど。
こいつ、魔力は増大したけど全く扱えてない。魔力に振り回されっぱなしだ。僕の嫌いなタイプ。
でも、自分が敵わなかった敵を一撃で倒す謎の実力者が出来るのは感謝するよ。アルファ以外の誰かがいれば完璧だったなぁ。
「はっ、ふざけたことを抜かすな! 逆にこちらが一撃で斬り倒してくれる!」
「ならば去ね」
「ぐるあぁぁぁぁ!」
刹那。敵の剣を本当にギリギリのスレスレで躱し、心臓に剣を突き刺す。そして上にあげてから斬り下ろす。
「が、は」
敵はそのまま倒れ、息絶えた。僕の役に立ってくれてありがとう。満足度はそこまでたけど、割と良かったよ。
「一撃……いくら技量が足りなくても、魔力量は本物だったのに」
やっぱりアルファはアドリブ力高いよ。アルファを仲間に入れた甲斐があったなあ。
それにしても、ゼロが用意したにしては少し物足りないような。ゼロ、何か言ってたっけ。
「すっかり日が暮れたね」
「ええ。でもゼロからのメッセージがなければ、あの場所の後処理でもっと時間がかかってたかもしれないわ」
ゼロの用意してくれた敵は、ゼロが片付けてくれるらしい。戦闘が終わったあと、金目のものがないか少し探していた最中に、アルファが見つけた手紙に書いてあった。ゼロって用意周到だよね。
「そうだね。さて、そろそろ家に帰らないとかな。一日出てたし、夜は顔出さないと」
「そう……ね。もうそんな時間なのね」
「そうだ。最後に行きたい場所があるんだけど、いいかな?」
アルファにおすすめの場所を思い出した。時間も間に合いそうだし、今日は晴れてるからよく見える。喜ぶんじゃないかな。
「行きたい場所?」
「ここだよ」
「ここって……凄い。街全体が見渡せるのね、この丘は」
僕が連れてきたのは町外れにある小高い丘。昔盗賊狩りをした帰りにここを通って、良さそうな場所だなって思ったんだけど、役に立ったみたいだ。
「空も凄いよ」
「空……」
アルファにこの星空を勧めると、見上げたまま固まってしまった。UFOでもいたかな?
空には星が浮かんでいる。前世じゃ高い山の山頂にでもいかないと見えなかったのに、この世界だと随分綺麗に見える。空気が澄んでるんだと思う。ちなみにUFOはいない。
北斗七星だったっけ。あ、オリオン座だ。あれは、牡牛座……かな? 多分そう。
「オリオン座……星座を題にした曲があったような?」
「オリオン座って?」
「オリオン座っていうのは、あそこからあそこの星座を結んだものだよ」
「星を結ぶ。面白い発想ね」
「大昔の人が考えたんだよ。他にもあの場所を結んで牡牛座とか、双子座とか」
「そんなものがあるのね。知らなかったわ」
「まあ、知らなくても生きていくことはできるからね。知ってた方が面白いってだけだよ」
生きていくのに必要な知識は、実の所そこまで多くない。それでも自分がやりたい事に必要な知識は、無駄にならない。いつか絶対に役立つ日がくる。少なくとも僕はそう思ってる。
「そう……綺麗ね」
「うん。綺麗だね」
僕たちの目線の先には、幾つもの星が煌めいている。やっぱり、冬の星は綺麗だな。
「そうだ、はいこれ」
「箱?」
「僕からのプレゼントだよ。うっかり渡しそびれるところだった」
正直忘れてた。ゼロがあの場所の置き手紙で言ってくれなかったら渡すの忘れたままだったかも。
「プレゼント……開けてもいい?」
「どうぞ」
「これ、私が昼に見てたペンダント?」
「そう。魔力的な何かはなかったけど、アルファに似合うと思ってさ」
アルファが昼に見てたペンダント。もしかしたら欲しいのかなって思って、途中でこっそり抜け出して急いで買ってきたんだけど、お気に召したかな?
「……ありがとう、嬉しいわ」
「喜んでもらえたら僕も嬉しいよ」
「早速着けてもいいかしら」
「もちろんいいよ」
「……どうせなら、貴方に着けてもらってもいい?」
「え、ああ、うん、いいよ」
今日のアルファ、テンションちょっとおかしい? まあいいけど。
ペンダントって着けたことあんまりないんだよね。陰の実力者に似合うかなって思って1回着けたことあるんだけど、何かで固定してないと意外と邪魔だった。でもかっこいい。そんなやつだと僕は思ってる。
ファッションとして考えればあり。今度それっぽい服で着けてみようかな。でもそれならなにか特別な機能とか欲しいような。
「よし、これで出来た」
「っ……どう、かしら」
「うん、よく似合ってるよ」
ペンダントはアルファによく似合っていて、よく引き立てていた。小さめに飾られた宝石はアルファの瞳とよく似た色をしてる。名前、なんていったかな。
「そう、ありがとう」
大事そうに手でペンダントを包むアルファ。気に入ってくれたみたいでなによりだ。
「それじゃ、帰ろうか」
「……ええ」
まあ、なんだかんだで結構楽しめたかな。アルファも楽しめたみたいだし、良かった良かった。
「私もいつか、貴方の横に。そうすれば……」
「どうかした?」
「ううん、なんでもないわ」
「そう?」
「そうよ」
み、みなさん。クリスマスプレゼントは楽しんで頂けましたか? 私も、勇気を出してプレゼントを渡すことができて良かったです。これからも、私なりに努力していこう、うん!
それではみなさん、いいクリスマスを!
恋愛みたいな要素が
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みたい
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別にいい
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そんなことよりマグロナルド食べたい