楽しんでくれる人がいれば幸いです。
楽しんで行ってください!
―――私を殺しなさい―――
―――はい…―――
―――ごめんなさい…あなたにはぐれの烙印を背負わせてしまうわ…。
願わくば…私の下僕たちに幸福のあらんことを…悪魔だからって…祈っちゃいけないわけじゃないわよね?最後だし…―――
―――ええ…別にいいと思いますよ?―――
―――そうよね…最後だし…ね―――
―――さようなら…俺の主…そしてごめん…守れなくて―――
―――謝るのはこちらの方よ…。ええ、さようなら…私の愛しい愛しい下僕たち…―――
紅い、赤い、朱い…美しく鮮やかな鮮血が俺の手に、体に飛ぶ…。
この血は彼女のもので…今俺が消した命は彼女のもので…。
そう、俺はこの瞬間から…『はぐれ』になった。
あなたにはぐれの烙印を背負わせた私が言うのは何かおかしいかもしれない…こんなことを願う資格はないのかもしれない…。
けれど…あなたは生きて、楽しんで生きて…。
でもね、たまには、私みたいなのもいたって…思い出してね。
ドゴォッ!!
という、爆音とその衝撃によって俺の意識は覚醒した。
どうやら夢を見ていたようだ。懐かしい夢じゃないか…まったく。今更こんな夢を見るなんてな。
っと…そんなこと考えている場合でもないみたいだな…。そう思いながらゆっくりと立ち上がる。
まだもうちょっと寝たりないが、あの夢を覚ましてくれたことには感謝しようかな…。
なんて呑気に考えているが、どうやら俺は攻撃を受けているらしい…。らしいというのは、正直攻撃が痛くもかゆくもなくて、本当に殺す気あるのかって言うレベルだからだ。
何度も何度も魔法が飛び、それによる爆撃と衝撃で俺はたたき起こされたみたいだ。
俺を狙っているようで、何度も何度も直撃しているが、痛くない…。このままもう一眠りしたいが、この爆音がうるさくて寝るに寝れない…。
「ぜ、全然効いてない…?」
黒い翼を背中から生やして飛ぶ少女は驚愕に染まった顔で俺を見ながら言った。
いや…そんな驚かれても…。
悪魔…か。そういえば、襲われるの、久しぶりだな…と言っても三日ぶりってだけだけどさ…。
「おいおい…寝ているときに爆音でたたき起こすなんて、ずいぶんと鬼畜だね、お嬢さん」
笑いながら俺は歩く。
少女は何度も何度も攻撃続ける。爆音が響き、地がえぐれるが、そんなことはどうでもいい…。
問題はどうやって彼女を傷付けずに逃げるかだ。
いやまあ、普通に逃げりゃいいんだけどさ…。
爆撃されながら正面を向くと、何人かの悪魔が武器を構えて立っていた。
「ふむ…一人の悪魔の眷属が何人か来ているのかな?でも、主は来ていないようだ…。まぁ、お疲れさんと言っておこうかな…取り合えず、お休み」
俺がパチンッと指を鳴らすと俺に魔法を連発していた少女も、俺を見て武器を構えていた悪魔たちもみんな一瞬で眠ってしまった。
魔法を連発していた少女は上空にいたので落ちてきてしまう…それをしっかりと受け止め、優しく下ろす。
眠った少女をここに放置というのも気が引けるが…起きた後、また襲ってくるだろうし…。悪いけど、逃げさせてもらおうかな。
主がいなかったから楽に終わったが、主…というか、王は上級悪魔だから、ちょっと面倒なんだよな…相手するの。
と、まあ、こんな感じで襲われるのは日常茶飯事、いつ俺を殺せるようなレベルの奴らが来るかびくびくしている…。というのは嘘だが、まあ、眠ることもゆっくりできないので色々めんどい。
三大欲求のほとんどが解消できないのが悩み。
睡眠欲? 今日みたいに襲われます。
食欲? 準備する前に襲われます。
性欲? しょっちゅう襲われるのに解消する暇があるとお思いで?
まあ、俺ははぐれ悪魔だからな…。居場所がばれれば悪魔たちは殺すために全力を尽くすし、堕天使もよく襲ってくる。
「あー…居場所バレたなぁ…。今日からしばらく、一日一回は襲われることを覚悟しようか…」
後ろ髪をかきながら呟く。
次はどこに逃げようかなぁ…。
正直、行くとこないんですよ…俺。
まぁ、魔王級の奴らとかが殺しに来ないだけましだよな!最上級悪魔とか来られたらちょっと面倒だ。
ただのはぐれ悪魔討伐に魔王なんて来るわけないけどな。
まぁ、魔王に知り合いとかも…いるけどさ、はぐれる前に出会った知り合い。はぐれになってから会ってないからかなり長い間会ってないけどさ…。
まだ、死ぬつもりはないからな。もし襲われたら全力で逃げるさ…。
本当に…どこ行こうかなぁ…。ま、移動しながら考えるとしようかなぁ…。
そういえば…近くに面白い学園が合ったな…そこに行ってみようか?
確か名前は…駒王学園、グレモリー家次期当主のいる学園…。
あれ?これって行ったら襲われるフラグじゃね?
それかいっそのこと自分がどこまでやれるか確かめるためにちょっと無理してみるかな?
とか実行することもなさそうなことを考えながら少し笑いながら進む。
次は何をして楽しもうか…。
どこへたどり着くかもわからず、彷徨い歩く。いつか悪魔や堕天使に狩られることがあるかもしれない…けれども歩く。
なぜって?どこに隠れていようが同じならば、せいぜい楽しんで死にたいから…。
そして、そう簡単には死ねない『生きて』と言われたから、主にそう言われたから…。
主の最後の命令くらい…いや、主の願いくらい…果たしたいから…。
楽しく笑って、いつも楽しんで…たまに主を思い出す。
そして存分に泣こう…存分に悔やもう…。そしてまた笑おう、楽しもう…。
そうさ、はぐれの烙印と主殺しの後悔を背負ってなお笑って楽しんで生きるのさ…。
はぐれ悪魔、転生により下僕悪魔となったが、強力な力に溺れて主を殺し、お尋ね者となった悪魔。契約の有無とは無関係に人間を襲う、極めて危険な存在でもある。
一部の例外はあるが、基本はそういう存在…。だからこそ悪魔も堕天使も狩りにくる。
これは、そんなはぐれ悪魔のうちの一匹の物語…。
更新は不定期です。
感想をくれるとやる気が出ます(笑)
次話は…いつかはわかりませんが、オタッシャデー!