ようこそ乱数の支配する教室へ   作:桜霧島

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25 船上試験 最終日

※()内は前話での変動

 

学力 :62(-1)

知性 :57(±0)

判断力:76(±0)

身体能力:84(仮上限)

協調性:62(±0)

 

総合 68.2(-0.2)C+ランク

 

 

 

 

 

第25話

 

 

 

 

 

 

 軽井沢さん(地雷)の処理を綾小路に任せた俺は、夜、一之瀬に連絡を取った。麻子ちゃんとこずえちゃんと白波さんとご飯を食べて居たらしい。

 

 「急に呼び出して申し訳ないな、一之瀬。」

 

 「ううん、大丈夫だよ。それで、どうしたの?」

 

 「ホウレンソウだよ。俺は明日、未グループを結果3で終わらせる。」

 

 「ええっ!?もう見破ったの!?」

 

 「あぁ、だから一之瀬、お前にも期待してる。卯グループは綾小路もいる、一筋縄じゃいかないだろう。ちなみに目星は?」

 

 「――()()()()()()。」

 

 「そりゃ頼もしい委員長だ。それで、どっちにする?」

 

 「結果4が好ましいかな。うまく行けばCクラスにもダメージを与えられるかなって。」

 

 「そうだな。ちなみにCクラスから取引を持ち掛けられたりしなかったか?」

 

 「されたけど、断ったよ。あんなところと組めないよ・・・。」

 

 「そうか。おそらくだが、Cクラスは各グループの優待者情報をある程度掴んでいるはずだ。そこそこに勝たれることは折り込んでおいてくれ。まあ、俺が50CPほど減らしておくがな。」

 

 金田を使って一之瀬を曇らせた報いを受けさせてやらねば。

 

 「未グループの優待者はCクラスなんだ。――私だって、輝くんに負けないよ?」

 

 そう言って不敵な笑みを浮かべ、拳を付き出す一之瀬。

 

 ――おう。

 

 拳を合わせる。もう言葉は要らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あ、そう言えば輝くんが軽井沢さんを狙ってるという話があるんだけど、何か申し開きはあるかな?」

 

 

 

 

 ――言い訳の言葉は必要だった。

 

 

 

 

 

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 船上試験の最終日。正座をしすぎて足の痛い、俺のやるべきことは決まっている。未グループは現状、ファシリテーターが居ない。このまま黙って終わらせるのが一番良い。

 

 ディスカッションの時間になり周囲を見回す。Aクラスは黙秘を続け、Bクラスの2人は不安そうな顔をしている。Cクラスは無関心を装い、黙っている。Dクラスもオドオドしているばかりで、具体的な行動には出なさそうだ。都合がいい。

 

 「さあ、トランプの時間だ!する人!」

 

 声を掛けるといつものメンバーが集まる。

 

 「最後だしCクラスの皆もどう?」

 

 そう言うと4人のうち男子2人、野村と吉田が来た。俺を合わせて8人が集まる。

 

 「人数多いからUNOやろうぜ。今日はそうだな、ポイント掛けるか。一回あたり参加費50PP、1位の人が総取りってことで。」

 

 

 

 

 結局俺はUNO全5回で一度も勝てず、250PPを失った。そして試験終了のアナウンスが流れる。

 

 「いやー可愛い女の子達と遊べて楽しかった。有意義な4日間だったよ。野村と吉田、ひと夏の思い出楽しかったろ?Aクラスは不憫だよなあ。無人島では負けるし、船での試験は楽しくないし。」

 

 最後までこっちを無視し続けたAクラスを当てこすりながらBクラスの2人を連れて去る。

 

 「輝くん、本当に良かったの?結局誰が優待者かわかんなかったし・・・。」

 

 「大丈夫だよ、麻子ちゃん。今、Cクラスの野村を指名したから。」

 

 送信ボタンをポチー

 

 「えぇっ!?大丈夫!?」

 

 「まあ、見ててよ。外れたら鼻からスパゲッティでもいいよ。」

 

 勝ったなガハハ!

 

 

 

 

 

 

 カフェテリアでBクラスの面々と合流する。一之瀬はやりきった顔をしている。上手く行ったのだろう。これで一之瀬も侮れない実力者だと綾小路は気付くかな?神崎はよくわからない顔をしているが、辰グループはどうなったんだ?

 

 大体のクラスメイトが集まった直後、学校から全てのグループの結果とクラスポイントの増減を知らせるメールが届く。

 

 未グループは――予想通り結果3か。50万PPのお小遣いをゲットだ。卯グループは結果4、やはり一之瀬は上手いことやったようだ。辰グループは意外なことに結果1にしたようだ。各クラスの実力者は金もかかるからな。

 んで、クラスポイントは――。

 

 

 

【結果】

 A:1074CP → 874CP

 B: 853CP → 903CP

 C: 492CP → 642CP

 D: 312CP → 362CP

 

 

 CクラスはAクラスを狙い撃ったのか。漁夫の利でAクラスに上がっちゃったよ、参ったなあ。未でCクラスを撃ったのは俺だって龍園にはすぐバレるだろうし・・・。

 しかしこれはこれで何とかするしかないな。幸いなことにCクラスへのカウンターは軽井沢さんの件で準備してあるし、Dクラスとの協力体制も暫くはある程度維持できるだろう。

 だがAクラス――もうBクラスになったし、何なら無人島試験の契約を踏まえれば実質Cクラスだ――の2学期以降は坂柳さんが出てくるだろうし、まだクラスとしての実力の底を見せていない。正直、生活態度や定期テスト一回でひっくり返る程度の差でしかないから、糠喜びは禁物だ。

 そう言えば坂柳さんとは橋本を通じて取引してたな。学校に戻ったらご無体なお願いだけは避けてもらえるよう土下座しておこうか。

 

 この先、Aクラスとして必要なのは武力だ。知力だ。そして外交だ。負けない戦いをするのか、勝つための戦いをするのか。リーダーの手腕が問われる。

 

 俺には腹案があるが、もう少しだけ待とう。今はただ、満面の笑みを浮かべた一之瀬と、クラスメイトと、喜びを分かち合いたい。

 

 

 

 

 

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乱数生成イベント

 船上試験最終日、デッキにて。

 

 1d362 ダイスロールで出会う人物を決定。

 例)1〜141→一之瀬

 

 1 一之瀬帆波 確率:141/362

 2 星之宮知恵 確率:58/362

 3 坂柳有栖  確率:54/362 ※リモート出演

 4 姫野ユキ  確率:50/362

 5 白波千尋  確率:30/362

 6 櫛田桔梗  確率:29/362

 

 

 ダイス結果:39

 

 判定:一之瀬帆波

 

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 お祭り騒ぎが一段落したあと、俺は一人デッキで涼んでいた。もうすぐ帰港する。また新たな日常が始まる。

 

 「やっぱりここにいた!」

 

 明るい声が耳に届く。振り向くと我らが委員長様のお出ましだ。

 

 「おう、一之瀬。さっそく南雲先輩からメール来てたぞ。『お前()よくやった』って一言だけだったけどな。」

 

 「情報が早い!?・・・副会長は相変わらず厳しいのか優しいのかわかんないにゃー。」

 

 苦笑いで一之瀬が言う。全くもってその通りだ。

 

 「人間、誰しもそんなもんだろう。厳しい面もあれば、優しい面もある。俺だって一之瀬に見せてない顔もある。」

 

 「へー、どんなの?」

 

 一之瀬はニヤニヤしながら問いかけてくる。

 

 「犯罪まがいのことを平気でするところ。救えないのが、罪悪感の一つも出てこないところだな。」

 

 軽井沢さんの件は俺的に必要だったとは言え、倫理的にセーフかアウトで言えばアウトだろう。そう言えばあの後、綾小路はどうしたんだろうな。『守ってやる代わりに身体を差し出せ』とかなら南雲先輩と変わらねえな。

 

 ――ん、一之瀬はどうした?今の話に曇る要素無くない?

 

 

 

 「――輝くんは、もし私が罪を犯したことがあるって言ったら、信じる?」

 

 「基本的には信じるよ、中身によるけどな。道路交通法なら俺だってしょっちゅう破ってるし、飲酒喫煙も一口だけならやったことはあるよ。」

 

 「万引。」

 

 「そうか。捕まったの?」

 

 「ううん。盗った物をお母さんに見つかって、お店の人に頭を下げて返したの。そしたらお店の人は通報しないから、もう二度とこんなことするなよって、その時は見逃してくれたの。」

 

 「ちなみにどうして?」

 

 「私の家、母子家庭だって話は無人島でしたよね?お母さんが働きすぎて倒れちゃったとき、妹の誕生日プレゼントが買えなかったの。それで、つい魔が差して・・・。その後、半年くらい学校にも行けなかったから、それで私はBクラスになったんだと思う。」

 

 「この話、他の誰かには?」

 

 「南雲副会長には。生徒会に入れてやるからお前の弱みを教えろって…。」

 

 「まあ、やった事実は変わらないかもしれないけど、一之瀬は二度とそんなことをしないし、これからもお母さんと妹さんに胸を張って生きていける子だと信じてるよ。っていうか、そう誓ってこの学校に来たんでしょ?」

 

 「うん・・・うん!」

 

 「一之瀬は俺のこと信じてくれる?」

 

 「もちろん!」

 

 「それでも一之瀬が、一之瀬自身を信じられないなら、この言葉を贈ろう。」

 

 ――お前が信じる、俺を信じろ。

 

 「一昔以上前のアニメのセリフだけどな、何か言われたら勇気が湧くんだよ。まあ、俺だけじゃなくてBクラスの他のみんなも同じ気持ちだよ。だって俺たち仲間だろ。お前を信じる、俺たちを信じろ。」

 

 一之瀬に笑顔が戻る。やっぱりこの子は笑顔じゃないとな。

 

 「一之瀬、帰るか。()()()()()みんなの元に。」

 

 「――帆波。」

 

 ん?

 

 「帆波って呼んで!私だけ輝くんのこと、名前呼びだもん!」

 

 顔真っ赤だぞ委員長様。俺?これは夕陽だよ。

 

 「帰ろう、帆波。」

 

 「うん!」

 

 

 

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