シャドウガーデンと共に楽しい日々を 作:陰の実力者になれんかった
陰実の二次が増えて嬉しい今日この頃。この作品では表現出来ないものもあっていいなぁと思いました。また別の作品……さすがになぁ。やっぱアルファ人気ですね(ボソッ
私も方向性は違くとも全員(七陰以外も)書こうと改めて誓いましたね。だって全員見たいもの。やっぱり可愛いは正義。
※順番をミスしていましたので修正しました
それでは本編どうぞ
夜。例の作戦のため、指定地点への道を急ぐ。
ディアボロス教団のアジトと断定したその場所へたどり着くと、既にシャドウ以外の全員が揃っていた。
「遅かったか?」
「いいえ。遅いというよりは予定丁度、といったところね」
アルファの後ろにはシャドウガーデンのメンバーが揃っている。例外はいるものの、どこか緊張した様子が見える。
「あ、ゼロも来てたんだ」
「来たのね、シャドウ」
観察していると、シドもこの地点に到着する。他のシャドウガーデンのメンバーはシドの登場にザワついている。
「シャドウ。ディアボロス教団の事もあるが、お前の姉が関わっているんだ。あの人は重要な人物だとわかっているだろうな」
色んな意味で。しかし間違いなく、今後重要視しなければならない人物。
「まあ、姉さんならきっと無事だよ。でも……」
そう切るとシド、いやシャドウは自分の魔力を可視化させ、漲る自分を演出する。一度顔を隠す徹底ぶり。仮面を着け、服装もスライムを利用したものに変わり、シャドウガーデンの主、シャドウとしての姿となる。
「今宵は、少しばかり本気を出すとしよう……!」
「さすがシャドウ様……!」
「相変わらず、凄まじい魔力です」
「ボスなら当然なのです」
口々にシャドウを称賛する面々。初の対幹部だというのに、不安はどこかへ吹き飛んだらしい。シャドウを敬する彼女達にはこれ以上ないほど心強い存在だろう。
「私は先に行く。アルファを中心に支部へ強襲を仕掛けろ。ゼロはその補佐だ」
そう言って走り去るシャドウ。敵のアジトはそちらの方向ではないが、通路はそちら側に伸びていてもおかしくないと言えば、フォローになるだろうか。
他の面々は気付いているかわからないが、平常運転なシャドウには感嘆を覚える。
「わかったわ。シャドウガーデン、只今より強襲作戦を開始。各自予定の配置につきなさい」
「「「「「「はい!」」」」」」
「ゼロはどうする?」
ここは大人しくアルファ達に着いていくことにする。むしろ今は傍観せねばならない。ここから先、何がどうなるのかわからないのだから。
「私は君達に着いていくが、手出しはそれなりにしておこう。シャドウの考えは読めたからな」
「そう。ならバックアップを頼むわ。万が一の為にもね」
「了解した」
そうしてシャドウガーデンのメンバーと共にアジトへ向かう。ディアボロス教団との戦いが、これから始まる。
とある牢屋。その中には鎖に繋がれた少女とその少女と対面する男がいた。
少女を拘束する鎖は、魔封の鎖と呼ばれるもの。その名の通り魔力を一定まで封じるもので、魔剣士を含め魔力を持つ者に使用される。
「これはこれは。中々愉快な格好をしていますねぇ、クレア・カゲノー」
少女は就寝中に連れ去られたからか、薄いネグリジェ姿のまま。美しいその身体の両腕には重々しい鎖が繋がれている。
「そういうあなたは、随分野暮ったい服を着ているのね」
「ははは、口も悪くないようだ。拘束されているのに元気なものです」
そう言って男はクレアに近づく。まるで警戒していないというその動作にクレアは警戒を示す。
「あなた、昔どこかで見た事があるわ。あれは、そう……ブシン祭」
「ほう? ブシン祭とは懐かしい。あの頃はまだ若かった」
どこか懐古するように言うその男は牢屋内を何歩か歩く。その足取りにブレは無い。
「決勝大会、その準決勝に現れず不戦敗になったあなたは……そう、ジャーヴィス子爵」
「いやはや、ご明察だね。これでも君が幼い頃の話なんだが、まさか知られているとは」
「当然。ブシン祭のことは昔から狙っているの。あなたが何故準決勝の舞台に上がらなかったのか。そしてそのまま行方を眩ませていたのか、興味が湧くわね」
そう不敵な笑みを浮かべながら話すクレア。
「君には決してわからない。いや、知ることすら出来ないと言った方が正しいですか」
「それは、どういう意味?」
怪訝な表情を浮かべるクレア。
「君にはもうその未来がないという事です。既に閉ざされる事は確定している」
そう言って子爵はクレアに無防備に背を向ける。
「それはどうかしらね」
そう言ってクレアは鎖の許す限り子爵に近づき、首筋を噛み切ろうとする。
「おお、怖いねえ。ただの鎖では無いというのにそこまで動けるとは。その鎖では、君の魔力は抑えきれないのかも知れないね」
子爵はクレアを見ずに一歩ずれ、その反動でクレアを蹴り飛ばす。
「おや、随分と頑丈なようだ。どこでその量の魔力を持ったのかな? 参考までに教えてくれると嬉しい」
蹴り飛ばされ、壁に激突したはずのクレアはほぼ無傷でそこに立っていた。その目には、未だ衰えず戦意が浮かんでいる。
「魔力は量ではなく使い方だと教わったわ」
「ふむ? 君の父にそんな技量は無かったと思うのだけどね」
「あのハゲ? そんなわけないでしょ。弟に教わったの」
「君の弟と言うと、シド・カゲノーか」
「ええ、生意気な弟よ。戦えば必ず私が勝つわ。だけど私はいつも弟の剣から学んでいる。なのにあの子は私の剣から何も学ばない。だから毎日いじめてやるの」
クレアは悪戯っぽい笑みでそう言った。
「それは怖い。では、私はさしずめ怖い姉から彼を救った恩人となる訳だ。もっと話をしていてもいいのですが、時間も迫っているのでね」
そう言って子爵はクレアを見据える。
「クレア・カゲノー。最近になって身体に異常はあったかな? ピンと来ないならば、魔力が扱い辛い、制御が不安定、魔力を扱うと痛みが走る、身体が黒ずみ腐りはじめる、この辺りの症状に覚えは?」
「急にどうしたのかしら。わざわざ私を連れ去って、やることは医者の真似事?」
クレアはそう言って笑った。
「そうかもしれないねぇ。男爵とはいえ、貴族の娘を連れ去ってやる事が医者の真似事。そんな酔狂な人物が私かもしれないよ」
「まさか。もしそうなら嬉しかったわね。きっとどうにかなるもの。でも、いいわ、答えましょう。今は何ともないわ。鎖に繋がれてさえいなければ快適そのものよ」
「ふむ、ではそのような事はあったのかな?」
「ええ、今は。1年ぐらい前かしらね、あなたの言った症状が出ていたのは」
「自然治癒なんて有り得ないはずなのですがねぇ」
子爵の知識、記憶に『それ』が自然に治ったという例は存在しない。
「……あ、そうそう、弟にすとれっち? だったかしら。それの練習させてくれとか頼まれて、終わったらとても調子がよくなっていたわ」
「すとれっち? 聞いたことがありませんねぇ……。ですが症状が出ていたということは、事前の調査通り適合者で間違い無さそうです」
子爵は部下にさせた調査の結果を思い出しながら合致させる。
「適合者……? どういう意味よ」
「貴方は知る必要のないことですよ。知ることも許されないでしょうけどね。ああ、君の弟も……」
子爵がそこまで言葉を発した途端、子爵の身体が扉の方へ吹き飛ぶ。
「くっ、何故右手が……」
両手首を拘束されていたはずのクレアが子爵を殴り飛ばす。
子爵が彼女の右手首を見ると、拘束されていた部分から血が流れていた。
「手の肉を削いで、鎖を外したと……!?」
クレアを拘束していたのは魔封の鎖。故に彼女は純粋な筋力で自らの手の肉を削ぎ落とし、骨を砕き拘束を外し、子爵を殴り飛ばした。
子爵は、想像を超えるクレアの抵抗に驚愕する。
「あの子に何かあったら、絶対に許さない! お前も、お前の愛する人も、家族も、友人も、全て残らず殺してっ……!?」
子爵が全力でクレアの腹を殴りつける。魔力で強化されたその一撃は、クレアの気を失わせるのに充分だった。
「ふう、とんでもない逸材かもしれませんね……ですが、まずは血を……」
子爵はクレアの突然の抵抗に不意をつかれたが、一撃でクレアを沈めて、彼女の流した血を採取しようとする。しかしその時、この牢屋に繋がる階段の方向から慌ただしい足音がする。
「ジャーヴィス子爵! 侵入者です!」
「侵入者? この場所がバレたと。その者達はどこの手の者ですか」
「それが、一切不明です。符合する組織がありません! また、敵は少数ですが我々では全く歯がたちません!」
「それは、面倒な事になりましたねぇ。私も出ます。貴方達は守りを固め、逃げ道を塞いでください」
子爵はそう言って牢屋を出ていった。相手は誰なのか、知りうる情報から探しながら。
ここから原作との乖離が本格的に始まっていきますね。疑問はその内解決されるでしょう。こうなった理由はアニメを見た人なら皆思った筈です……「あっ、ふーん」って。
それではまた次回!