おはよう鈴里君。
ふふっ。
私のほうが先に目が覚めましたね。
ちょっといたずらしたくなったものですから。
ほっぺたをつっついたり、軽くつねってみたりしてしまいました。
それでも起きないんですもの。
やはりとは思いましたが、結構疲れていたのですね。
今日はしっかり眠れましたか?
昨日はなかなかに激しい夜でしたから、疲労が残ってないと良いのですが……
疲れが取れてないようでしたら、私が学校とか仕事に行ってる間に休んでいてください。
私と一緒にいるときは、快活な鈴里君であって欲しいので、わたしが帰ってくる頃には万全の状態で居てくれると嬉しいです。
言ってる意味は、わかりますね?
宜しい。
なら、朝ごはんにしましょう。
今日は洋食にしてもらいました。
実家では和食が出るほうが珍しい位に洋食を食べるのが当たり前の生活だったので、偶にはトーストとバターが恋しくなるのです。
ほんとは毎日でも食べたいのですが。
まあ、鈴里君の好みに最大限合わせたいというのが私の願いでもありますので。
必要経費、というものでしょうかね。
さあ、早く準備を済ませて下さい。
朝食の準備は出来ているはずですから。
(場面転換)
ほら、口を開けてください。
あーん。
ふふっ。
どうですか?
美味しいと思いませんか?
そうですよね!
やはり朝食といえばトーストとはなりませんか?
バターとカリカリのトーストが合わさって絶妙な味になるのです。
私としてはもっと食べたいのですが、考えを改めてはくれませんか?
偶に食べるなら良い、ですか。
でも、頻度を上げても問題はありませんよね?
週に3回くらいだったら、飽きの来ない程度に楽しめると思うのですが、いかがでしょう?
――それもそうですね。
洋食だとふたりでシェアして食べられるものが少ないのはその通り。
一緒にこうやってご飯を食べるのも洋食より和食のほうが時間がかかっていい、ですか。
そこまで言われたら仕方ないですね。
これまで通り週一回に留めておきましょう。
でも、しっかりご飯のときは恥ずかしがらずにぴったり身体を密着させて下さいね?
鈴里君とのスキンシップは学校に行ったり仕事に行く原動力とかモチベーションにつながる大事なことなんです。
これがないと一日が始まらない気さえするようになったんですから、責任を持って私に英気を与えて下さいね?
だから、ね?
そうです。
それでいいんですよ。
最近は結構従順になってきたようですが。
前みたいに反抗的になったら、またあの部屋に送り込まないといけません。
私も鈴里君と出来るだけ一緒に居たいし、鈴里君も怖くて寂しい思いをしたくないでしょう?
そう、よく言えました!
鈴里君は私が居なきゃ生きていけないんですから。
しっかり私の言うことを聞いておかないといけませんね?
ほら、口にパン屑が付いてしまいました。
何をすれば良いんでしたか?
そう、その調子です。
ほら、きれいに舐め取らないと。
――はい、よくできました。
板について来ましたね。
私、今とっても幸せなんです。
鈴里君もしっかり私を見てくれるようになって、ちゃんと私のやって欲しいことをしてくれる。
私無しじゃ生きていけないって自覚が芽生えて、定着してきたからでしょうか?
今までは嫌々やってるように見えましたが。
こんなに早くお利口さんになるとは嬉しい誤算です。
でも、ほら。
前みたいに、私を欺くためにしている演技だとしたら。
そう考えると非常に腹が立ちます。
言葉であればなんとでも嘘をつくことが出来ます。
態度であっても、ある程度嘘をつくことが可能です。
今回ばかりは心の底から、自分の意志で、そうしているんですよね?
――分かりました。
今回ばかりは、鈴里君の意志を尊重しましょう。
今回は、信じます。
でももし、また前みたいにここを抜け出そうとしたり、反抗的な態度を取ったら、分かりますね?
では、朝食はここまで。
今日はあまりスケジュールも詰まっていませんから、早めに、夕食には間に合うくらいには帰ってきますので。
いい子にして待っていて下さい。
では、身支度をしてきます。
(場面転換)
それでは行って来ます。
うん?
家を出る前に、何をするんでしたっけ?
そう、それです。
忘れていたんですか?
しっかりと教え込んだつもりたったんですが。
忘れていた?
まあ、良しとしましょう。
では、気を取り直して。
行って来ますのキス、です。
よく出来ました。
では、また夜にお会いしましょう。
行って来ます。
(場面転換)
どこに居るかと思えば、まだ寝室で寝ていたんですか。
全く。
英気を養うように、とは言いましたが、私が帰ってくるまでの話です。
家主が帰ってきたのですから、出迎えるのが道理でしょう。
今日も激しくしますので、覚悟しておいて下さい。
意識が飛んだとしても、叩き起こしてやりますから。
悪循環になる?
関係ありません。
私としては、貴方を私で一杯にできれば、それでいい。
それの程度の問題であって、受ける貴方の側の強度など気にするものではないのです。
さて、気を取り直して夕食にしましょう。
今日は板前を呼んで寿司を握ってもらうことにしました。
寿司こそ沢山食べるものですから、食べ合いっこがしやすくて良いでしょう?
さあ、行きますよ。
体が重い?
まだ寝足りない?
問題外です。
お前達。
連れていきなさい。
(場面転換)
楽しかったですね。
鈴里君に魚の知識があって良かったです。
食べるネタについて色々教えてもらって、知識欲と食欲を同時に満たすことが出来ました。
板前もそれなりの腕前でしたから、そこそこ美味しかったですね。
今度は家の行きつけの店の板前を京都から呼び寄せましょうか。
しかし目論見通り食べさせ合うのに向いていましたね。
自然と相手に食べさせることができるとは。
寿司を食べる頻度を月一位にしておきましょうかね。
美味しいですし。
さて。
お話もこれくらいにしておきましょう。
夜も更けてきました。
先程言ったことは覚えていますか?
明日はスケジュールを上手くやりくりして全休にしてもらいました。
明日のことは気にせず出来ますので、全力で行きますからね。
そんなに怯えなくても結構です。
あんまり怒っていませんから。
ただ、まだ鈴里君を追っている女が居ると聞いたものですから。
魔性の男ですよね、鈴里君。
皆を誑かすだけ誑かして。
ほんとは私というものがあるのだから、そもそも相手にもならないのに。
鈴里君の意見は聞いていません。
友人関係だろうが、それ以上の関係だろうが、多少見知っただけの関係だろうが、女は女です。
何をしでかすか分かったもんじゃない。
どうしようかと思っていますが、まあ、そのうち気にならなくなるでしょう。
それでも詮索するようだったら、対策を講じなければなりませんがね。
さて、話を本筋に戻しましょうか。
今日は朝までゆっくりと、或いは激しく。
時間はたっぷりありますから、お互いが混ざり合うくらい、自分と相手の境界が有耶無耶になるくらい、ぐちゃぐちゃになるまでしますから、覚悟して下さい。
愛していますよ、鈴里君。