シャドウガーデンと共に楽しい日々を   作:陰の実力者になれんかった

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明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

それでは日常編、どうぞ。


初日の出

『初日の出』

 

 

 

「年末年始といえば何かなぁ」

 

 シドが突然そうボヤく。

 

「年末年始か。世間では大掃除、除夜の鐘、年越しそば、年賀状、おせち、初日の出に初詣……他にもあるが、代表的なものはこんなところか」

 

 年末年始といえば? と聞かれれば色んなものを思い出すだろう。だが大体この辺りのものはやった事がある、という人が大多数だったはずだ。私はほとんど経験が無いから何とも言えないが。

 

「あー、あったねそんなの。年賀状が毎年面倒だったなぁ」

 

「年賀状はこの世界には無いから、安心していいんじゃないか」

 

 年賀状など存在しないのだから、送ることも送られることもない。もしあるのならどれだけの時差が生まれるのだろうか。

 

 ふむ。郵便。やはり利用できるかもしれないか。だが、実行するとしても、彼女が来てからの話だな。

 

「送ってくる人いないもんね。でもなにかやりたいような」

 

「つい先週ぐらいにそれ言ってたぞ」

 

 クリスマスの時も似たようなことを言っていた。いつもの思い付きと言って差し支えない。

 

「うーん、でもやれるのって大掃除と初日の出ぐらいかな。そばもおせちもないし」

 

「今はそれくらいだろうな。今は」

 

 数年後には再現に全身全霊をかけてる奴がいるから、そいつに任せればいいのではないだろうか。

 

「今は?」

 

「あら、2人とも来てたのね」

 

 シドが疑問を呈すると同時にアルファが家の中に入ってくる。外に採取に行っていたらしく、持っているカゴの中は山菜と木の実や果実が入っていた。

 

「アルファ、大量だね」

 

「そうね。でも猪とかは居なかったわ。もう冬眠してるのかしら」

 

「冬だからな。そういった種もいるのだろう、ここには」

 

 猪は冬眠しないのが普通だが、この世界には一部冬眠するものがいる。どういった生態なのか調べてみたいところだが、そんなことをする余裕は今はまだない。

 

「この森は不思議な植生をしているものね。生物もそうなのかも。ところでさっきまで何を話していたの?」

 

「少し広義的だが、年末年始についてだな」

 

「それがどうしたの?」

 

「どうした、という訳ではないんだがな」

 

「なにかやりたくなってさ。そうだな……今回は何もしなくていいかな」

 

 なんという矛盾だろうか。速すぎる。

 

「即矛盾してるが、そのこころは?」

 

「別に大喜利じゃないよ……。思い出して懐かしくはあったけど、別にやりたいことはないなって」

 

「そんなものか」

 

「そうそう」

 

「じゃあいつも通りでいいのか?」

 

「うーん……やっぱり初日の出ぐらい見てみようか。アルファにも見てもらいたいし、今しか見れないかもだしね」

 

 手のひら返しが凄いな。既に何かが芽生えて? いや、そんな訳ないか。

 

 今しか見えないなんて意味深なこと言ったら、アルファが変な反応しかねるんだが。

 

「初日の出……」

 

「初日の出っていうのは、新年の初めに昇ってくる太陽のことだよ。あれはあれで綺麗なんだ。僕はどちらかといえば月の方が好きだけど」

 

「それは知っているけど、わざわざ注目することは無かったわね。そうすることが出来なかったとも言うけれど。あなたが言うほどなら、一度目にしてみたいものね」

 

「そうだね。じゃあそこの山の頂上にでも行こうか。この辺りじゃ一番高いし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大晦日。特に示された日ではないが、そこそこ早い時間から全員が集まっていた。

 

「みんな今日早いね」

 

「俺はなんとなくだが、それを言ったらシドもだろう」

 

「私からしてもそう思うわね」

 

「二人して酷くない? 僕も忙しいんだけど。というか、君はなんでいつも早いのさ。滅多なことじゃ遅れることもないし」

 

 そう言ってジトっとした目で見てくる。そんな目で見られても束縛が少ないからとしか言えないのだが。

 

「……私は自由度が高いからな。束縛が少ないとも言える」

 

「そういえば聞いたこと無かったけれど、あなたって何者なの?」

 

「……さてな。知りたいのなら、調べてみるといい。私もそれなりに防諜しよう」

 

「なんでさ。教えてあげればいいのに。ゼロは──」

 

「それだと面白くないだろ?」

 

「うーん……たしかに」

 

「成程、私の腕試しってことね。受けて立つわ」

 

「いやまあそうなんだが……そんな挑戦者みたいなオーラを沸き立たせなくてもいいんだがな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ年明けたかな」

 

「正確な時刻はわからないが、明けたんじゃないか?」

 

「そうね。もう日を跨いだんじゃないかしら」

 

「それじゃあ、明けましておめでとう」

 

「明けましておめでとうございます」

 

「明けましておめでとう」

 

「……なんだか不思議な感覚ね」

 

「そうかな」

 

「そうだな」

 

「そうよ」

 

「そう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この辺りなら見えるかな」

 

 あれから数時間。そろそろ初日の出が見えるんじゃないかということで、近くにある一番高い山の山頂に来た。

 

「こんな所に開けた場所があるとはな」

 

「たまたま通りかかった時に見つけたんだよね。ほら、あそこの盗賊やった時の帰り」

 

 なるほど。何ヶ月か前の盗賊狩りをした時か。盗賊なんて狩りすぎてどれかまではわからないが。

 

「ああ、あれか」

 

「そうそう。それで、日の出は……あっちかな」

 

「空も明るみだしているし、もう少しかしら」

 

「そうだが……シド、間に合うのか?」

 

 初日の出が前世と変わらないのであれば、それ相応の時間に拝むことになる。そうなれば、いかにシドと言えどバレるかバレないかの瀬戸際では無いのだろうか。

 

「え? ああ、大丈夫じゃない?」

 

 本人がそう言うからにはそうなのだろうが、果たして正しく認識しているのだろうか。認識しているのならいいが。

 

「そろそろね」

 

 そう呟く声が聞こえ、日の昇る方向を向くと、丁度日が昇ってくる所だった。

 

 周りに高い建物は無く、よく晴れている。この山自体もそれなりの高さがあり、遠くまでよく見える。そのため、太陽が顔を出す瞬間もはっきりと見えた。

 

「……綺麗ね」

 

「うん。この世界ってこともありそうだけど、やっぱり山の上だから空気が綺麗なんじゃないかな」

 

 この世界で空気が汚れるようなものは少ない。大気汚染なんて言葉もない時代だろう。地上でも充分良い空気だが、ここのような場所ではより澄んでいるように感じる。

 

「山の上は空気が綺麗……たしかにそう感じるわね。なにか理由があるのかしら」

 

「まあ、難しいこと考えずに見ようよ。見れてもまた来年なんだし」

 

「それもそうね」

 

 ゼロは、この世界に来てから初めて見た初日の出はとても綺麗なものだったと、隣同士並んで見ているアルファとシドを横目に思ったのだった。

 




 イータとゼータが入った掘り炬燵が欲しい。そう思ったあのイラスト。今の書いている時刻はとんでもないですが、私はギリギリ元気です。
 コミケなんかもあり、陰実の本が無かった(現地での当社調べ。あったらすみません)のは少し残念でしたが、楽しかったですね。個人的に欲しかったものも買えましたし。

 当分更新が止まりそうですが、まだまだ書いていく所存です。イータゼータとかかわいいとこみてぇなぁ?勿論他の七陰等も。あと人間組もいますし。今の所七陰と主人公組以外出てないってマ?

 さて、今年も良い1年になることを願っています。

それでは皆さん、また次回!

恋愛みたいな要素が

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  • 別にいい
  • そんなことよりマグロナルド食べたい
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