黒崎凪は不純物である   作:三世

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7 黒崎凪は怒り狂う

 

「……あんのクソメガネェェエエ!!!!」

 

 空座町上空、数日ぶりに死覇装を着て楽しく虚を殺すつもりが、どうしてもあの忌々しい滅却師に対しての怨嗟が口から零れる。

 ……どうしてこの様な事になっているのかは、昨日までに遡る。

 

 

 △▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 ────昨日 空座町廃墟にて

 

「ダメじゃないか、死神が虚を逃しちゃ」

 

 いつものように虚退治をしていた時、彼は話しかけてきた。

 

「……あ? お前一体何して……」

 

 突如、彼の腕から光が溢れる。

 光は瞬時に形をなし、そのまま弓矢の形へと変わっていき……

 

「……フッ」

 

 小さな吐息と共に、光の矢は飛んで行き上空を浮いていた虚へと当たる。

 

「……なっ!? 虚の反応が()()()だと……!?」

 

 虚の反応が消える、本来ならばそんなことは有り得ない

 

「……テメェ……何者だよ……!?」

 

「……石田雨竜、滅却師」

 

「……! やはりか……」

 

 ルキアさんは納得したように呟く。

 

「僕は、死神を憎む」

 

 と、まあ数年前に同じく、私もまだもう少し幼い彼に絡まれた……ボコボコにしてやったけど

 

「勝負をしようか、黒崎一護」

 

「勝負ゥ?」

 

「ああ、僕の滅却師としての誇りと、君の死神としての誇りを賭けてだ」

 

 それはまた随分と、まあ此方有利な条件な気もするが

 

「……おにぃに死神としての誇りってあるのかな……」

 

「……おれはまだ死神になって数ヶ月とかなんだが……それでもやんのか……?」

 

「へえ、逃げるのかい」

 

「やってやるよ眼鏡神父」

 

 ちょっろ

 

 

 △▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 それで勝負に虚が必要なのは分かる、だからと言ってわざわざ虚の撒き餌を使う必要はあるのだろうか

 

「次会ったらぶん殴る! いや殺す!!」

 

 巣から這い出でる蟻の如く、無尽蔵に現れる虚はこちらへ遠慮も無しに襲いかかってくる。

 

「よ……よし、気配が消えた! これで……」

 

 背後から虚の気配、クソが

 

「少しは休ませろよクソが!!!」

 

 無限に湧き続ける虚に対し、どうしても口が悪くなってしまうのは許して欲しい、だが見て欲しい、この地獄絵図を、石田雨竜はこの町を崩壊させる気なのだろうか

 

「ねェ喜助さん! 滅却師の撒き餌ってこんな効果あんの!?」

 

『──いえ、流石にこれは異常ッスね……』

 

「……あの人が絡んでるとみてッ! 間違いないね!!」

 

 最近買い換えた伝令神機を死覇装の袖に入れ、会話をしながらも虚を狩る。

 それにしても私は眼鏡を着けた人に嫌がらせをされる運命でも背負っているのだろうか、喜助さんに見せてもらった写真を思い出しながらもそう思う。

 

「あ〜これじゃもう拉致あかない! 喜助さん! 始解しちゃダメ!?」

 

『駄目ッス、アナタ前もボクに許可なく解放したでしょう』

 

「だってあれは! ……ううう仕方ない、鬼道で何とかするよ!!」

 

 先日のグランドフィッシャー戦、私は怒りに身を任せ始解をしてしまった訳だが、これがまた帰った後にめっぽう怒られた。

 

『アナタの能力は彼に見られると良くない』

 

「ぅー……むず痒い」

 

『我儘言わないでください、一護サンにもバレたくないんでしょう?』

 

「クソっ!」

 

 ……と、かれこれ1時間ほど狩っているが、何時になっても消える気配がない

 

「これ……大虚(メノス)いるんじゃないですか?」

 

『十分考えられます、その場合……一護クンたち、マズイッスねぇ……』

 

「いや別におにぃの心配なんてしてないよ」

 

『えっ?』

 

 こんな素っ頓狂な声を出す喜助さんも珍しい、だって当たり前だろう、おにぃだよ? 

 

「私が心配してるのは“倒しちゃった場合”、その場合尸魂界から隊長格の死神が送られてくるかもしれない」

 

『……嗚呼、残念ですがそれでしたらもう手遅れだと思います』

 

「えっ?」

 

 今度は私が素っ頓狂な声をあげてしまう。

 

『大虚が出てきた時点で尸魂界は探知しているでしょう……恐らくもう手遅れです』

 

「……マジか」

 

 まあ、どちらにせよ尸魂界からの死神はいずれ送られて来ただろうから……いい……のか? 

 

「……!!」

 

 真っ暗な谷から聞こえる風の音のような、(かな)しい叫び声が、おにぃ達の方向から聞こえてくる。

 

「……よりによってそっちかよ!!」

 

 不味い、非常に不味い、おにぃが死ぬわけがないが、このままじゃ現場に()()()()()()()()()()()()()

 

「……ッ喜助さん!」

 

『分かってますよ!』

 

 おにぃのいる位置に近いのは私よりも喜助さんだ。それに私は、まだおにぃに死神の姿を晒す訳にはいかない。

 

「……むず痒いな……!」

 

 本当は、今すぐにでも助けに行きたい、死なないと確信していながらも、なるべく危険なことはして欲しく無い……

 

「人生って上手くいかないもんだねぇ!!」

 

 ムカつく、イラつく、助けに行けない自分が怨めしい

 

「……あとは、見守ることしかできないや」

 

 幸い虚は全員、大虚の下に集まっていて襲って来る虚は一匹もいない。

 

「それじゃいいとこ見せてよ、おにぃ」

 

 高まり続けているおにぃの霊圧をぴりぴりと感じながら、私は身体へと戻った。

 

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