ようこそ乱数の支配する教室へ   作:桜霧島

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日間累計ランキング入り・・・(白目)

ありがとうございます、励みになります。
今回は閑話で前半は趣味と妄想です。後半がメインです。
いや、後半も趣味と妄想か。

ワールドカップ、楽しかったでしょう?日本には同じくらい面白い沼があるんですよ。
Jリーグっていうんですけどね。




閑話 高育サッカー部事情

 

 

 

 高育サッカー部。

 

 全体練習が月水金、火木はフィジカルトレーニング。土曜日は隔週で紅白戦を基本としている。

 一学年あたりの人数は5〜7名程度で3学年合わせて20名程度であるが、3年生は夏の大会の予選が終れば引退するのが基本である。冬まで残る3年生もいるが、極めて稀なケースであるため、3年生が引退したあとは人数不足に悩むことが常である。

 

 顧問は担任を持っていない男性教諭であるが、遠征への帯同や書類に判子を押すのが主な仕事であり、練習メニューの調整やスタメン選抜などは部員自ら行っている。

 また、特定の女性マネージャーはおらず、雑用や書類仕事は1年生が持ち回りで担当。ただし平田など“モテる”人たちが当番の場合は、ファンの女の子が自主的に手伝うこともあり、密かな軋轢を生んでいる。なお、軽井沢は練習を見に来ること自体が稀である。

 

 高育サッカー部の特徴は、「戦術能力が高い」選手と「フィジカル能力が高い」選手がバランス良く所属していることである。なので、人数自体は多くなくとも、チームとしての完成度は高い。ちなみに平田は前者で、柴田は後者、輝は両方高い。

 

 「チームとしての完成度」―言い換えれば戦術浸透度とも言える―チームがどのようなサッカーを志向して、自身がどのような役割を担い、自身がプレーの中でどのような選択をしなければならないか。

 「戦術能力が高い選手」は取るべき選択を間違えない。「フィジカル能力が高い選手」は取るべき選択を間違えたとしても身体能力でカバー出来る。

 これらがバランス良くいることで、高育サッカー部はそこそこ勝てるチームなのだ。

 

 

 サッカーの戦術について補足する。実は、サッカーというのは―サッカー以外の球技にも当て嵌まるが―基本的にこの4つの場面しかない。

 1)ボールが敵陣にあるとき

  ①相手がボールを保持

  ②味方がボールを保持

 2)ボールが自陣にあるとき

  ③相手がボールを保持

  ④味方がボールを保持

 

 これらの場面に対し、味方や敵の長所・短所を踏まえ、取るべき戦術行動を選択する。

 

 今回のワールドカップで日本代表が採った戦術を簡素化すると、上の4つの場面に当てはめれば次の通りである。

 

①ボールが敵陣にあり、相手がボールを保持

 足の速い選手でプレッシャーをかけ、相手のミスを誘いボールを奪う。

 

②ボールが敵陣にあり、味方がボールを保持

 テクニックのある選手が貯めを作り、サイドアタッカーを起点として相手を崩す。

 

③ボールが自陣にあり、相手がボールを保持

 ゴール前を固め、数的優位を作ってボールを奪う。

 

④ボールが自陣にあり、味方がボールを保持

 パスを繋ぎ相手のプレッシャーを捌いた後、カウンターを仕掛ける。

 

 特定の名前を出すことは出来ないが、観ていた人なら何となくわかると思う。

 要は戦術といってもそれほど難しいことをやっているのではなく、「このときはこうする」「誰が何をする」という意思統一が出来ているか、いないかの違いである。

 

 

 話を高育サッカー部に戻すと、人数が少ないからこそ、意思統一が簡単である。また、何かしらの長所を持った生徒がバランス良くいる。この2点だけでも他高校よりも優位にあると言える。

 

 一方で、サッカー推薦のような形、バスケ部でいうと須藤のように、サッカー一芸で入学してきた生徒へのハードルは高い。

 輝達の学年にそういう生徒はいないが、先に述べたように高校サッカーで飛び抜けて実力があっても、勝てなければスカウトされないし、そもそもプロは「就職先」では無いため、進路が保証されているわけでもない。この高校から目指すのであれば、日本代表の赤髪の左サイドバックやジョーカーとなった左ウイングのように、サッカー名門大学を経てプロ入りを目指すのが一般的なルートだが、そこまでの実力者ならほとんどが高校入学時点でクラブユースや名門私立校に特待生としてスカウトされているため、高育サッカー部出身者で、かつAクラスで卒業する生徒でプロを目指すことは基本的には無いのだ。

 だからこそ部員は基本的に「そこそこ勝てれば良い」と割り切っており、練習への向き合い方も含め意思統一が容易である一因となっている。

 

 

 

 ―だが、割り切れない人間もいる。

 

 

 

 

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―5月某日。

 

 

 

 

 「おい、ヒカル。調子はどうだ?誰もいないのに自主練とは気合が入ってるじゃねぇか。」

 

 「おはようございます、南雲先輩。何かご用ですか?」

 

 「ちょっと聞きたいことがあってな。誰もいないからちょうどいい。一之瀬って女はお前のクラスだよなぁ?どんな奴だ?」

 

 「善意の塊、品行方正、才色兼備、そんな感じですね。彼女が何かしましたか?・・・あぁ、そう言えば生徒会に入りたかったけど会長に却下されたとか言ってましたね。」

 

 「そうだ。俺もその場にいなかったから後で聞いた話だが、Bクラスの“委員長”としてはどうなんだ?」

 

 「まぁ、中間テストに向けて勉強会を開いたり、クラスメイトの相談に乗ったり、クラスの大半は彼女に好意的ですね。他クラスにも友人が多いようです。」

 

 「(やはりAクラスでもおかしくない人材か。それがBクラスとは、過去に何か大きな失敗を起こしたに違いないだろう。)・・・わかった、ありがとよ。参考にはなった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「―ところで、その“大半”にお前は入っているのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「―もちろんですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 輝は闘争心を剥き出しにした笑みを浮かべながら続ける。

 

 

 「先輩。俺、負けず嫌いなんですよ。試合で負けると悔しくて悔しくて仕方がない。チームで自分より上手いやつ、試合で活躍するやつがいると妬ましくて妬ましくて仕方がない。だから練習する。誰よりも。

 

 

 ―他の先輩方から聞いて知る限り、先輩は文武両道、幅広い実力が求められるこの学校で2年生の頂点に立ち、俺の得意分野でも活躍している。」

 

 

 「それで?サッカーの実力ではお前のほうが僅かに上だろう。」

 

 

 

 「それとクラス間闘争で勝てるかは別です。」

 

 

 

 

 憧れと決意を持った目で南雲を見つめる。

 

 

 

 

 「俺は、俺たちは明らかに実力不足です。成長しなければ、先輩方と同じ舞台にも上がれないでしょう。ですが・・・

 

 

 

 ―俺は、あなたに、勝ちたい。」

 

 

 

 南雲は僅かに見開いた目で応える。

 

 

 

 「―上がって来い。叩き潰してやる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言うと南雲は端末を操作し、100万ppを輝に振り込む。

 突然の大金に、大見得を切ったばかりの輝もさすがに慌てる。

 

 「ちょ・・・なんですかこの金額は!?有り得ないです!ヤバいです!」

 

 「フン・・・端金だ。お前の必要経費として持っておけ。それよりこの俺に大見得を切ったんだ。出来なかったらわかってるな?お前だけの不幸で終わると思うな。」

 

 「わかっています。しかし、それにしてもこの金額は・・・ありがとうございます。大事に使います。」

 

 「じゃあな、また会おう。次はテスト明けの紅白戦くらいには顔を出すつもりだ。それから、中間テスト、お前らがどう乗り切るか楽しみにしている。」

 

 そう言うと、颯爽と身を翻し、去っていく。

 

 

 

 

 その背中は、どれほど遠くにあるのか。輝にはまだ計り知れない。

 

 

 





今日はもう一話投稿予定です。

このあとの展開ですが、夏休み中くらいまでは原作に無い部分も含め伏線を張りまくる作業になります。
綾小路と堀北との絡み方が迷子なので、原作2巻はちょっと時間かかるかもです。

拙作をいつもお読み頂いてありがとうございます。

この作品でヒロインは誰にする?

  • 一之瀬帆波
  • 白波千尋
  • 網倉真子
  • 姫野ユキ
  • 南方こずえ
  • 安藤紗代
  • 二宮唯
  • 坂柳有栖
  • 神室真澄
  • 椎名ひより
  • 伊吹澪
  • 堀北鈴音
  • 櫛田桔梗
  • 軽井沢恵
  • 星之宮知恵
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