ぼっち・ざ・ろっく! ひとりだけの満月ーフルムーンー   作:璃空埜

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アニメ最終回……最高でした

2期やって欲しいなぁなんて思うクリスマスの夜


Sing-2 I"ll be backーⅡ

なんというか、まー俺が予想していた通りの結果となった初セッション。

結果……

 

「ねぇぇ!出てきてー!本番始まっちゃうよーっ!」

「きょっ今日のところはお帰りくださいーっ!」

「ここあたしの家なんだけどーっ!?」

 

可燃ごみ箱という殻に入るひとつむり(ひとり+かたつむり)が生まれてしまった。あーいや、かたつむりっていうよりも貝の方があってるか?ひとり貝?いや、ヤドカリっぽいしひとりかり……いやこれはねーな。

ともあれ、後藤の心がブレイク寸前まで追い込まれる事態となり申した、はい。

どーしてこんなことになったかと言いますと……

 

 ーーーーーーーー 回想 ーーーーーーーー

 

虹夏の姉にして、ここ……ライブハウス『STARRY』の店長が買い出し行ってしまったこともあり、手持ち無沙汰となった俺は乗りかかった船というわけで、虹夏たち3人の本番前練習に付き合うことにしたんだが…

 

「これ、今日のセットリストと楽譜楽譜(スコア)

「あ、あのっ、バンドメンバーは……」

「これで全員だよー、あたし達今回はインストバンドだから」

「あ、あれ、北条さんは……」

「俺はー…「ミツキお兄ちゃんも、もちろんメンバーだよ!」……だそうで。ま、そんなことあって欲しくは無いが虹夏の代わりにドラムするくらいだな」

 

「あっ……」と残念そうにする後藤……やめて?お前さん、“あの子”と瓜二つだから、そんな顔されると俺キツイんだ。

 

「そ、それで、だ。後藤的には演奏出来そうなのか?」

「あっ、え、えっと……」

 

バツが悪くなって、とりあえず今優先すべきことへ誘導させる。(この埋め合わせは、いつかしないと……)して、促された後藤は少しの間手渡された楽譜(スコア)へ目を通し……小さく頷く。

うん、どうやらやれるようだ、良かった良かった。なんかゴリラみたい胸ドンドン叩き始めたのはびっくりしたけど。

それから、楽器を用意し始め……!?

 

「ごっ、後藤?」

「え、あ、はっはい!」

「そのギターって……」

「あ、こ、これはその、お父さんので……」

「……あー……なるほど」

 

まじかー、後藤のお父さんよく借してくれたなーそのギター。それだけ娘さんが音楽の道を歩んでくれるのが嬉しかったのか、後藤が愛されてるか……。ともあれ大切にして欲しいな……そのギターは……。

俺の質問に少し首を傾げた後藤だったが、再びギターのセッティングへと戻る。……と、その直後、自身のセッティングは終わったのか、楽器に目がないリョウがすすーっと俺の傍にやってきた。

 

「あの子のギター、そんなに高価なの?」

「……まぁ、な。ロゴ見るに会社はギブソン社で、恐らくレスポール・カスタム……。んで、色が黒ってことは、ブラック・ビューティーで間違いないと思う」

「……へぇ」

「……釘刺しとくがお前の小遣いだろうと、そうそう簡単に買える代物じゃないからやめとけ?」

 

ちょっとだけ解説をすると、ブラック・ビューティーってのは「タキシードに似合うギター」をコンセプトにドレスアップが施された特殊仕様のギターで、コピー製品ももちろんあるけど……ピックガードにギブソン社のロゴシール貼ってあるし……恐らく本物。んで、中古品だとしてもウン十万かかるめちゃくちゃ高価な逸品だ。

……それをまさか2ヶ月前まで中学生だった子が使ってるとは。流石にびっくりして、思わずどもっちまったわ。

……そのついでに、も1個“ある事”の確定的な関連性出てきたけど。

 

「よし、早速だけど頭からやってみよっか!まぁ、最初だし初めの方はゆっくりめで、そのあと徐々に合わせていく感じで」

 

そんなことを考えているうちに虹夏の声がかかりそれぞれ己の楽器やらを構える。

……俺も一旦考えをこっちに戻すか。つっても……まー、予想というか結果は見えてるんだけどさ……。

 

「それじゃ行くよー」

 

虹夏がスティックを鳴らしてスリーカウントをとり、セッションが……

 

言葉にするのなら、後藤が大暴走をかまし、ほか2人が置いてかれるという……即席バンドだとしてもボロッボロなセッションが始まった。

 

んで、その結果……

 

「……ド下手だ」「ぷぅー」

「ヴゑ゛ーーー……?」

 

こうなる訳でして。

虹夏はおそらく本音が出ちゃったんだろうなぁ。

後藤に至っては『ど、どうして……?』と顔にありありとでつつも、真っ青になってる。

 

「うん、まー……俺のよそーどーりだったわ。いや、しかし、ここまで予想通りになるたぁー思ってなかったけどさー、ははは」

 

にしても、流石にこの出来は笑っちゃうしかないね。

俺の言葉にぐるりんと、取れてしまうのではと思うほどに首を回してこちらを見てくる後藤……いや、絶望の瞳と相まってかなり怖いってばよ。

 

「あー……っと、とりあえずなんでこうなったかってのを、俺の推測で話すけど…」

 

座っていた椅子から立ち上がり、スタジオ備え付けのホワイトボードを、3人に見える位置にまで引っ張ってくる。そして、そこにとある図を描きながら話を始めた。

 

「まず、初めに言っとくが後藤は決して下手では無い」

「え、でも……」

「“後藤個人、たった一人での演奏技術”だけ限定したと言う話で、な」

「……というと?」

「さっきから見てるに、後藤は経験はあるんだ。それに、ボロッボロだったとは言えど、その所々にはちゃんと努力の跡が……それも数日数週数ヶ月じゃない年単位のが見え隠れしてた」

 

そう話しつつ書き終えた図を3人に見えるように、横にずれると腰にさしてあるスティックを引き抜き、それを指示棒代わりにして、その図を指し示す。

……図って言っても三角に上から『A~E』を順にふっただけの……生態ピラミッドとかの略図モドキなんだけど。

 

「なにこれ?」

「簡単なランク表ってやつ。して、まず個別の腕で評価するとするなら後藤A、リョウA、虹夏Bと仮定する」

「なんであたしがいちばん低いのさー!そりゃそこまで上手くないけどさ……」

「気にすんなって、あくまで仮定だ、仮定。それに!俺らが鍛えた虹夏が下手なわけあるか」

「お兄ちゃん……!」

「だが今はそれは置いといて……そんな人らがバンドを組むとするなら、低くてもBぐらいには落ち着くもんだ。だが……後藤」

「へ、あ、ひゃぃ……」

「後藤は誰かの前でなり、誰かと一緒にギターをやった事は?家族は抜きで」

「あ……な、ない……です……」

「だろうな。後藤は所謂コミュ障ってのであまり人とは話さない、話せないっちゅうところがある。時間もないし色々すっとばすがそれ即ち……」

 

そこまで話したところで図の『A』の所に丸をつけて、矢印を下に向けて引き、最下層の『E』の位置に丸をつける。

 

「“誰かと合わせる”ってことが出来なくなり、実力の半分どころかウン十分の一も出せなくなっちゃって、後藤の腕のランクも激落ちしちゃう訳。そーすれば言わずもがな、よ」

「あぁ〜」

「……そうです、私がプランクトン後藤です…」

「なんか売れないお笑い芸人みたいな人でてきた!?」

 

真っ白となった上に物語が終焉を迎えたような顔の後藤は、床に倒れてなんか変な格好をしてそんなことを呟き……

 

 ーーーーーーーー 回想 終幕 ーーーーーーーー

 

……そして、現在に到る。

 

「しょうがないよ、即席バンドなんだから。さっきも言ったけどあたしもそんなに上手くないし……」

「私はうまい」

「追い討ちかけんなアホ」

「へへへ、へへへへへへ……」

「とりあえずこっち向いてー!現実逃避しないでー?」

 

だいぶでかいダメージが入ってしまったようだ。

しっかし、困ったな……。何とかして後藤が安心して演奏できるようにしないと………けどもなぁ、圧倒的に時間が足りない。

……過去の経験から察するにーこのままだと、『ハッハラキリショーって実にロックだよね……あはははは』とか言い出しかねん。ちなみに、そういった張本人は実際にそれを勢いよくやった結果、2日ほど腹痛で寝込んだ。誠にアホである。

それはそれとして、目下の問題はどうやって後藤に演奏してもらうかってこと。このままだと話の流れ的にワンチャンまたの機会にってなりかねん。リョウなりにフォローはしてくれてはいるが……ベースで人を叩いても“ポム”なんて可愛い音はしません、虹夏もロックを免罪符にするんじゃありません。とりあえず、ここは……

 

「後藤、普段はどんなところで演奏してるんだ?」

 

合わせることは難しくとも、後藤がのびのびと演奏できる環境を……

 

「あ、えと、お、押し入れとか……暗くて、狭い場所で……」

 

……ライブハウスのステージ上で暗くて狭い場所作れと……?

…………作れはしないけど、作れはしないけど、さ……。今思い浮かんだこの案だけは……いやだ。簡単に出来るし楽だけど、同じバンドマンにこれをやらすのはちょっと……

 

「それなら、これに入って演奏すればいいんじゃない?」

 

俺が悶々としている間に、リョウが持ってきたのは『完熟マンゴー』と書かれている大きめの空きダンボール箱。

 

「リョウと同じ思考になったってなんかヤダな……」

「変人になる?」

「なるかボケ。して、そんなん置いて演奏していいんか……?俺個人としては、後藤が惨めになっちまうから「神様……」やりたくねーんだけどさ」

「今はそういうことより演奏優先。どうかな?」

 

そらそーだけど……。てか、ますます後藤は俺の事神様扱いしてきてない?まんざらでもないけどさ……そんな風にされる男じゃないんだよな俺…疫病神ってならあってるけど。

しっかし………他に手立ても思いつかないし、時間も差し迫ってるし……後藤には、ほんとに申し訳ないが、その手で行くしかないな。

そうして、リョウと一緒に彼女の持っているダンボール箱と同サイズのものをもうひとつ用意し、縦に繋げて公衆電話ボックスのようなダンボール個室をすぐに作りあげ……あぶね、顔出したりする用の窓も忘れずに作っておかねーと。して、完成したその『完熟マンゴー』ダンボックスへ後藤を投入してみると……

 

「いっ、いつも弾いてる環境と同じです……。み、みなさん!下北を盛り上げていきましょう!!」

 

……お気に召したようで、少し気が強くなってくれた。いいのか後藤、それで……。惨めなことに気づいた時崩壊しなけりゃいいんだが……。

ただ、今日のお客のメインは虹夏の友達ばかりで、そんなに音楽やらなにやらに詳しくないのばかりだから……インパクトは残る分まだマシか?……マシであってくれ。

 

「あ、見つけた〜。北条くん、店長さん戻ってきたよー」

「分かりました」

 

そんなことをしていると、店長が戻ってきたようでPAさんが呼びに来てくれた。

 

「緊急のメンツとはいえバンドの初ライブだ。各々やれるだけやってこい」

「おk」「うん!」「ははははぃぃ……」

「んじゃ、また後でな」

 

これから演奏する3人に向かって最後に激励を送り、俺は待機室を後にする。

……はてさて、どんな演奏になることやら。

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆ Side Change To H.G ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 人生で1番輝いて…ない!!!

 むしろ人生で一番惨めかも…!!

 

そんな風に内心衝撃を受けていた初ライブ後。

こんなの私が思い描いていたバンドマンじゃない!と私は崩れたダンボールボックス内で打ちひしがれていた……。

 

「ミィスりまくった〜!」

「MC滑ってたね」「えへ」

「ま、課題は山盛りだーな」

 

そんな私を他所に、一緒に演奏した虹夏ちゃんとリョウさん、そして、ボロボロの演奏を終えた私達を優しい微笑みで迎えてくれた私の至高神北条様がちょっとした反省会をしている。

 

「とりあえず、今日の反省をする前に、だ。お前らにひとつ報告しておく」

「報告?」

「そ。さっき店長からのお達しで、正式にお前さんら“結束バンド”の専属マネージャーをやることになった」

「おおー!」

「俺も初めてな仕事だし慣れねぇことも多いがよろしく頼むよ」

 

北条様が、北条様がマネージャー……

へへ、へへへへへ……

 

「で、だ。後藤はどうしたんだあれ?流石に壊れたダンボックス内で笑われると少し不気味なんだが…」

「大丈夫、多分ぼっちはライブの余韻に浸ってるだけ」

 

は!そうだ!ライブッ!こっこここのままではっ!!

北条様が「…おい、リョウ。後藤をなぜぼっちと?」とかちょっと怒った様子で、リョウさんを締め上げてるけどそれどころじゃないっ!

 

「あ、あのっ!」

「「「ん?」」」

「つっ…つっ……つっつっつっつつつつつつつつつつつつつつつつつつ「何!?」つつつつつつつつつつ……」「何!?怖いんだけどっ!?」

「ホラー映画っぽい」

「ちょぉっとおめーは黙っとれぃ」「あて」

 

ダンボールボックスの残骸をかなぐり捨てて、一歩一歩を踏みしてめ3人の元までゆく。そして、グッと顔を上げ……

 

「次のライブまでにはクラスメイトに挨拶できるくらいまでにはなっておきまあすっ!!!」

「なんの宣言!?」「目覚しい成長、ホロリ」

 

声高らかにそう宣言する。すると……今日三度目の優しい手のひらが私の頭を撫で始めた。

 

「ちゃんと自分の悪い所に向き合おうとしてるいい宣言だ。俺も手伝えることは手伝うし、慌てずゆっくりやってこうぜ」

 

そして、かけられるのは暖かい言葉……うぅ、神様はここにいたんだぁ……。

 

「てーことは、後藤はこれから“結束バンド”に参加するってことでいいだな?」

「へっ!あっ!はいっ!」

「そか。改めて……ようこそ、“結束バンド”へ。君のことは……

 

 

……俺の命に変えても絶対に護るから」

 

 

あ、あれ?なんか今一瞬北条様の雰囲気が変わったような……?

でも……これからきっとコミュ障を改善して、ギターヒーローとしての力を発揮するんだ。虹夏ちゃん、リョウさん、そして、北条様……結束バンドのみんなのために……。

 

「よーっし!それじゃこれからぼっちちゃん歓迎会兼ライブの反省会だーっ!」

 

!?虹夏ちゃんが元気よく言ってるけど……!ご、ごめんなさい……!

 

「あっ、きょ、今日は人と話しすぎたので帰ります……」

「えっ?」

「ごめん、眠い」

「えっ?」

「しし失礼します……」「あっ、後藤、待て待て。虹夏、そのあとはまた今度な」

「えっ?」

 

虹夏ちゃんがリョウさんに気を取られた隙に素早く待機室を脱出するも、北条様も私についてきてしまった。

 

「あっ、あの……」

「送るよ。いい時間だし、こんな時間に女の子一人を返すのは俺の主義じゃないんでね。それに、マネージャーとしてそういうのを管理するのは当然だ」

「あ、で、でも……」

「気にしないで。今晩は虹夏の飯抜きだからどっかしらで食わなきゃならんってことで、どっちみち外でないとってのもあっから」

 

そういいつつ、北条様はチャリンとジャンパーの内ポケットから車のキーを取りだして肩をすくめる。

あぁ……ダメだ。この人が導く甘い甘ーーーーい道に浸かっては……浸かっては………浸かっては………!

 

「ぉぉおお願い……しまひゅ……」

 

出てきた待機室の中から「結束力全然なぁいっ!!」っていう虹夏ちゃんの叫びが聞こえてきたことなんて気にできるはずもなく、顔を真っ赤にした私はその甘い道の第一歩を踏み出したのだった……。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「いやー、にしても、まさか後藤がこっちから来てるとは」

「わ、わ、私も驚きました!ほ、北条様も同じところ出身だったんですね!」

「北条様はやめてほしいんだが……」

「そそそそそんな!神様を様付けで呼ばないのならなんておおおお呼びすればばば」

「……これから同じバンドの仲間なんだし、虹夏たちと同じように名前でいいよ」

 

「俺もひとりって呼ぶしね」なんて話す北じょ……いや、えと、みっみみみみみみみーみみみみみみーーーーーみみみつーきーさっささ……

 

「ひとりー?戻ってこーい?」

「あっ、あびゃーーーっ!!」

「……こりゃ、前途多難だなぁ」

 

みみっ、みーみーみーつーきさーーんが運転するちょっと昔の車の助手席に置いてある壊れた機械が今の私です。

は、話してみたらばびっくり、まさかまさかの同じ街出身だって言うことで、これからもSTARRYに来たり、結束バンド関係で何かある時には、恐れ多いことに毎度毎度私の家まで送り迎えしてもらえることに。

燃料代とかかかるんじゃ……って何とかそれを無くすそうとするも「経費で片付けれるから安心せい」とバッサリ。

そんなふうに宛もない話をしていた最中だった。

 

「なぁ、後藤よ」

「あ、はい!」

 

「単刀直入に聞くけど、お前さんがギターヒーローだろ?」

 

…………ば、バっばばばばばばれてぇるぅぅぅぅうぅヴぅぅ!?!?

 

「安心せい、虹夏らを含めて誰にも言ってないし、言いふらすつもりは毛頭ない。星歌あたりははやくに勘づきそうだけどな」

「や、え、あ、えと」

「その狼狽え様からして、その通りみたいだーな」

 

わぁぁぁ!こここういう時話が察せれる人(家族とみっみみミツキさん以外にはいないけど!)だとこうなっちゃうよねぇっ!

 

「あ、え…」

「俺、考察とか推理が得意でね。まず、ジャージ×ギターという組み合わせ、ギターヒーローの動画じゃそのピンク色のジャージばかりだから“もしかして”と頭の片隅では思った。だが、そんなジャージ来てる人なぞ、ごまんといるわけだしそれだけじゃ確定できなかった」

 

わ、わぁお、ほ、本格的だぁ。みみミツキさんがなんか今度は探偵っぽく見てきた…。

 

「ほんで、お前が自らの意思で急遽ギターをやってくれるってことで手を取った時、ギターを長年やっていた、努力してきた跡があったとこから、疑念を抱き始めてな。虹夏と“ギターヒーロー”の話題となった時のお前の反応、そして、ライブ前にお前さんが取りだしたギターで確信に至ったんだわ。ピンクのジャージとブラック・ビューティーなんて珍しい組み合わせ、そうそうないからさ」

「ぴゅ…」

 

こ、こっわー!みミツキさん敵に回しちゃいけないやつだこれ……

 

「大丈夫、これを誰かに言いふらしたりなんてしないからさ。でも…」

「で、でも…?」

「これからステージに立つわけだから気をつけた方がいいかもな。俺だけでなく、ギターに精通した人ならばストロークとかから分かると思う」

「あ……」

「まー、それはおいおい考えてくとしよう」

 

実力を発揮できる前に、そんなことになって欲しくないけど……。

あ、ダメだ、ネガティブキャンペーンが大安売りで押し寄せて……

 

「して、そろそろ金沢八景の近くに来るんだが……」

「あ、は、はいっ!ああ案内しますっ!」

「さんきゅ」

 

そうこうしている内に、見慣れた景色の中を車が走っていて私は慌ててミツキ、さんを家の近くまで案内する……。

……だけど、ほんとにこの人、私のことをちゃんと気遣ってくれてるなぁ。

嬉しいんだけど……だけど、なんだろ、なんて言うのかな………

 

 

“私”に“誰か”のことを重ね合わせているって感覚がする……かも?

 

 

……気の所為……だよね?私なんてのがそうそう簡単にいる訳ないもん。

真剣に運転するその横顔と、それと並ぶように浮かぶ“満月”を眺めつつ、そんなことを思う私なのだった……。




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